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映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2003」が7日、千葉県・幕張メッセで開幕、2日目となる8日には、東芝とNECの推進する次世代光ディスク「HD DVD(AOD)」関連のセッションが開催され、関連各社の代表が講演を行なった。 ■ 青(AO)ディスクが語源だった「AOD」は「HD DVD」に
まず、東芝デジタルメディアネットワーク社 主席技監の山田尚志氏がHD DVDのシステム概要を解説した。 山田氏は、「今まで“AOD”の名称で推進してきたが、これは社内の開発ネームで、青色レーザーを使った青(AO)ディスクだからAODと呼んでいただけ。これからは“HD DVD”として推進していく」と切り出した。 また、「ビデオ/オーディオ/データなどをひとつのディスクで扱えるようにするという、DVD立ち上げ当初の目標はかなり達成され、今まで一番成功したディスクと考えている」とした。 また、DVDの成功の理由については、「ハリウッドの参加」、「製造技術を考えた最適設計」、「ディスプレイの進歩」、「LSI/MPEG-2」などのキーワードを挙げた。そうしたDVDの成功を継続する規格として、HD DVDを位置づけているという。 その後、後方互換性の維持や、製造マージンの確保、既存設備の活用、最新コーデックの採用による必要容量の軽減などのHD DVDのテーマを紹介。現在1層15GB、2層30GBのROMが用意されるが、コスト的には1層も2層もほとんど変わらないため、2層を標準として考えているという。また、書き換え型のARW(Advanced ReWritable)は、ROMとの互換性維持を図りながら容量の増加を実現し、ランダムアクセス、ディフェクトマネジメントなどPCに要求されるスペックを満たしながら、AV用途にも対応したと話す。
DVDの既存設備を生かした量産が行なえるよう、製造マージンを確保しているほか、コーデックとしてH.264などの高圧縮な映像圧縮コーデックを採用する予定。H.264を利用した場合、DVDビデオのMPEG-2と比較して、容量で1/2~1/3の圧縮が図れる。また、既存の映画の90%をカバーできるという「132分」を、フルHD解像度で6~15Mbpsのビットレートで収録可能になるとした。 また、ディスクやドライブの開発や、量産設備にDVDの資産を活用できると説明。ただし、エンコーダの製造については、現状では難しく、次世代の課題となっているという。 ■ ノートPC用ドライブの製造が比較的容易なHD DVD
続いて、日本電気株式会社 第一ストレージ事業部統括マネージャの早津亮一氏が登壇し、「次世代光ディスクでは、2種類(AOD/ブルーレイ)があるが、NECもかつては、0.1mm(BD)/0.6mm(AOD)を平行して開発してきた。社内でも喧々諤々の議論があったが、0.6mmに統一した」と話した。
また、次世代光ディスクのテーマを「HDムービー(High Difinition)/HDデータ(High Density)」とし、「CE/AV業界、IT/PC業界に受け入れられる共通な仕様がHD DVDの魅力」と説明。さらにデスクトップ/ノートPCでの利用や、従来のCD/DVDとの完全互換、ROM/RW/Rでの統一データ構造、低コストでのドライブ/ディスク製造などのメリットを上げ、これらの観点からAODを選んだという。 また、余分な耐振構造が不要なことや、CD/DVDとヘッドを共用する3システム完全互換光ヘッドの採用により、ノートPC向けドライブの作成が容易なことなどもメリットとした。
■ アプリケーションフォーマットは現行DVDの拡張
東芝デジタルメディアネットワーク社 コアテクノロジーセンター 光ディスク開発部部長の佐藤裕治氏は、HD DVDの規格について、PC/IT系で要望の多かったデフェクトマネジメントのサポートや、AV系で要望の多い、高フォーマット効率、シームレス再生、コピープロテクションなどの特長について解説した。 アプリケーションフォーマットについては、現行DVDの拡張で、HD画像でも現行DVDプレーヤー/録画再生機と同様の操作性を実現するという。また、動画圧縮コーデックについては、MPEG-4 AVCに加え、WMV9なども検討しているという。
■ 初期の製造コストは現行DVDに対して15%アップ程度
最後に登壇した、メモリーテック株式会社 技術統括付 ニューメディア開発担当部長の大塚正人氏は、HD DVDの量産技術について解説。同社では2層記録のHD DVDの量産に向けた開発を約1年間かけて行なってきたが、技術的にはほぼ量産可能な段階と確認したという。 同社では、HD DVDのフォーマッタ、ディスク製造プロセス、評価機、BCA記録機などをパートナーと共同で開発。その多くが、従来のDVD製造装置の改良で対応可能だった。 フォーマッタでは、HD DVD変調対応のほか、パワーコントロール実装などで対応。ディスク製造プロセスでは、マスタリング工程のDVD用LBRで、光学系の改良など実施。成形プロセスでは、より精度の高い厚み、偏心、反り制御の実装などで対応したという。その結果、1層15GB/2層30GBともに、現行材料、設備、プロセス(若干の改良)でHD DVDは量産可能と実証できた。 製造コストは2004年~2005年の初期段階で、現行DVDに対して15%アップ程度と予想。数年でDVDと同等のコストに追いつくという。
□CEATEC JAPAN 2003のホームページ (2003年10月8日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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