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東映アニメーション株式会社は19日、静止画で構成される新機軸のアニメ「GA.ニメ」(ガニメ)を発表した。「GA.ニメ」の第1弾作品「~この支配からの卒業~ 尾崎豊」(TAGA-001)はDVDで4月21日に3,800円で発売される。 「GA.ニメ」とは、Glam Art Animationの略(Glam:あやしいほどに魅力的)。アニメーションという言葉が入っているが、動画部分はなく、作品は静止画とナレーション、BGM、テロップ、効果音などで構成される。 静止画は、紙芝居のように単純に表示するだけではなく、ズームイン/アウト、パン、フェードイン/アウトなどの特殊効果を交えてドラマチックに表現される。同社によれば「使用される絵の枚数が少ないため、1枚1枚のクオリティにこだわれるのが特徴」とのこと。ちなみに、第1弾作品「~この支配からの卒業~ 尾崎豊」には、150から170枚程度の原画が使われている。
「~この支配からの卒業~ 尾崎豊」は、4月25日に十三回忌を迎える故・尾崎豊氏をテーマに、デビュー前から初の東京ドーム公演までを綴った作品。作品の収録時間は約35分。映像はスタンダードサイズで、音声はドルビーデジタルステレオで収録する。 作品は5章に分かれており、それぞれ「ダンスホール」、「15の夜」、「シェリー」、「太陽の破片」、「卒業」といった代表曲をモチーフに構成される。なお、これらの楽曲はBGMとしてインストルメンタルが流れるだけで、尾崎豊の歌声は使われていない。 静止画を描いたのは、アニメ版「北斗の拳」や「ジョジョの奇妙な冒険」のキャラクターデザインや原画・作画監督などを務めた羽山淳一氏。ナレーションは尾崎豊の音楽プロデューサーである須藤晃氏が担当している。
■ アニメにおける俳句・短歌を目指す
「GA.ニメ」という新しい手法を考案した経緯について、東映アニメーションの「GA.ニメ」プロジェクトプロデューサーの柴田宏明氏は、「アニメ作品で使用される絵の枚数は増え続けており、10万枚を超える作品も珍しくない。こうした状況では、複数のスタッフが絵を分担して描くことになり、1枚の絵にこだわることは難しい。そこで逆転の発想として、1枚の絵にとことんこだわり、あえて極力枚数を少なくした作品を作ってみようと考えた」という。 しかし、「動かないアニメ」では、アニメとしての魅力は半減してしまう。その点について柴田氏は、「絵が沢山動くという魅力よりも、動かない魅力を追求した。文学に例えるなら、俳句や短歌のようなもの。あえて制約を設け、少ない言葉で表現することで、言葉の裏や間に隠された意味を感じるような作品を作りたかった」という。
「難しそうなお話だったので、最初はお断りしようかと思いました」と言うのは、静止画を描いた羽山氏。しかし、自身が大ファンだという尾崎豊氏の作品ということもあり、依頼を受けたという。
作業的にはあまり大きな違いはないとのことだが、「私はアニメーターなので、動きを使わずに何かを表現するというのが難しかった」という。セル画などと異なり、鉛筆で陰影を描いていくため「作業にのめり込むと、1日鉛筆1本を使い切ることも珍しくなかった」と話す。
尾崎豊の音楽プロデューサーである須藤晃氏は「尾崎の人生を映像化させて欲しいという話は、今まで何度も断ってきた。亡くなってからそれほど時間が経っていないこともあり、遺族の心情に配慮した面もある。また、例えば映画化されるとしても、他の誰かが尾崎豊を演じることに抵抗があった」と語る。
しかし、静止画を使ったGA.ニメという表現方法が、尾崎豊の物語に良く合うと感じたという。その理由は、「表現しずらい部分はデフォルメできるし、表示された絵以上のことにもイマジネーションが膨らむから」とのこと。
GA.ニメのターゲット層について東映アニメの高橋浩社長は、「日本のアニメは世界から高い評価を得ているが、10代後半になるとアニメとの接点を持たない人も増えてくる。そんなヤングアダルトから大人までの幅広い世代が楽しめる“大人のアニメ”を目指している」と語った。
■ GA.ニメをクリエイターの登竜門に?
第2弾作品は今夏の発売を予定している。タイトルは「現代畸聞録怪異物語」というホラー作品で、6個の物語が入ったオムニバス形式を採用。制作は、映画「リング」や「らせん」を手掛けた制作会社バサラ・ピクチャーズが担当している。
「決められたスタンダードタイプが無く、可能性は未知数」(同社)というGA.ニメだが、今後の予定についてプロジェクトリーダーの小西岳夫氏は「小説を題材にしたり、ハウツー的な教育物も考えている」という。また、制作面でも「公式サイトの掲示板で題材を募ったり、そこからプロ・アマ問わず、クリエイターが自分の絵で勝負できる場として、スタッフを募集する」などの計画も明らかにした。
□東映アニメのホームページ
(2004年2月19日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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