三洋電機株式会社は10日、50型PDPを使用した業務用の3Dディスプレイを開発したと発表した。2003年3月末までにはサンプル出荷を開始し、主に教育や医療、アミューズメント施設での使用を想定している。 今回発表された製品は、専用の眼鏡を使用しないタイプ。多視点の映像を同時に表示することにより、従来の方式と比べ、広い範囲で複数人が同時に立体映像を観察できるという。 最大の特徴は、「斜めバリア方式」という新技術を導入したこと。四角い開放部を階段状に並べたピンホールアレイがパネル全面を覆う。従来の方式では、開口部が縦のストライプ状に作られていたため、水平方向の解像度は視点数を増やすと劣化する。
しかし、階段状に開放部を設けることにより、解像度の劣化が縦と横方向に振り分けられ、より自然な3D画像を表示できるという。
従来の方式では、解像度が横方向に4分の1に劣化していたが、「斜めバリア方式」では、n視点表示の場合、縦方向に3分の1、横方向にn分の3の劣化に抑えられるという。よって、4視点では縦方向で3分の1、横方向で4分の3の劣化となり、今回の解像度1280×768ドットの50型ディスプレイの場合、1視点の解像度は960×256ドットとなる。
さらに、2視点(1人分)に比べ、4視点になったことで3Dの視野範囲が拡大。適視距離約1mで横に並んだ2人が完全な立体映像を観察できる。また、1m以上離れた場合や、人数が多くなった場合の立体感も向上しているという。 ディスプレイは、通常のPDPに階段状の斜めバリア(パララックスバリア)方式のピンホールアレイを追加するだけの簡単な構造で、低コスト化も見込まれている。具体的な価格は未定だが、「通常のPDPの2倍以下の価格になる」(技術開発本部主管研究員の濱岸氏)という。 映像の出力には、DVI接続されたPCを使用。専用のソフトウェアを使用し、4台のカメラで撮影した動画や、CGなどを出力する。発表されたディスプレイは秒間15フレームだったが、PCのスペックや、ソフトウェアのバージョンアップでさらに高フレームレートが可能。ディスプレイも通常のテレビ放送程度のスピードには十分対応できるという。
□三洋電機のホームページ
(2002年9月10日) [yamaza-k@impress.co.jp] |
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