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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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そんなわけで「つまらないだろうと決め付けていると、もったいない作品」を選んでみた。選択基準は、個人的に「どうせ~~だろう」とか「きっと~~な映画だろう」と、観る前に先入観を持っていた作品だ。もちろん中身の面白さを基準に選んでいるが、画質や音質にも注意している。一風変わったランキングになったが、年末とお正月の購入計画の参考にしてもらえれば幸いである。
おすすめ1位
臆病で不器用なモンスター達と、彼らの世界に迷い込んでしまった人間の女の子が巻き起こす騒動を描いたストーリー。笑いあり、冒険あり、最後にホロリとさせてくれる。フルCGアニメーションとは思えないほど、全編にやわからな優しさが溢れていた。そして、この映画の最大の魅力は、2歳の女の子「ブー」の可愛さに尽きる。大きなモンスターを見上げる彼女の登場シーンで、多くの観客はノックダウンされるだろう。私自身、CGのキャラクター、それも人間を模したキャラを「可愛い」と思えたのは初めてだった。 CGの美しさ、違和感の無さも大きな魅力。DVDとしてもノイズが少なく、発色も良い。モンスターの体毛もきめ細かく描写されている。そのせいか、量販店でこの作品をデモディスクとして使用しているのを良く見かける。音質も文句無しだ。 子供がいる家庭はともかくとして、大人の男性はあまり購入対象として見ていないDVDではないだろうか? 年末年始は子供から大人まで沢山の人が集まる機会が多いので、きっと活躍するソフトになるはずだ。「お正月暇だから…」という理由でも結構なので、先入観を捨てて、ぜひ観ていただきたい。
(c)Disney Enterprises (c)Pixar Animation Studios
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おすすめ2位 ジョージ・クルーニー主演の戦争映画。湾岸戦争集結直後、勝利に酔いしれる米軍兵士達は、偶然1枚の地図を手に入れる。地図には、イラク軍がクウェートから奪った金塊の隠し場所が記されているという。かくして、金に目がくらんだ兵士4人が、停戦ラインも無視して宝探しの旅に出発した。 劇場公開時に流れていたCMは、いかにもコメディ映画風に作られており、海外のコメディが苦手な私が劇場に足を運ぶことはなかった。イメージとは恐ろしいもので、DVDが発売されても購入対象にしていなかった。しかし、ひょんなことから観賞してビックリ。序盤こそふざけた雰囲気が漂っているが、根は実にシリアスで、メッセージ性の強い映画だった。 登場する兵士達は、戦争そのものをバカにしている感じすらあるが、それが逆に現代の若者らしくて、リアリティを感じる。金が目当てで戦場に乗り込んだが、そこに広がる実情、助けを求める貧しい人々を前に、何かせずにはいられなくなっていく。戦争映画というよりも、ヒューマンドラマの側面が強い映画だ。 また、イラク兵の言葉を借りて、当時のアメリカの政策を非難するなど、ブラックユーモアも効いている。終盤に「やっぱりハリウッド映画だな」と思ってしまうご都合主義的な展開もあるのだが、作品の姿勢は大変好ましい。「こういう戦争映画もありえるのか」と思える作品だった。 しかし、悲しいかな人気はいまひとつのようで、近所の中古ソフト店では千円くらいで山積みになっている。応援の意味も込めてお勧め作品としたい。
□製品紹介
おすすめ3位 新海誠さんが、個人で製作した約25分の短編アニメーション。「プライベートアニメ」と説明されることが多いが、早い話が「同人作品」だ。DVD作品として紹介して良いものか迷ったが、コミックス・ウェーブが発売を担当しており、通信販売やPC系ショップ、漫画専門店などで比較的容易に入手できるので取り上げてみた。知名度は高くないと思うが、NHKのニュースでも特集されたり、先日の12月19日には文化庁メディア芸術祭の特別賞も受賞しており、ご存知の方も多いだろう。 物語の舞台は2039年。同じ中学校に通うミカコとノボルは、友達以上、恋人未満の間柄。やがて国連宇宙軍に選ばれたミカコは、ノボルを置いて地球を後にすることになる。宇宙と地球に離れても、携帯電話でメールのやりとりをしていた2人だったが、ミカコの宇宙船が地球から離れるにつれ、メールが届くまでの時間は残酷なほど長くなっていく。ストーリーはSFで、激しい戦闘シーンなども盛り込まれているのだが、登場人物のセリフは独白が多く、一片の詩を連想させる。 内容も気に入っているが、特筆すべきは映像の美しさ。夕日に染められ、赤とも紫ともつかないグラデーションを描く空、雄大な雲、繊細な雨など、現実より遥かに美しい。また、それを収録するDVDとしての画質の良さも印象に残った。輪郭はシャープでノイズも少なく、まさにクリアそのもの。収録時間が少ないだけあり、画質に目一杯データを割いた印象だ。ちなみに「DVD Bit Rate Viewer Ver.1.4」で見ると、平均のビットレートは9.41Mbps。ほとんど一直線のグラフが、画質の高さを伺わせる。
登場するロボットの重量感や、キャラクターの作画、動きなど、少々ぎこちない点も見受けられるのだが、そうした部分もインディーズ的で面白い。作品の製作環境はPowerMac G4/400MHzが1台で、使用ソフトウェアもPhotoshop、LightWave、Commotion DV、AfterEffectsなど、お馴染みのものばかりだというから驚きだ。PCで映像を製作したいと思っている人にも良い刺激になるだろう。 だが、特典が収録されているとはいえ、25分の短編作品で5,800円という価格は厳しいものがある。個人的には、美しい映像を眺めているだけで十分おつりが来ると思っているが、万人にお勧めできるものではない。だが、「普通のDVDには飽きた」という方には、こういう作品もどうですか? と提案してみたい。作品の持つ優しいトーンも、のんびりしたお正月の空気にマッチすることだろう。 なお、2003年公開予定の新作のパイロット映像が、12月26日から新海さんのWebサイトで公開されている。新作は50分前後の作品になるそうで、こちらの今後にも大いに期待したい。
□新海誠さんのホームページ
(2002年12月27日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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