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2004 International CES ビル・ゲイツ基調講演レポート
〜 XboxをAVレシーバーに拡張するプランを披露 〜
PCが家電と融合する「シームレス・コンピューティング」を提唱


米Microsoft会長兼CSAビル・ゲイツ氏

1月7日(現地時間)開催


 すっかり、International CES開幕前夜の顔として定着した感のある、Microsoftのビル・ゲイツ会長兼CSAの基調講演が、今年も1月7日(現地時間)にヒルトン・ホテル劇場内で開催された。


■ シームレス・コンピューティングを実現するためのMicrosoftの第1手「MCX」

今年のギャグビデオのテーマも「家電とコンピュータの融合」。Xboxやらパソコンやらがいろいろ接続されたネットワークの先にあるのがトースター。ビル・ゲイツのパンが焼けるのが待ちどおしそうな表情に注目

 Microsoftが提言する今年のキーワードは「シームレス・コンピューティング」。ゲイツ氏がこれまでたびたび引用してきた「デジタル時代」。今年はその実現化を本格化させていく…… という意味を込めて掲げたキーワードだという。

 しかし、非常にありふれた言葉の組み合わせであり、なおかつ抽象的で雲を掴むようなイメージのキーワードだ。ゲイツ氏は、具体的には「たとえば、音楽、写真、動画の取り扱いが楽で誰もが自由に取り扱えること」とし、これを具現化するアイディアとして、今年Microsoftが提唱するのが「Microsoft Windows Media Center Extender」(以下MCX)と切り出した。


今年は全米人気ナンバーワンの毒舌TVホスト、JAY LENO氏が出演 と思ったらご本人登場で会場騒然。日本で“アゴ”といえば猪木だが、アメリカでは彼 ゲイツ氏とLENO氏の夢の競演でMS製品を次々に紹介。LENO氏は褒めているんだか、けなしているんだかわからない毒舌コメントで会場の笑いを誘う

昨年発表された、あらかじめ登録しておいたジャンルの最新情報が電波経由でリアルタイム配信されるSmartWatchシステムが今年ついに本格始動。しかし、日本でのサービス開始は望み薄か 2004年はHDTV解像度のWMVコンテンツの普及とその対応にも力を入れていく

中央にあるのがWindows Media Center Extenderのボックスタイプ

 MCXはWindows XPベースのテレビパソコンとしてリリースされている「Windows XP Media Center Edition」(MCE)の機能を取り込んだ、PCの周辺機器にあたる製品。

 これまで、MCEパソコンで取り扱っていた音声、映像コンテンツは「PC間で共有できるデータ」ではあったが、家電製品からは切り離されたスタイルで、AVコンテンツの活用体系が形成されていた。MCXはPCネットワークと家電ネットワークの「橋渡し」的な役割を担当する。

 仕事部屋や書斎にMCEパソコンがあり、これが家庭内LANに接続されているとする。

 そしてリビングルームには大画面テレビがあって、MCXのビデオ出力端子とそのテレビを接続。さらにMCXを家庭内LANに接続する。LANは有線でも無線でもかまわない。これでそのテレビから、リモコンを操作するだけでMCEパソコン内部の静止画、楽曲、動画などのAVコンテンツが自在に楽しめるようになるのだ。


■ XboxをMCX対応にする計画も発表

液晶テレビにMCXを内蔵させた製品も予定されている

 いってみれば、MCXは、MCEパソコンを、「より家電的に」ホームAVサーバーとして活用する新手段として提供されるわけだ。

 セットトップボックスのような単体ボックスタイプのMCXは丁度ルータ程度の大きさであり、置き場所には困らない。また、MCX機能自体を大画面テレビ機器側に組み込んだMCX内蔵型テレビ製品も企画されており、そのプロトタイプも公開された。


XboxがついにWindows Media Centerネットワークに入り込んでくる。日本ではXbox普及度が低いため「トロイの木馬」効果は期待できない?

 センセーショナルだったのが、Microsoftのゲーム機XboxをMCXに変身させるキットのリリースがアナウンスされたことだ。発売時期、導入方式、価格などは今回の講演内では一切明らかにされなかったが、実際にXboxの映像出力からMCEのメニュー画面をテレビに表示し、基本的な操作を行なって見せた。

 以前から、Xboxは「ゲーム機として各家庭に入り込み、最終的にはAV家電として活動を開始し、家庭内のMS化活動の一端を支えることが前提としたトロイの木馬だ」という説があった。ついにここにきて、それが具体性を帯びた……、といったところだろうか。



■ Portable Media Centerの発表

Creative製のPMCプロトタイプ製品。HDD容量は40GBだが、実際の製品では変る可能性もある

 もうひとつ、その「架け橋」的なコンセプトを持つ製品として非常にユニークな製品が紹介された。

 それが「Portable Media Center」(PMC)であり、読んで字のごとく、携帯型Media Centerともいうべき製品だ。PMCは、昨年のゲイツ氏の基調講演で発表されたコードネーム「Media2Go」の正式名称。

 MCEパソコンが管理するAVコンテンツを引き出す形で、PMCへ転送、これを持ち歩きながら楽しむことができる。ハードウェア自体は、カラーTFT液晶パネルとHDDを組み合わせたポータブルAVプレイヤーといったイメージだ。

 PMCへのコンテンツ転送にはUSB 2.0が利用され、SmartSyncと呼ばれるソフトウェアを利用して、MCEパソコン側のコンテンツとPMC側のコンテンツとの同期を取ることもできる。PMCで再生可能なメディアの種類は静止画がJPEG、TIFF、音声がMP3、WMA(Lossless対応)、動画はWMV7/8/9となっている。なお、MPEG-1/2はサポートしない。

 本体側には拡張メモリスロットは無く、さらにUSB 2.0でPCと接続した場合も「あえて」ストレージデバイスとして見えなくしているという。つまり、PMC側を友人のPCに接続して、PMC側のコンテンツを友人のPCへ移すような、交換行為を行なえなくしているわけだ。使い方は、良くいえばシンプルに、悪くいえば限定的になっている。

ハンドヘルド機器ライクの外観から、PDA的な機能も期待してしまうが、今回公開されたCreative製のプロトタイプには一切搭載されていないという。PMCの製品開発はiRiver、SAMSUNG、SANYO、ViewSonicといったメーカーも名乗りを上げている

 また、本体にはAVエンコーダDSPチップなどを一切内蔵していないため、ビデオデッキやDVカメラの映像をPMCへWMVとして取り込んだりするような活用も行なえない。一方、動画の再生は、PMCに内蔵されたCPU(Intel XScale)のみで行なう。あくまで、MCEパソコン側のAVコンテンツを持ち出して楽しむというコンセプトを貫いている。

 バッテリ駆動時間については、動画の再生で連続3〜4時間、音声の再生で連続10〜12時間程度とのこと。価格は399〜699ドルの範囲で、発売は2004年後半を予定している。

 なお、PMCは、MCEパソコンではなく、一般的なWindows XPベースのPCと組み合わせて活用することも可能。その場合のAVコンテンツ管理もやはりSmartSyncが行なうことになる。さらに一点補足しておくと、このSmartSync機能は、次期Windows Media Playerに統合される予定と話していた。


□関連記事
【2003年10月29日】Microsoft、HDDプレーヤー「Media2Go」の正式名称を決定
−リリース時期は2004年末に延期
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031029/ms.htm


■ 大いなるデジタル時代の海へ

 「これから湯水のように溢れかえるだろう様々なデジタルメディアを、ユーザーにとって使いやすく、あるいは“作り出しやすい”世界を実現していくことが、我々Microsoftのようなソフトウェア会社やハードウェア企業に課せられた使命。そうした一連の活動全体が、これから成熟化していくだろうデジタル時代の歴史を紡いでいくことになるのだ」

「シームレス・コンピューティング」は「デジタル時代」を支えるキーワードとなるのか?

 ゲイツ氏は講演の最後をこう締めくくった。

 コンピュータを使いやすくする。これはMicrosoft創業時からのゲイツ氏の信条である。これを実現するためのMicrosoftの主力技術がWindowsであることは今更説明するまでもないだろう。この部分についてのMicrosoftの進化が止むことはないだろうが、ここにきてMicrosoftは、自らが指揮を執り、PC業界全体を1つ上の次元へ向けて歩み出させようとしている節が伺える。

 やっと、「使いやすいコンピュータ」で「何をしていくのか」という命題に取り組み始めたというわけだ。

 この命題に対する一つの道としてゲイツ氏が掲げだしたのが「シームレス・コンピューティング」というキーワードであり、現時点では「コンピュータと家電の融合」ということになるのだろう。

 Microsoftが言い出すと、新しいコンセプトのような気がしてくるが、日本の大手家電メーカーは随分前から当たり前のように取り組んでいるし、最近では、IntelやDELLといったコンピュータ業界の大手企業までが、そうした動きを見せ始めている。

 リーダーシップを取っているように見えるゲイツ氏率いるMicrosoftも、彼がいうところの「デジタル時代」というマーケットに置いては、フォロワーに過ぎないのではないだろうか。

□2004 International CESのホームページ
http://www.cesweb.org/
【2003年1月9日】2003 International CES基調講演レポート
ビル・ゲイツ、HDD搭載AVプレーヤー「Media2Go」をアピール
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20030109/ces02.htm

(2004年1月8日)


= 西川善司 =  遊びに行った先の友人宅のテレビですら調整し始めるほどの真性の大画面マニア。映画DVDのタイトル所持数は500を超えるほどの映画マニアでもある。現在愛用のプロジェクタはビクターDLA-G10と東芝TDP-MT8J。夢は三板式DLPの導入。
 本誌ではInternational CES 2004をレポート。渡米のたびに米国盤DVDを大量に買い込むことが習慣化している。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。


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