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2003 International CESレポート【YAMAHA編】
-家庭内音楽LAN「MusicCast」、デジタルパワーアンプ「MX-D1」など


YAMAHAブース
開催期間:1月9日~12日(現地時間)

会場:Las Vegas Convention Center(LVCC)
    Las Vegas Hilton Hotel
    Alexis Park Hotel



■ IEEE 802.11bベースの音楽ネットワーク「MusicCast」

 2003 International CESでYAMAHAは、家庭内無線音楽配信システム「MusicCast」を発表した。これは、IEEE 802.11bベースの無線LANを利用したもの。製品としては、音楽コンテンツを格納し管理、配信を務めるミュージックサーバー「MCX-1000」と、配信された音楽を受信して再生するクライアント「MCX-A10」で構成される。

MusicCastサーバー「MCX-1000」。価格はクライアント1基付きのセットパッケージが2,800ドルとなる見込み MusicCastクライアント「MCX-A10」。単体価格は800ドルを予定。

 MCX-1000には、CD-R/RWドライブと3.5インチ80GB HDDを内蔵しており、音楽CDからHDDへ録音、これを家庭内に配信する。HDDへの録音はMP3はもちろん、リニアPCMにも対応。本体をジュークボックス的に活用できることに加え、最大同時5クライアントまで、独立したコンテンツを無線配信することが可能となっている。また、MCX-1000はEthernetも2ポート実装しているので、無線5クライアント、有線2クライアントの合計7クライアントへの配信に対応する。

 内蔵CD-R/RWドライブを利用して、HDDからCD-R/RWメディアに書き出すことも可能だが、書き込んだ楽曲は削除される仕組み(「move」)になっている。なお、HDDはユーザーの手で市販のPC用3.5インチHDDとの換装が可能と、オフィシャルにうたわれている。

 そして、MCX-A10はMCX-1000が配信した楽曲を、無線LANあるいは有線LAN経由で受信して再生する装置だ。本体背面にはスピーカー出力端子、サブウーファ出力端子といった基本的な音声出力端子があるのみ。音声入力もアナログ入力が1系統あるのみで、あまり他のAV機器との連携は想定されていない。

奨励スピーカー「MCX-SP10」と接続。クライアントとスピーカーをセットにした商品も用意される見込みで、価格は1,199~1,399ドルとなる。スピーカー単体の価格は未定
 MCX-A10のフロントには、モノクロの液晶ディスプレイと、スティックコントローラが装備しており、メニュー操作にて再生したい曲をサーバーにリクエストしたり、お気に入りの再生リストを呼び出したりできる。アラーム時計機能も搭載し、「お気に入りの曲で目覚める」といったことも可能。なお、MCX-A10自体には録音機能はなく、クライアント側で録音してサーバーに収録するといったことはできない。

 スピーカーはもちろん市販のものが接続できるが、デザインをMCX-A10にあわせた小型の薄型スピーカー「MCX-SP10」もオプションで提供される。

 本製品はUSAヤマハ主導で開発が進められ、北米で先行発売した後、反応を見て日本国内でも発売を開始するという。

 なお、MusicCastが映像に対応せず、音楽専用であることについて聞いたところ、「IEEE 802.11b無線LANの帯域から映像配信が難しいということもある。しかし、それだけではなく家庭内で、共有して楽しむコンテンツとしてより現実味があるのは音楽だと判断した」という。

 また、MusicCastにPCが接続できないことについては、「著作権保護のため、PCをあえて排除したシステムにした。たとえば、PCでは、ストリーム配信された楽曲をデジタルで記録しておくことが原理的に可能であり、これをメーカーとして正式にサポートすることはできない」と話した。


■ 薄型マルチフェーズ・アレイスピーカーの試作機を公開

気になる音質だが、会場内が騒音に充ち満ちていることもあり、今回はまともに聞くことはできなかった
 ブースでは、縦2列に配置した16基のφ3.5cmの小型フルレンジ・トランスデューサを独立駆動する薄型スピーカーの試作機も公開された。

 製品名は、まだ決まっておらず発売時期も価格も未定で、今回の展示では「Multi-Phased Array Speaker System」(多相配置スピーカーシステム、以下MPA)という方式名称のみ掲示されていた。

 詳しい特徴は、今回は一切明らかにされなかったが、個々の小径ユニットが異なる位相の波形を出力し、システム全体で高品位なサウンドを出力するような、現行のマルチWAYスピーカを拡張発展させたものと想像される。

 こうしたタイプのスピーカーとしては、パイオニアのデジタルサウンドプロジェクタ「PDSP-1」があるが、MPAスピーカシステムは「仮想音源技術を使ったマルチチャネルサウンドを再生するものではない」(同社)という。むしろ「高音質タイプの平面スピーカとして捉えて欲しい」とのことだ。

 開発コンセプトも「PDPやLCDなどの平面映像デバイスと組み合わせたときに違和感がなく、しかも高音質である」というもの。しかし、現時点では専用のデジタルアンプで駆動されるシステムのため、現行のスピーカーシステムとそのまま置き換えることはできない。そのため、ホームシアターパッケージや、PDPやLCDなどの平面テレビの組み込みスピーカーとして利用される可能性が高いだろう。


■ ヤマハ初のデジタルパワーアンプ「MX-D1」

 アンプ回路を完全デジタル化したデジタルパワーアンプが「MX-D1」。現行ヤマハ製品にはパワーアンプとして「MX-1」という製品があるが、型番的には「そのデジタル版」という位置づけになるだろう。

 デジタルアンプは、エネルギ変換効率がよいという利点があるものの、「音質的にまだまだ」という声もあった。しかし、「MX-D1で、その認識は変えて頂けるはず」と、ヤマハの同製品に対するコメントは自信に満ちあふれていた。

 モジュレータは「YDA133」、パワーMOSドライバは「YDA134」を採用。いずれも新開発の自社製チップだ。主なスペックは以下の通り。この薄さで、500W + 500Wの大出力を実現してる。

 念のために補足しておくと 本機はAVアンプではなく、パワーアンプという位置づけのため、入力も出力もアナログ2ch。発売時期は夏頃。価格は4,000~5,000ドルを予定。日本国内での発売時期、価格については未定たが、発売は計画されている。

【主な仕様】

  • 定格出力:500W+500W(8Ω)
  • ダイナミックパワー:1000W+1000W(8Ω)
  • 周波数特性:1Hz~100kHz(±3dB)
  • 歪み率:0.003%(1kHz)
  • S/N比:120dB以上(20kHz、IHF-Aショート)
  • チャンネルセパレーション:100dB以上
  • ダンピングファクター(DF値):200以上
筐体は、シルバーとブラックの2種類が用意される スペックからは想像できないほどシンプルなMX-D1内部。増幅をデジタルで行なうことにより巨大なヒートシンクが不要。重さも軽く本体サイズも小さく、動作時の発熱もきわめて少ない


■ NSシリーズの新モデル

●NS-777/NS-555

 NS-777は、いわゆるトールボーイタイプのシステムで、20cmウーファユニットを2基実装、13cmミッドレンジを組み合わせ、ツィータには新開発のコアキシャル(同軸)ユニットを採用する。ウーファユニットは日本でも既発売のNS-515系のPMD(Polymer InjectedMica Diaphragm)ドライバが採用されている。

 ボディは新開発の「Elliptical Form」と称される、緩やかな曲面デザインになっており、塗装もピアノフィニッシュが施され、独特な高級感を醸し出している。価格はペアで699ドルを予定。日本国内での発売も予定されているが、カラーリングは異なる可能性もあるという。

 NS-555は、ツィータなどはNS-777と同じものを採用しながらも、ウーファユニットは16cmタイプを採用した、NS-777の下位モデル。こちらはペア499ドルを予定。

ウェーブガイドがアルミではなくプラスチック製となっているなど、位置づけ的にはNS-8HXの下に位置する製品のようだ。しかし、外観や音質は優るとも劣らぬレベルに仕上げられている このカーブが施されたデザインを、YAMAHAでは「Elliptical Form」と呼んでいる

●NS-C444/NS-333

NS-777との組み合わせが奨励されるセンタースピーカーシステム「NS-C444」。ダブルウーファ方式を採用し、ツィータはNS-777と同タイプのものを実装する。価格は149ドル(1本)を予定。

 ボディデザインはNS-777同様のElliptical Formで、ピアノフィニッシュカラーリングが施されている
 NS-777と組み合わせるブックシェルフ型のスピーカーシステム「NS-333」。主にサラウンドスピーカーとしての活用を前提とした製品だが、メインスピーカーとしてのポテンシャルも兼ね備えるという。価格はペアで199ドルを予定。

 同軸ツイータを搭載、Elliptical Formボディ、ピアノフィニッシュカラーリングといったフィーチャーは、NS-777と同様

●6.1chシステム「NS-P236/P436」

 日本でも既発売の5.1chシステム「NS-P230」にサテライトを一基追加した、6.1chシステム「NS-P236」。サテライトスピーカーはNS-P230と同様に、プラスチックエンクロージャ、φ5cmの同型フルレンジユニットを2基組み合わせている。価格は199ドルを予定。

 なお、日本での発売時はボディカラーはシルバーとなる予定
 こちらも日本でも既発売の5.1chシステム「NS-P430」にサテライトを一基追加した6.1chシステム「P436」。サテライトスピーカーは、φ5cmのフルレンジユニットと同軸タイプのツィータユニットを採用。価格は299ドルを予定している。

 日本での発売時はボディカラーがチェリー木目調、またはシルバーになるという

□2003 International CESのホームページ(英文)
http://www.cesweb.org/
□米YAMAHAのホームページ(英文)
http://www.yamaha.com/
□関連記事
【2002年11月28日】パイオニア、スピーカー254個のプラズマ向けサラウンドシステム
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20021128/pioneer.htm

(2003年1月11日)


= 西川善司 =  ビクターの反射型液晶プロジェクタDLA-G10(1,000ANSIルーメン、1,365×1,024リアル)を中核にした10スピーカー、100インチシステムを4年前に構築。迫力の映像とサウンドに本人はご満悦のようだが、残された借金もサラウンド級(!?)らしい。
 本誌では1月の2002 International CESをレポート。山のような米国盤DVDとともに帰国した。僚誌「GAME Watch」でもPCゲームや海外イベントを中心にレポートしている。

[Reported by トライゼット西川善司]


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