BPA、BSデジタル大賞 2003を発表 －地上デジタルの牽引役からライバルへ。野茂投手も登場

グランプリを受賞した「世界遺産を行く～」と「MLB中継」のスタッフ

12月1日発表

　式典には山口俊一総務副大臣や、NHKの海老沢勝二会長、日本民間放送連盟の日枝久会長、電子情報技術産業協会の佐々木元会長などが出席。同日に放送が開始された地上デジタル放送と合わせて、デジタル放送の今後についての展望が語られた。

■ 牽引役からライバルへ

BPAの伊藤邦男理事長

　BPAの伊藤邦男理事長は挨拶に立ち、「CATV経由で視聴している人も含めると、BSデジタルは480万世帯に普及している。年末にかけて需要も伸びているので、500万世帯も夢ではない。また、3年間で世帯普及率10%という数字は、地上アナログ放送やアナログBS放送を遥かに越えるスピードだ」と述べ、BSデジタルの普及度をアピール。

　さらに、「BSデジタルは、ハイビジョンやサラウンドの素晴らしさを伝えるという意味で、地上デジタルの牽引役として立派に役目を果たした。地上デジタルチューナは、BS/CSデジタルチューナとの共用がほどんど。今後は地上デジタル放送と同じ土俵で争うライバルとして、互いに助け合い、刺激し合い、BSデジタル独自の良さを生かした番組を制作していきたい」(同氏)と今後の抱負を語った。

　また、NHKの海老沢会長は「地上デジタル放送に対応したテレビが登場したことで、視聴者も、家電メーカーも安心して購入・販売できる“安心テレビ”がやっと出てきた」と喜びを語った。

　さらに海老沢会長は、地上デジタル放送とBSデジタル放送の今後の棲み分けに関して「地上デジタルを全国に放送するためには、約300カ所の中継所が必要になる。しかし、BSデジタルは1台の衛星で全国に放送できる。そういった意味で、BSデジタルの方が地域に密着した情報を取り扱うのに向いているかもしれない」と述べ、各放送の特徴を生かした番組作りをしていきたいとした。

NHKの海老沢会長	山口俊一総務副大臣	乾杯の音頭はWOWOWの佐久間昇二会長がとった

■ 世界遺産と大リーグが普及に貢献

「世界遺産を行く～」を手掛けた、NHK情報ネットワークの大石ディレクター

　2003年度のBSデジタル大賞は、NHKが制作したハイビジョンスペシャル「世界遺産を行く 世界最大の滝～イグアス国立公園～」と、NHKとBS-i、BS フジが制作した「MLB中継」の2番組が受賞した。

　「世界最大の滝～イグアス国立公園～」は、5.1chで滝の音をサラウンド放送し、満月の夜だけ現れる「月光に照らされる虹」をハイビジョンで撮影するなどのチャレンジ精神が高く評価された。

　同番組を手掛けた、NHK情報ネットワークの大石真帆ディレクターは、「滝の音や夜の虹などの収録が難しく、音響と映像の専門デザイナーに協力してもらいながら撮影を続けた」と、撮影時の苦労話を披露。

MLB中継でお馴染み、NHK情報ネットワークの森中直樹アナウンサー

　「MLB中継」は、大リーグで活躍する松井やイチロー、野茂、長谷川、佐々木らの日本人選手の姿を生中継で伝えた番組で、普及の貢献度の高さから受賞となった。なお、BPAが実施したアンケートでは「よく観た番組・記憶に残る放送」として、他の番組を大きく引き離す結果を出したという。

　なお、「MLB中継」の受賞と合わせ、ロサンジェルス ドジャースの野茂英雄投手にも特別賞が贈られた。野茂選手は「日本で大リーグが多く放送されるようになり、ファンレターの数も増えました」と、喜びを語った。

2003年も16勝をあげて大リーグ通算100勝を達成した野茂投手。日本では午前中に試合が放送されることも多いためか、主婦層にファンが増えたという		ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手もビデオで登場。「時差の関係で、大リーグ中継は日本で朝から放送されている、日本の皆さんに“今日も頑張ろう”という気持ちになって頂けるようなプレーがしたい」と抱負を語った

　ほかにも、ラジオ放送賞として「リモコンでバキューン! BSC 双方向お年玉クイズ」(ビー・エス・コミュニケーションズ)、データ放送賞として「住まい・スマイル・リフォーム百科」(日本ビーエス放送)、キャンペーン賞として「BSデジタル映画祭 ～この夏は、大迫力で500本～」(NHK/BS 日テレ/BS 朝日/BS-i/BS ジャパン/BS フジ/WOWOW/スター・チャンネル)が選ばれた。

　なお、審査委員はノンフィクション作家の山根一眞氏、映画監督の山本晋也氏、作家・翻訳家の松本侑子さん、スポーツジャーナリストの二宮清純氏、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏、BPAの瀬下英雄理事で構成されている。

審査委員長は、ノンフィクション作家の山根一眞氏が務める。なお、推薦賞受賞者に贈られた花束は、個人的な推奨という意味で、各委員の自腹だという	映画監督の山本晋也氏	作家・翻訳家の松本侑子さん

スポーツジャーナリストの二宮清純氏	デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏	司会はNHKの石澤典夫アナウンサー、フジテレビの佐藤里佳アナウンサーが担当した

　また、惜しくも受賞に至らなかった番組の中から、素晴らしい番組に注目しようという「審査員推奨賞」が今年から新設された。ジャーナリズム部門ではハイビジョンスペシャル「核テロリズムの時代～違法流出・水面下の攻防」(NHK)、エンターテイメント部門ではクイズ「TIME OVER」(BS-i)、紀行部門では「欧州鉄道の旅」(BSフジ)が選ばれた。

　また、各審査員が個人的に推奨する番組として、ドラマW「センセイの鞄」(WOWOW)や、「サザンオールスターズ SUMMER LIVE 2003」(WOWOW)、BS朝日スペシャル「龍宮は舞い降りた～1300年の時を超える薬師寺～ 甦る白鳳大珈藍・第2部」など、計5番組が選出された。

視聴者参加型のクイズ番組「TIME OVER」(BS-i)で司会を務めるTBSアナウンサーの斉藤哲也氏、タレントの土肥美緒さん	ドラマW「センセイの鞄」(WOWOW)に出演した俳優の柄本明氏	BS朝日スペシャル「龍宮は舞い降りた～1300年の時を超える薬師寺～ 甦る白鳳大珈藍・第2部」(BS 朝日)に出演した俳優の原田大二郎氏

□BSデジタル放送推進協会のホームページ
http://www.bpa.or.jp/
□BSデジタル大賞 2003のホームページ
http://www.bpa.or.jp/award/2003/index.html

(2003年12月1日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]

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