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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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ソニーは24日、2002年度連結決算を発表した。売上高は前年比1.4%減の7兆4,736億円だが、営業利益は37.7%増の1,854億円、純利益は同750%増の1,155億円となった。しかし、同時に発表された第4四半期決算は、当初の見込みを下回り、売上高は前年同期比で12.2%減の1兆6,544億円、営業損失が1,164億6,700万円、純損失1,111億4,400万円と大幅な赤字となった。
発表を行なった徳中暉久グループCSOは、第4四半期を「大変厳しい結果となった」と切り出した後、部門別の通期業績を解説した。 エレクトロニクス分野は、アイワ製品やバイオシリーズの売上減により、売上高は前年比7.5%減の4兆9,405億円となったが、コンポーネント部門の構造改革のほか、プラズマテレビやデジタルカメラ、クリエ、CCDなどの事業が伸張。前年の12億円の営業損失に対し、営業利益414億円と黒字化した。
ゲーム分野では、日本市場でのハードの普及が進んだことと、低価格化戦略により、売上高は前年比4.9%の減の9,550億円となった。しかし、欧米でのハード/ソフトの販売数量の増加やハードのコストダウンにより、営業利益は1,127億円と前年比35.7%の増加となっている。 映画部門では、スパイダーマン、MIB II、トリプルXなどの映画のヒットや、DVD/VHSの販売が好調で、売上高は前年比26.3%増の8,028億円と過去最高を記録。営業利益は、前年比88.6%増の590億円となった。 一方音楽部門は、DVDの売上増が貢献し、米子会社SMEIの売上高は前年比6%増となったが、日本法人SMEJの売り上げは10%減少し、トータルでは前年比1%減の6,236億円。純損失は87億円となり、前年の202億の黒字から赤字転落となった。収益悪化の原因については、構造改革費用が1億2,000万ドルと増加したほか、違法デジタルコピーの影響や他のエンタテインメント業界との競争などを挙げている。 第4四半期は、エレクトロニクス、ゲーム、音楽、映画、金融の、全てのセグメントで売上高が前年を下回り、エレクトロニクス分野の売り上げは前年比で18.1%減の1兆252億9,500万円となった。 2003年度へ向けた方針説明を行なった出井伸之CEOは、1月の予測に対し第4四半期の売り上げが低迷した理由について、「戦争などの影響があった」と述べた上で、「エレクトロニクス分野では、3月に入ってから、在庫を抑えようと指令を出して急激に生産を落とした。これによる生産損益の悪化というのが最も大きい」とし、損益のほぼ半分がこの在庫調整の影響によるものと説明した。 続いて、新取締役会のメンバーを発表した。カルロス・ゴーン日産自動車CEOや、小林陽太郎 富士ゼロックス会長、宮内義彦オリックス会長兼CEO、山内悦嗣 三井住友フィナンシャルグループ取締役などが新たに取締役に就任する予定で、6月20日の株主総会後から同体制でスタートするとした。また、従来出井CEOが務めていた取締役会の議長を、中谷巌 UFJ総合研究所 理事長が担当。「ボードメンバーに最適な陣容を集めることができた」と述べた。なお、ゴーン氏の就任には、取締役会の推薦を受け、出井CEOが電話で要請したが「30秒で快諾いただけた。ディシジョンの早い人だと感心した」という。 また、新たに業務執行役制度を創設し、取締役会/執行役員会/業務執行役員会の3つの会合で、戦略的な討議を行ない、本格的な構造改革を行なうと説明した。
出井氏は、構造改革に着手する理由について、「20世紀のビジネスモデルが、21世紀に続くとは限らない」とし、産業構造の転換が起きており、「特に半導体、ネットワークの進化の速さや、東アジア地域の電子工業の発展、流通の大手集約化などにより、どのように利益を上げていくかという“プロフィットモデル”が変化している。しかし、どのようなプロフィットモデルが最適か、まだ確立できていない」とした。 一方で、「ソニーの利益率は、'97年の7.6%を最高に、今では3%程度と減少しているという状態で、満足できる状態ではない。魅力ある商品を出して、胸を張ってやっていけるように構造改革の変革に着手したい」と述べ、「2006年にソニーは60周年を迎える。会社そのものが若返ってがんばっていかないといけない。2006年に向けてプロフィットモデルを描いて、営業利益率10%を目指していきたい」と意気込みを語った。 具体的な取り組みとして、2006年に向けて、5,000億円の半導体投資や、研究費、IT関連技術の研究所の創設などに5,000億円を計上するなど、総額1兆3,000億円の投資を予定しているという。 新戦略による具体的な製品としては、ゲームと、コンシューマエレクトロニクス機器の融合による新製品、新しい形のテレビなどで、新たな可能性を追求し、プロフィットモデルを確立するという。また、6月を目処に「クオリア」という新ブランドの投入を予定しているという。詳しくは語られなかったが、「価格だけではなく、持つことで価値を感じられるような製品」という。クオリアについては「新たなプロフィットモデルとして期待している」(出井氏)という。 また、質疑応答の席で、「ソニーの今後のビジョンを教えてほしい」といった質問に対し、出井氏は「パソコンのような水平分業型とも、垂直統合型とも異なり、ネットワークにつながるさまざまなものに対応する。たとえば、テレビのような家の中でのネットワークのインターフェイスとなるものは押さえていきたい。また、ウォークマンから、ネットワークウォークマンとなったように、移動中の人がどこでも情報を楽しめる“ネットマン”というような形も考えられるが、これには送り手の変化も必要だ。送り手は、放送局ということになるが、ソニーは放送局にも強い」。「リビングと、アウトドアに圧倒的に強い会社になりたい。今、成熟期といわれる製品のほとんどを新しいものに置き換えていきたい」と語った。 なお、2003年の業績予測については、売上高が前年比1%減の7兆4,000億円、営業利益は同30%減の1,300億円、純利益が同57%減の500億円と、減収減益になるとしている。
□ソニーのホームページ (2003年4月24日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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