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3月18日発表
すでにサンプル出荷を開始しており、量産開始は2004年第1四半期を予定している。10万個以上発注時の単価は30ドル以下。
DVD20は、DVD/HDDレコーダ向け製品として、1チップに映像と音声の圧縮/伸張機能を内蔵。TIのDCES(デジタル・コンシューマ・エレクトロニクス・ソリューションズ)カンパニーの筑波テクノロジー・センターと、DVD事業部により日本で開発された。DCESカンパニーでは、DVD事業を事業の中核と位置づけ、今後も製品をさらに充実させるとしている。 1チップに、同社の160MHz DSP「TMS320C55x」に加え、108MHzの32ビットRISCプロセッサ「ARM9E-S」を内蔵し、さらにMPEG-1/2、DVビデオコーデック、ストリームコントローラ、OSD用グラフィックエンジンを集積。従来、3~4チップを必要とするバックエンド処理を1チップで実現した。「現在のところ、1チップ化して量産しているメーカーはない」(同社)という。
0.13μm 6層銅配線プロセスを採用し、パッケージは388ピン プラスティックBGA35mm角となっている。なお、リファレンスソフトウェアとAPIにより、「ユーザーの開発期間の短縮に貢献する」という。
DVD20の特徴の1つとして、同社が新たに開発した「@YourPace(アットユアペース)」技術が搭載された。0.5~2倍速までの音声付き再生が可能で、再生速度は1/8ステップで設定できる(採用メーカーによりカスタマイズ可能)。
音声に関しては、TIがDVD20用に開発したTSM(Time Scale Modification)アルゴリズムを使用している。@YourPaceの技術内容の詳細は、特許出願中のため明らかにされなかったが、「間引き方式ではなく、独自のTSMアルゴリズムにより、音程も変わらず完全なリップシンクを実現。音楽も高音質で再生可能」とし、「通常生時の画質と音質を保ちながら、自分の好きなスピードで再生を楽しめるようになる」と解説した。 DVD20は、3本のMPEGストリーム処理(エンコードは1本のみ)が同時に行なえる。録画に1本利用した場合でも、再生に2本の処理能力を使用できることになる。これにより、録画中であっても、倍速再生時に等速再生と同じI、P、Bフルピクチャ再生が行なえる。具体的には、同時録画再生時(裏番組録画中)や、追っかけ再生時にも、@YourPaceが適用可能となる。 ハードワイヤードコアでMPEG-1、MPEG-2、DVのコーデックに対応しており、さらにDSPでMPEG-4(CIF/15fps、デコードのみ)、JPEG(100万画素/秒、デコードのみ)もサポートする。オーディオのデコードは、リニアPCM、MPEG-1 Layer-2、ドルビーデジタル5.1ch、MP3、AAC 2ch、WMAに対応。さらに2003年下半期に、ドルビーデジタル EXや、DTS-ES、DVDオーディオ、ドルビープロロジック II、TruSurroundも、サポートを予定している。 エンコードは、リニアPCM、MPEG-1 Layer-2、ドルビーデジタル2ch、MP3、AAC 2chが可能。エンコード可能なフォーマットは、すべて@YourPaceが適用可能で、さらにWMAにも使用でき、DTSについても対応予定。 発表会では、同社のバックエンドプロセッサのロードマップも公開された。2003年末には、IPコンバータとビデオエンコーダを集積し、PCIバスと2chのHSDIを追加した次期製品を予定。 ホームサーバー向けとして、PCIバスを装備し、外部リンクを2ch持つ事で、「DVをDVDに録画しながら、BSデジタルを視聴する」といったことが可能になる。
また、2004年末には、0.09μmプロセスを採用しフロントエンドとバックエンドを集積した低価格化を予定している。「このころには、1,500ドルを切るレコーダも登場しているだろう」とした。同時期には、ハイエンド向けとして、ハイビジョン対応のチップも予定されている。まだ、DVDレコーダ用のハイビジョン録画コーデックについては、HD-DVD9や、MPEG-4など候補がいくつか出ている段階だが、柔軟に対応していくという。 DVD20の採用メーカーについては、「まだ、話せる段階ではないが、各社の反応はいい。搭載製品は、秋商戦は難しいだろうが、年末から来年にかけて出るのではないか」(同社)と話していた。組み合わせる、フロントエンド(アナログ/デジタル)についても、夏ぐらいに提供できるという。 日本テキサス・インスツルメンツのDCESカンパニー プレジデント 岡野明一氏は、「TIのDVDプレーヤーにおけるシェアは、アナログフロントエンドで60%、DVDフロントエンドコントローラで10%、オーディオDACで60%を占めているが、バックエンドコントローラは今までなかった。現在、DVDレコーダ市場は急速に伸びており、VHSの置き換えが進むと考え、今回DVD20を開発した」と、開発の経緯を説明した。
また、同社が2004年に描く、DVD+HDDレコーダ(リビングルームのAVボックス)のイメージも提示。 「リビングルームのAVボックスには、IntelとMicrosoftのプラットフォームを使うというアプローチもある。しかし、個人的な意見ではあるが、リビングではやはり、リモコンを押したらすぐに反応してほしい。起動に何秒もかかるものは使いたくないと考えている」(岡野プレジデント)と解説した。
「DVD/HDDレコーダの動画処理を行なう、デジタルバックエンドプロセッサは、デジタル情報家電のコアとなる機能を果たす重要な製品であると位置づけている」という。
また、発表会会場では評価デモも行なわれた。試作機で@YourPaceが実演されたほか、DVDビデオフォーマットでディスクに書き込み、一般的なDVDプレーヤーで再生して見せた。なお、デモで書き込んだのはビデオフォーマットだったが、VRフォーマットにも対応しているという。
□日本TIのホームページ (2003年3月18日) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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