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株式会社電通国際情報サービス(ISID)は、DV映像をIPネットワークで送受信するDVTS(Digital Video Transport System)ソフトウェア「DVcommXP」(デブコムエックスピー)を3月18日に発売する。出荷開始は3月24日からで、標準価格は1ライセンス9,800円。対応OSはWindows XP。なお、評価版のダウンロードも開始している。 DVTSとは、「DV over IP」技術を使ってDVの映像を圧縮することなく、そのままネットワーク上に配信するシステム。慶應義塾大学の村井純教授が代表を務めるWIDE(Widely Integrated Distributed Environment)プロジェクトが開発し、UNIXのプラットフォームを中心にフリーウェアとして提供されてきた。
DVをネットワーク配信するには30Mbps以上の帯域が必要となるため、主に企業のイントラネットでの使用を想定しており、すでにテレビ会議やイベントの中継などで使われている。MPEG-2やMPEG-4と比較すると、リアルタイムエンコード、デコードに特別なハードウェアを必要とせず、IEEE 1394インターフェイスを搭載したPCとDV機器があれば、安価に高品質の映像配信が行なえるというメリットがある。 しかし、DVTSにはUNIXを使用するという敷居の高さや、コマンドラインによる複雑な操作、マザーボードやネットワークカードとの相性問題といった問題点がある。そこで、同社は倉敷芸術科学大学と共同開発を行ない、Winows XP用の商用ソフトウェアとして「DVcommXP」を開発したという。
「DVcommXP」の最大の特徴は、GUIを搭載したことで操作性が向上したこと。片方向、双方向の送受信に加え、1台のPCから複数のPCに同時配信するマルチキャストにも対応する。さらに、PCの処理能力が高ければ、複数のPCから送られた映像を同時受信することもできる。 また、従来のDVTSは、送られて来たDV映像をPCに接続したDV機器でコンバートし、テレビなどに映像を表示させていたが、DVcommXPは受信した映像をPCのディスプレイにウインドウ表示できる。さらに、相手に送信している画面を自分のディスプレイでチェックすることも可能。IPv6にも対応するほか、DVTSとの相互接続も行なえる。 推奨システムは、片方向伝送の場合でPentium Ⅲ 500Mz以上、メモリ128MB以上。双方向伝送の場合、Pentium 4 1.8GHz以上、メモリは256MB以上となっている。また、受信映像の全画面表示や、送受信画面の同時表示などを行なう場合は、GeForceやRADEONといった高性能GPUを搭載したビデオカードの使用が推奨されている。
■ DVのネット配信を進める理由
MPEG-2やMPEG-4を使わず、あえてDVをネットワーク配信する理由について、同社のe-テクノロジー統括部 先端技術研究グループ 主幹研究員の熊谷氏は「30Mbps以上の帯域を使うシステムと言うと“悪”というイメージがある。しかし、企業内や家庭内でも100M~1Gbpsのネットワーク環境は広がりつつある。また、せっかくブロードバンドが普及しているのに、圧縮ばかりでは後ろ向きだ。帯域を忘れ、帯域を存分に使うシステムも必要だ」と述べた。 また、DVの利点として「MPEG配信では到達していない“TV並みの画質”が得られる。また、フレーム圧縮をしないため、編集が容易。エンコードなどの手間も省けるし、何より身近にある機器でシステムを構築できる点が強み」(同氏)という。 同社ではこのシステムを既に活用しており、社内イベントの中継やテレビ会議などで使われているという。また、離れたオフィスとオフィスを繋ぎ「どこでも小窓」と名付け、まるで同じオフィスにいるかのように、社員同士が気軽に会話できるシステムを設置しているという。 なお、DVcommXPの今後について熊谷氏は「現在、通常の30フレームを間引き、1フレームを送信することができるが、占有する帯域は30分の1にはならない。狭帯域でも低フレームレートならば使用できるように、データ転送の平滑化を実現したい」と述べた。また、ブラウザなど、ほかのアプリケーションへの組み込みも考えていきたいという。
(2003年3月18日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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