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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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日本電気株式会社(NEC)は18日、1つの光ヘッドで現行DVDとHD DVDの記録再生が可能な互換技術を開発したと発表した。 HD DVDは、東芝とNECがDVDフォーラムに提案している次世代光ディスク規格で、従来はAODの名称で知られていた。現在、再生規格のHD DVD-ROM Ver.0.9がフォーラムに承認されている。ROMの容量は、15GB(1層)/30GB(2層)。
HD DVDでは、現行DVDで利用されている赤色レーザーダイオード(LD)と異なる、青色LDを利用する。同社では、赤色LDと青色LDを持つ互換ヘッド技術を開発し、DVDとHD DVDの両ディスクを1つの対物レンズで再生可能となった。 光源は赤色LD/青色LDともに必要となるが、ヘッドが1つとなることで、メカ部などで大幅な小型化が期待され、製造コストも低減されるという。 また、DVDとHD DVDの物理フォーマットの違いを、大規模LSIの開発により機能互換とし、装置動作を実現。HD DVDでは、高密度/大容量化を目指し、再生信号処理技術として適応型PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式を採用しているが、さらに記録符合化方式としてETM(Eight to Twelve Modulation)と呼ばれる変復調方式を開発したという。
発表会では、NEC執行役員の渡辺久恒氏が、「映像コンテンツのデジタル化、BSデジタル/地上デジタルテレビなどの開始に伴い、ハイビジョン映像時代が訪れる。HD映像時代にふさわしい、大容量で扱い易い記録再生装置が求められている」と、HD DVDが市場から要求されていることを強調した。 また、DVDの普及を例に引き、「DVDからのシームレスな移行が求められている」とし、技術的にもDVDから多くを継承しながら、製造装置などにおいても現行DVDとの親和性が高いHD DVDの特徴をアピールした。
続いて、同社マルチメディア研究所の稲田博司 研究部長が、開発のポイントを解説した。 新たに開発した互換ヘッドは、回折格子付きの非球面レンズと、波長選択性開口を採用。回折格子で波長の違いを、波長選択開口で開口数の違いを互換とすることで、互換ヘッドを実現したという。 また、新たに開発した適応型PRMLにより、高密度再生を実現したほか、ETM方式による大容量化などの新技術についても解説された。
なお、HD DVDの実用化については、「規格化の状況などを見ながら」と前置きしながらも、「映画、PCなどのキラーアプリ/コンテンツなどの立ち上がりが重要となるが、2005年頃から。規模としてはDVDを急激に入れ替えるものではなく、徐々に置き換えていくというイメージ」(第1ストレージ事業部 早津亮一 統括マネージャー)という。 会場では、HD DVDドライブを利用した再生デモが行なわれた。19MbpsのMPEG-2映像を30型ディスプレイに出力するもので、NECがコンテンツを用意、メモリーテックがHD DVD-ROMを作成した。 なお、今回は再生デモのみだが、展示機には「記録系のファンクションは入っている」という。ただし、アプリケーションの規格が決まっていないため、録画などはできない。また、現行DVDの再生も可能だが、対応する記録型DVDについては、「今後の製品戦略に関わること」とし明言は避けた。
□NECのホームページ (2003年12月18日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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