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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2003」が7日、千葉県・幕張メッセで開幕した。2日目となる8日には、ブルーレイディスク関連のセッションが開催され、関連各社の代表が講演を行なった。 パイオニア株式会社 執行役員研究開発本部次長兼AV開発センター所長の松村純孝氏が、ブルーレイディスク(BD)の現状を紹介。今年から来年にかけて書き換え型で2倍速を目指すといった、ロードマップを提示した。
続いて登壇した、三菱電機株式会社 先端技術総合研究所蓄積メディア技術部部長の小川雅晴氏はBDの概要、高密度化技術や、信号処理方式などについて解説。 BDでは保護層の厚みが0.1mmで、DVDの0.6mmに比較して大幅に薄いことが、ディスクの反りや傾きに強くなったほか、廉価に高密度/大容量化を実現できたポイントと説明した。 また、低いレーザーパワーで高速記録が行なえるという特徴があり、現在2倍速を開発中。実現されれば、追っかけ再生や同時録画再生などが可能になる。また、4倍速記録も学会レベルでは実現されているという。
ディスクの表面処理の開発も進んでおり、カートリッジ無しでも利用可能とする技術も研究されているという。
また、BD物理フォーマットの規格化状況も紹介された。既にVer.1.0が2002年7月に公開され、対応機器も発売されている書き換え型の「BD-RE」は、7月に修正版のVer.1.01が公開されており、現在は2004年半ばに発行予定のVer.1.1の作業中という。 Ver.1.1では、最大54GBの2層記録が盛り込まれるほか、2倍速記録(72Mbps)をサポートする。また、現在必須となっているカートリッジをオプション扱いとし、「ベアディスク」が採用される見込み。 追記型の「BD-R」については、2004年半ばにVer.1.0を公開予定としており、こちらも2層/2倍速記録で、カートリッジ無しのベアディスクとなる。さらに、パッケージメディア向けの再生専用規格「BD-ROM」も2004年初めに策定され、2層のベアディスク仕様になる見込み。 ■ ハードコートでディスクに指紋を付けても大丈夫ソニーブロードバンドネットワークカンパニー オプティカル開発本部の小川博司氏は、高密度化記録を実現するキーパーツ/テクノロジについて、特殊なフォトレジストを利用した「フェイズトランジションマスタリング(PTM)」や、光保護層の作成プロセスを解説した。
また、カートリッジレスディスクの保護についての研究も進めており、指紋などの汚れについては表面コートで解決するという。会場では、ハードコートを施したディスクに指紋を付けて再生を行なうデモの動画を公開し、通常用途であればベアディスクでも十分な保護性能を持っていることを強調した。続いて、Blu-ray2層ディスクピックアップや、BD、CD/DVD互換ピックアップについて、実際の開発事例を挙げた。
アメリカ松下電器パナソニックハリウッド研究所の小塚雅之所長と、コロンビア トライスターホーム エンタテインメント アドバンスド・テクノロジー・バイスプレジデントのドン・エクランド氏は、BD-ROM規格やパッケージメディアの構想などについて語った。 エクランド氏は、DVDが大きな市場を作ったことを高く評価。その上で、BD-ROMではディスクに収録されていない言語の字幕を、インターネット経由でダウンロードしたり、字幕サイズをユーザーが変更可能にするなど、新展開を期待しているという。 実際に、BD-ROMで実現が予想されるゲームや、新しいメニュー画面などを「スチュアートリトル2」の映像データを利用して提示した。 続いて、小塚氏がBD-ROMの規格の説明を行なった。BDの開発にあたり、ハリウッドの意見を最大限に取り入れたとし、「ハリウッド的には新たなビジネスモデルを模索している。例えばVHSのレンタルや、DVDの売り切りのような完結型のビジネスでなく、販売後もネットワーク経由でコンテンツを提供できるなど“なにか目新しいことをしたい”という要求が強い」という。
そうした意見を取り入れ、BD-ROMでは、ネットワーク拡張機能の開発も行なっている。その際に、オーサリングなどに多大な負荷がかからないような、コンテンツ制作環境の整備にも配慮していくという。 また、映像フォーマットに関しても、ハリウッドの協力を得てスタジオの幹部らと、画質の比較検討作業を行なった。比較はBDで採用しているMPEG-2と、AOD(HD DVD)で採用しているMPEG-4 AVCを同一環境で視聴するというもの。 小塚氏によれば、質感の再現性については「MPEG-4 AVCとMPEG-2は同等」という。しかし、12Mbps~25Mbpsまでのビットレートで、「どのビットレートであればHDパッケージ用途に堪えうるか」という点で、スタジオ関係者が主観評価でテストしたところ、MPEG-2の20~24Mbps辺りで、大多数の関係者から「OK」との返答を得られた。一方MPEG-4 AVCでは、よりハイビットレートまで同意が得られなかったという。 こうした意見やエンコーダ/デコーダLSIの開発状況、デジタル放送との親和性などを鑑みて、HD映画用の記録フォーマットとしては、「HD映画ではMPEG-2が圧倒的に有利で、MPEG-4 AVCを採用するメリットは無い」と言い切った。
また、著作権保護に関しても、ハリウッドと共同で開発を進めており、海賊版対策技術も導入。ディスク自体にコンテンツ再生用情報を物理的に格納することで、大規模な海賊版業者などへの対策としている。 BD-ROM規格は、現在Ver.0.9の段階で、基本スペックは完成しているという。来夏のVer.1.0に向けて、現在、ネットワーク機能などの拡張機能の検討が行なわれているという。
また、NHK放送技研の中村昇一 記録メカトロニクス部長も登壇し、デジタル放送に向けたNHKの取り組みなどを紹介。
放送現場での、光ディスクカメラなどのメリットに言及し、BDへエールを送った。
■ 麻倉氏:地上アナログなんか見る気がしなくなった
最後に、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏が、ブルーレイユーザーとしての提案を行ない、D-VHSと比較した際の頭出しの容易さや、メリットなどを説明。また、BSハイビジョンの録画開始以来「地上アナログなんか見る気がしなくなった」などとハイビジョンの魅力を熱弁した。 「デジタルハイビジョンを見ないと生きている価値はない」などとユーモアを交えて解説し、ユーザーからの意見として、ROMメディアや、ハイブリッドモデルへの期待などを述べた。 □CEATEC JAPAN 2003のホームページ (2003年10月8日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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