◇ 最新ニュース ◇
|
||
【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
||
|
シャープ株式会社は22日、ガラス基板上にドライバICなどを形成する「システム液晶」に関する発表会を開催。株式会社半導体エネルギー研究所との共同開発により、世界で初めて液晶ガラス基板上に8bit CPUを形成することに成功したと発表した。 システム液晶は、連続粒界結晶シリコン(CGシリコン)を中核技術とし、液晶ドライバICやコントローラ、電源用ICなどの機能部品をガラスパネル上に形成し、システム化した液晶。ガラス基板にドライバICなどを実装した液晶については既に量産開始しているが、今回、大きな論理回路を持つCPUを実装したことで、より多様なデバイスの統合が可能なことを証明し、応用の可能性が大幅に広がったことをアピールしている。 実装されたCPUは'76年にザイログが開発し、'77年にシャープがライセンスを受け生産していた8bit CPU「Z80」。同社では、CPUのシステム化の成功により、「液晶ディスプレイとドライバICなどの周辺回路だけでなく、CPUやメモリ、ビデオエンコーダ/デコーダなどの回路をガラス基板上に一体形成することが見込めることから、“シートコンピュータ”や“シートテレビ”の実現への第一歩を踏み出した」と説明している。
発表会では、冒頭に同社代表取締役副社長 技術開発統括の三坂重雄氏が、今回の発表の意義を説明した後、モバイル液晶事業本部 本部長の片山幹雄氏が、システム液晶の今後の展開について解説した。
片山氏はまず、同社が目指す方向として「21世紀のユビキタスネットワーク社会に向け、新たな需要を作り出す」というテーマを挙げ、「次世代携帯やPDA、モバイルPC、モバイルTVなどの新たな市場の動向は、低消費電力で薄型なデバイスへ向かっている」と解説した。そして、そうした新市場に向けてシステム液晶が重要なデバイスとなることを強調した。 また、CG-Si(CGシリコン)の結晶粒子が大きく境界が連続的という特性について言及し、A-Si(非結晶シリコン)やP-Si(多結晶シリコン)などと比べ、電子移動度がA-Siの約600倍、P-Siの約3倍と大幅に高いというCG-Siの特徴が、システム化への大きなメリットとなっていると説明した。
その後、システム液晶のロードマップを示し、現在の第1世代では、デザインルール3~4μmで、移動度が200cm2/Vs、ロジック周波数は3MHzでドライバやメモリ、マルチドライバなどの統合が可能だが、2003年の第2世代では、デザインルール1.5μmで、移動度が300cm2/Vs、ロジック周波数は5MHzで、DACやアンプの統合が可能になるという。 2005年の第3世代では、デザインルール0.8μm、移動度が400cm2/Vs、ロジック周波数20~30MHzでコントローラやシグナルプロセッサの統合が可能になるという。 また、現在の構想として、2005年にはディスプレイカードと呼ばれるデバイスを普及させたいと語った。詳細についてはあまり明らかにされていないが、2~7型の液晶ディスプレイ付きの表示デバイスで、静止画/動画ビューワやスケジューラ、オーディオプレーヤーなどを統合した製品となる予定。また、将来的な展開として、ICカードの機能を拡張し、電子保険証や免許証といった機能を統合することも計画しており、「ディスプレイカードにより、新しい概念を作りたい(片山氏)」という。
質疑応答では、システム液晶の展開などについて質問が及び、売上目標について、「(4月のシステム液晶発表時と同様で)2005年段階で、CGシリコン関連の液晶、応用商品で3,000億円という予定は変わらない(三坂副社長)」と説明された。 また、両社が今回の発表にあたり、約1,250件の特許を申請していることが明らかにされた。なお、CGシリコン技術のライセンス方針については「シャープでは自社製品で、オンリーワン商品を作っていくことを目標にしている。基本的には、シャープ単独でやっていくという方針だが、顧客からは、“セカンドソースが欲しい”という要望もあるので、時期をみてそうしたことも考えている(片山本部長)」と説明した。 なお、今回、Z80を採用した理由について、「現在の技術で実現可能なもので、かつて自社でも製造していたMZ-80用のZ80をエミュレートしてみようということで試した。今、Z80を使った応用製品などに意味があるとは思わない(三坂副社長)」とし、もし実際にCPUを統合するのであれば、「われわれはモバイルにフォーカスしているので、ARM7、9といったCPUが対象になるのではないか」と説明した。 □シャープのホームページ (2002年10月22日) [usuda@impress.co.jp]
|
|