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松下電器産業株式会社は1日、東京・有明のパナソニックセンターで記者発表会を開催。ユビキタスネットワーク社会の到来を見据え、同社の考える「ネットワーク家電」のコンセプトと、それを実現するための新しい技術を発表した。 冒頭、同社の櫛木好明常務は「easy networking」をキーワードに、ネットワーク家電を使った「夢・感動」、「便利・快適」、「安全・安心」、「環境共存」を実現する新しい生活環境を提案すると宣言。それを実現するための技術として「ホームネットワークテクノロジ」や、3つの「セキュアテクノロジ」などを紹介した。 同社は'95年に、社会システムと繋がる家庭内情報基盤の実現を目的としたコンセプト「HII」(Home Information Infrastructure)を提案。'99年にはHIIを実線するコンセプトハウスを開設するなど、関連事業の推進と標準化活動を行なってきた。その後、ブロードバンドインフラの整備や、インターネット接続可能な携帯電話の普及などにより、2001年からHIIの概念を拡大した「eHII」構想(e-Home Information Infrastructure)を提案していた。
櫛木好明常務はこの構想に沿った展開として、2003年に発売した「ネット家電商品」を紹介。 具体的には、インターネット接続サービス「Tナビ」に対応したデジタルテレビやデジタルチューナ。携帯電話を使い、屋外から録画予約ができるDVDレコーダ「DMR-E200H」と、DIGAシリーズに同様の機能を追加するブロードバンドレシーバー「DY-NET2」。宅外のPCや携帯電話から家の様子をモニターできるホームネットワークステーション、ネットワークカメラ。そして、ネットワーク機能を備えた冷蔵庫や洗濯機などの白物家電と、そのネットワークを統括する「くらしステーション」が挙げられた。 同社ではこれらの製品を「ホームネットワーク家電の第1弾」と位置づけ、今後はIPv6対応機能や、無線通信機能などを積極的に家電製品に投入し、ネットワーク機能をより強化していくという。
そのための技術として、3月にHD映像の無線伝送が可能な5GHz無線LAN用チップセットを開発。今後、AV伝送は5GHz無線で行ない、通話通信用は2.4GHz無線、PCなどのデータ伝送はIEEE 802.11g、白物家電は400MHzの特定省電力無線を利用するという。また、部屋の中は無線で統一、部屋間は電灯線やテレビの同軸線を使ったブリッジ接続も想定している。
IPv6については、ネットワークの安全を守るため、「IPコンパクトテクノロジ」、「ネット家電向けDRM」、「ネット家電サーバ技術」の、3つのセキュアテクノロジを開発したことを明らかにした。 「IPコンパクトテクノロジ」は、IPv6モジュールをコンパクト化する技術。モジュールは通信を行なうソフトウェアと暗号処理ハードウェアからなり、プログラムサイズは同社従来比3分の1となる70KB。処理能力の低いCPUでも、セキュリティを確保しつつ、CPU性能に対して業界最速という100MbpsのIPsec通信が可能になっている。
「ネット家電向けDRM技術」では、業界標準のコンテンツ保護技術「DTCP」を拡張し、IPネットワークに対応できる「DTCP/IP」を開発中。著作権を保護しながら、家庭の有線/無線LANとIPネットワークの融合を目指すという。
また、「ネット家電サーバ技術」として、既にDIGA「DMR-E200H」やブロードバンドレシーバー「DY-NET2」、「くらしステーション」に実装されているリアルタイム宅外制御技術を、今回新たに「KEBAB」(ケバブ)と命名。 KEBABは家庭のルータのNATを超えた通信を可能にし、自宅に割り当てられるグローバルIPの特定を行なうサービス。現在「DMR-E200H」と「DY-NET2」では、株式会社アイラテが提供するEPGサービスとKEBABを併用しているという。 なお、IPv6対応機器が普及した場合、グローバルIPの監視は不要になるため、KEBABは複雑で覚え難いグローバルIPアドレスを、一般の消費者がわかりやすい言葉(キーワードやニックネームなど)に変換するナビゲーション的な役割を担うという。
■ ネット家電に搭載するOS 櫛木常務は質疑応答の中で、ネット家電の同社における売上高は、2003年で約1兆5,500億円、本格的な普及が見込める2005年には、5兆5,000億円程度になると予測。普及のシナリオとしては、「携帯電話から始まり、AV機器、通信機器、ホームステーションや白物家電へと繋がっていくだろう」との考えを示した。 また、ネット家電に採用されるOSとしては、現在携帯電話に多く搭載されているMicro-ITRONだけでなく、Windows CEやLinuxなど、幅広い選択肢を考慮しているという。さらに、櫛木常務は米Microsoft、マイクロソフト、T-Engineフォーラムの3者が開発発表したネット家電向けOSについても触れ、「適材適所。その製品に適したOSなら、採用する可能性もある」と述べた。
■ 1セグの地上デジタル放送に対応した携帯電話などを展示
発表会では、開発中のネット家電の参考展示も行なわれ、地上デジタルの1セグメント放送受信に対応したチューナ一体型のOFDM復調LSI、アンテナエレメント、アンテナ制御モジュールなどが展示された。 チューナを一体化したOFDM復調LSIは、20×28×2mm(縦×横×厚み)と業界最小を実現。消費電力も200mWと小さく、テレビを3時間程度視聴した後でも、十分な待ち受け時間が確保できるという。 携帯電話などへの組み込みを想定しているが、SDIOカードタイプの開発も進められており、SDIOカードスロットを持つ携帯電話やPDAなどに、後から地上デジタルテレビ受信機能を追加できるようになるという。
また、現在白物家電で採用されているネットワーク機能「くらしネット」と、AV製品の連携も提案。参考出品だが、くらしネットの中継ステーションと、Tナビを搭載したテレビを接続することで、テレビの画面を見ながら、テレビのリモコンでエアコンの温度調節や照明の調整、冷蔵庫や電子レンジ、室内カメラなども制御できるという。
□松下電器のホームページ
(2003年10月1日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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