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【CEATEC 2003 会場レポート 5】デジタル放送編
So-netが地上デジタルラジオを出品。手軽なUHFアンテナなど


期間:10月7日~11日

会場:幕張メッセ

入場料:一般1,000円、学生500円


■ 世界初のポータブル型地上デジタルラジオ

BSも地上も! みるみるデジタルプラザ

 日本放送協会(NHK)と電子情報技術産業協会(JEITA)は、地上デジタル放送に関する展示を集めた「BSも地上も! みるみるデジタルプラザ」というパビリオンを出展している。

 同パビリオンには地上デジタル放送に参加する放送局が一同に集まり、各チャンネルの放送内容などを知ることができる。実際に東京タワーからの試験電波を受信し、パビリオン内まで光ケーブルで送信しているため、一足早く地上デジタル放送を体験できるスポットだ。ハイビジョンの高画質を楽しむだけでなく、リモコンで番組情報や文字情報などを表示することも可能。

各放送局の地上デジタル番組を一足先に見ることができる 初日(7日)には、坂本剛二経済産業副大臣も視察に訪れた

ソニー・コミュニケーション・ネットワークのポータブル地上デジタルラジオ

 地上デジタルテレビに加え、デジタルラジオ推進協会(DRP)のブースも設けられており、ソニー・コミュニケーション・ネットワークが製作した1セグメント受信対応のポータブル地上デジタルラジオを展示している。こちらも実際の試験電波を受信している。

 ただし、受信機は3セグメントに対応していないため、受信できるのは音声と静止画、データ放送のみ。試作機は自由に触ることができ、放送されている楽曲のCDジャケットや曲名などの受信が可能。音声のフォーマットはAAC。ブース内限定の放送だが、アナログラジオとは異なる、良好な音質で聴くことができた。

放送は原則としてコピーワンスと言われているが、詳細は未定。録音機能も想定して、拡張スロットを装備している 放送中の楽曲情報や、収録されているCDのジャケット写真も受信可能。データ表示画面のブックマーク機能も装備している カーナビタイプや超小型タイプなど、様々な形態の商品が発売されるという

 TOKYO FMやニッポン放送、JFNCが放送を予定している3セグメント放送では、データ転送幅を生かして、異なる言語を同時に流したり、複数の番組を1つのチャンネルで同時にオンエアするなどの計画もある。この機能はエル・エス・アイ・ジャパン株式会社の業務用チューナを使ってデモが行なわれている。

 また、簡易動画・データ放送は9月30日に発表された、ピクセラのPCカードタイプのチューナでデモされている。ほかにも、各社の予定している放送タイムテーブルや、放送形態の違いなども知ることができる。さらに、地上デジタルラジオの魅力や使い方をまとめた映像CMも流されている。

複数の音声チャンネルを切り替えて受信できるエル・エス・アイ・ジャパン株式会社の業務用チューナ ピクセラのPCカードタイプのチューナ(モックアップ)と、専用ソフト。簡易動画やデータ放送の受信が可能

KDDIのPDA型地上デジタルラジオ

 なお、地上デジタルラジオの試験放送は10日から開始されるが、市場に対応チューナはまだ存在しない。

 地上デジタルラジオに対応した機器は、ほかにもKDDIのブースで見ることができる。参考出品されているのは、エフエム東京とKDDIが共同で開発を進めているPDAタイプの端末。

 3セグメント受信に対応しており、簡易動画の表示なども可能。発売時期や詳細な機能は未定だが、今後は携帯電話やPCなどの機器との連携も予定しているという。


■ 各社から1セグメント対応、地上デジタルテレビ受信機が登場

地上デジタルテレビが受信可能な携帯電話のモックアップ

 地上デジタルラジオに加え、地上デジタルテレビのモバイル向け放送(1セグメント放送)に関しての展示も、各社のブースで行なわれている。

 松下電器のブースでは、地上デジタルテレビの1セグメント放送受信に対応したチューナ一体型のOFDM復調LSI、アンテナエレメント、アンテナ制御モジュールなどを展示。それらをSDカードスロットに装着可能なモジュール化し、PDAや携帯電話などで地上デジタル放送を受信するデモを行なっている。

 チューナを一体化したOFDM復調LSIは、20×28×2mm(縦×横×厚み)と業界最小を実現。消費電力も200mWと小さく、テレビを3時間程度視聴した後でも、十分な待ち受け時間が確保できるという。

 携帯電話などへの組み込みも想定しているが、SDIOカードタイプの開発も進められており、SDIOカードスロットを持つ携帯電話やPDAなどに、後から地上デジタルテレビ受信機能を追加できるようになる。会場にはモックアップのSDIOカードを装着した携帯電話、D-snapなどが参考出品されている。

D-snapの筐体を使ったコンセプトモデル 展示機で実際に稼動していたチューナユニットは、左の写真のPDAに装着されている正方形のサイズ。2005年の本放送開始までには、右の写真のSDIOカードサイズにまで縮小するという

三洋製の地上デジタル放送対応携帯電話

 KDDIのブースでは、三洋製の地上デジタル放送対応の携帯電話を参考出品している。地上デジタル用のアンテナと、電話用のアンテナを2本装備。さらに、地上デジタル用アンテナはダイバーシティ受信方式を採用しており、イヤフォン端子に接続したイヤフォンケーブルからの信号と、アンテナからの信号を合成し、安定した受信を可能にするという。

 なお、KDDIによれば、将来は映像とあわせて、地上デジタルテレビの番組表や、番組関連情報、関連サイトへのリンクなどのデータ放送も行なわれるという。また、その際は携帯電話でインターネットにシームレスに接続可能になるとのこと。


■ 地上デジタルに対応した手軽なUHFアンテナが登場

 DXアンテナのブースでは、地上デジタル放送に対応したベランダ設置用アンテナが参考出品されている。大型アンテナのような設置工事が不要で、ユーザーが手軽にベランダなどに取り付けられるという。

 ただし、感度は落ちるため、同社では「あくまで強電界地区向けの製品」としている。発売日や価格は未定だが、「来年の初めには商品化したい」としており、価格については「2万円を切る価格を目指している」とのこと。

地上デジタル放送に対応したベランダ用アンテナ 放送局から距離のある地域でも安定した受信ができるというUHF全帯域用アンテナ

 また、マスプロのブースでも、地上デジタル放送に対応した各種アンテナを参考出品している。中でも注目を集めていたのは、コンパクトなデザインを採用した「MST2」という室内アンテナの新製品。価格は3,800円となっている。

コンパクトなデザインを採用した「MST2」 ベランダや軒先への設置に加え、天吊りにも対応するUHFアンテナ 受信感度をさらに高めた製品も参考出品されている

 また、DXアンテナ、マスプロに加え、松下電器なども、各ブースで地上デジタルチューナを展示している。

松下の地上デジタルチューナ「TU-MHD500」 マスプロの「DT200」 DXアンテナの「DIR-300」


■ 地上デジタル関連の各種モジュールや、衛星モバイル放送など

 モバイル放送は、地上デジタルとは異なり、衛星を使った携帯端末向けの放送。放送センターから発射された放送波を、Kuバンド(12~13GHz帯)を使って放送衛星に送信。そこでSバンド(2.6GHz帯)に変換し、増幅して日本全国に放送される。

 50チャンネル以上の音声チャンネルと、映像チャンネル、ニュースや交通情報、天気予報などを提供するデータチャンネルの3コンテンツで構成されている。基本的に有料サービスで、チャンネルパックなどを購入し、視聴することになる。2004年のサービス開始を予定しており、東芝やシャープ、三菱電機、マスプロなどが受信機の開発を表明している。

東芝のブースでは、実際に動画の受信・表示も可能なポータブル受信機を参考出品している。動画のフォーマットなど、詳しい仕様は未定 車載用のハイダウェイ端末 携帯型受信機を使って、車内でもモバイル放送が楽しめる車載クレードル

NECエレクトロニクスは、ハイビジョンの2画面表示を実現する開発ソリューションを展示

 NECエレクトロニクスのブースでは、2つのHD信号を専用のハードウェアでデコードし、2画面表示ができるというデコーダシステムと開発ソリューションを展示。現在開発段階だが、SD放送時には4画面表示も可能になるという。

 ほかにも、村田製作所は日本、北米、欧州各国の地上デジタル放送規格に対応したチューナを商品化。日本と北米向けには復調機能を内蔵した「TUMUDF」シリーズを、欧州向けには復調機能を内蔵しない「TUMUDT」シリーズを用意。TUMUDTシリーズは、同社従来比60%と小型化されている。


各国向けの地上デジタルチューナモジュールを展示。デジタルCATV対応の小型チューナモジュールも参考出品している アルプス電気は、復調器を内蔵した地上デジタルチューナモジュールを展示 ミツミ電機では、地上デジタル放送に対応したPDAから、ノイズを除去するスキャンシステムの技術発表を行なった

□CEATEC JAPAN 2003のホームページ
http://www.ceatec.com/

(2003年10月9日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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