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800万画素D-ILAプロジェクタをディジタルシネマ・シンポジウムでデモ


デモで使用されたD-ILAプロジェクタ
6月2日開催


 ディジタルシネマ・コンソーシアムなど3団体は2日、都内で「デジタルシネマ・シンポジウム2003」を開催、その中で解像度3,840×2,048ドットのD-ILAプロジェクタによる「超高精細ディジタルシネマ」のリアルタイム配信をデモンストレーションした。

 ディジタルシネマコンソーシアム(DCC)、デジタルシネマラボ/デジタルシネマ研究コンソーシアム、デジタル映像事業委員会(DCAj)などが主催するイベントで、超高精細ディジタルシネマを紹介したのは、DCCに参加するNTT未来ねっと研究所のメディアネットワーキング研究部メディア処理システム研究グループリーダーの藤井哲郎工学博士。

4Kフォーマットの位置付け 配信システムの構成 配信デモはIPベースで行なわれた

 映像は各色10bitの800万画素(3,840×2,048ドット)、24fpsで、DCCでは水平方向の解像度から「4Kディジタルシネマ」と呼んでいる(HDTVは2K)。圧縮フォーマットはMotionJPEG 2000を採用し、その理由を「RGB10bitや多重解像度に対応しやすいため」と説明する。

 フィルムスキャン後、電子透かし刻印を付加することも可能で、MotionJPEG 2000に変換・圧縮された映像は、配信サーバーからIPネットワークへ流される。配信先でデコードされた映像を、専用のD-ILAプロジェクタで表示する仕組み。

 今回は、TAO幕張ビガビットリサーチセンターからIPベースでリアルタイム配信を行なった。経路は幕張から大手町までがJGNのATMベース(622Mbps)、大手町から会場の銀座までをメトロイーサのI/PGbE(Giga bit Ethernet、1Gbps)。

上映された大森一樹監督「明日からの記憶」(一部)。インターポジからのスキャンとオリジナルネガからのスキャンを行なった 独ARRI制作の「Circle of Love」より。は35mmと65mmのスキャン(オリジナルネガ)を公開
※スクリーンに投射した映像をデジタルカメラ「COOLPIX4500」で撮影しています

 映画「スター・ウォーズ エピソード 2 クローンの攻撃」などのような撮影から配信までをデジタル化するアプローチとは異なり、DCCでは35mm映画フィルムで撮影してスキャン、配信するシステムを目指している。1080p(HDTV)を超える解像度3,840×2.048ドットに挑戦したのは、35mm映画フィルムの高解像度をそのままデジタル化するためだという。

 すでに、ハリウッドでの評価実験も実施している。まず、2002年6月にパラマウント映画から招待を受け、インターボジフィルム(作品はブレイブ・ハート)からのデジタル化を実施。パラマウントのLewellen社長は「プロトタイプとして満足いく結果。デジタルで困難な緑の色再現がよく、カットによってはフィルム以上の品実を実現している」とコメントしたという。また、「黒の表現力が良く、DLPより優れている」との評価も得たとしている。

デジタルシネマの標準化動向
 2002年10月にはハリウッドのデジタルシネマ評価機関、南カリフォルニア大学ETCにおいて、ハリウッド7大スタジオの技術陣100名を招いての実験も行なった。DCCの800万画素プロジェクタのほか、35mmアンサープリント、HDTV、DLPとの比較も実施し、優位性を実証したとしている。その際、MPA(Motion Picture Association、7大スタジオによる団体)内のDCI(Digital Cinema Initiative)の技術担当者、Walt Ordway氏は「デジタルシネマのハイアラーキの頂点を4K×2Kの解像度でとりまとめを進めたい」とコメントしたという。

 DCCによると、デジタルシネマの標準化作業は、SMPTE、ITU-R、MPEG(Moving Picture Expert Group)の各団体にDCIが絡み、DCIとITU-Rとは主導権争いで対立中。また、DCIはMPEGにMPEG方式の動画圧縮を使用しない旨を通告している。DCCでは標準方式のハイエンドとして、DCIがDCCの4K方式を本年末にも策定すると見込んでいる。

 なおDCCは、5月にNPO(特定非営利組織)に認定された。藤井氏は一連のデモンストレーションの後、「ようやく技術が完成した。次はビジネスモデル構築のフェーズ」とプレゼンテーションを締めくくった。

□NTT未来ねっと研究所のホームページ
http://www.onlab.ntt.co.jp/jp/
□ニュースリリース(HDストリームの高域同時他地点配信に成功) http://www.ntt.co.jp/news/news03/0305/030530.html
□ディジタルシネマ・コンソーシアムのホームページ
http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema/
【2002年6月6日】デジタルシネマ・研究コンソーシアム、IPv6を活用した短編映画
-遠隔撮影、コンピューター制御の照明装置など実験的な試み
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020606/dcc.htm
【2002年4月2日】デジタルシネマ・研究コンソーシアム、IPv6でのHD配信など研究成果を報告
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20020402/dcc.htm
【キーワード】JPEG2000(J2K, JP2)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010524/key166.htm#JPEG2000

(2003年6月2日)

[AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]


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