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東京大学の大学院情報学環と新領域創成科学研究科は9日、大学内で記者会見を開催し、アニメやゲームなどのコンテンツ創造に関わるプロデューサーやクリエイターを養成する、新しい教育研究体制を2004年秋に整備すると発表した。第一線で活躍するクリエイターを講師として招き、産学一体となって国際競争力を持った人材の育成を目指す。
この教育プログラムは「コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム」と呼ばれ、具体的には部局横断型の副教育プログラムとして実施される。受講生は東京大学の大学院生が中心だが、夏休み頃に行なう専用の試験・審査を通過した学部学生、社会人も毎年数十人受け入れるという。修業年限は2年。詳細は未定だが、取得単位の一部は、卒業単位などに使用できる可能性もあるという。
最大の目標は、コンテンツビジネスと先端技術に関する高度な専門知識を持ち、著作権などに関する法律にも詳しい、国際競争力のあるプロデューサー、技術開発者、技術教育者を養成すること。実際にコンテンツを創生するクリエイターよりも、資金の調達やプロジェクト全体の運営が行なえる人材の育成がメインとなる。
プログラムを立ち上げた動機について、大学院情報学環長の原島博氏は「日本はアニメやゲームなどの分野で強い競争力を持っている。にもかかわらず、人材育成のプログラムは曖昧にされてきた。昨今はこの分野に関する人材の要望が国内外から多く寄せられており、東大としてもそれに応える教育システムを作ろうと思った」と述べた。 また、東大がこうした試みを行なう強みや意義に関しては、「総合大学内で行なうことで、異なる分野の知識をコンテンツ創造に取り込むことができる。例えば、CGやバーチャルリアリティなどの先端技術を使ったり、コンテンツ産業論や国際的戦略論、知的財産に関する法律論を学ぶことも重要だ」との考えを示した。
さらに、講師として以下のような第一線で活躍している専門家を招き、アカデミックな教育だけでなく、より実践的な教育も実施する。授業の内容は未定だが、生徒が実際に製作現場を体験するようなカリキュラムも予定しているという。
原島氏は「中国や台湾、アメリカなどは、国をあげてコンテンツ産業を支援している。日本だけ現場にまかせきりでは競争力を失ってしまう」と話す。また、「単に人材を養成して終わりというわけではなく、こうした動きを他の大学に広めるための、人材養成モデルを作りたい。東大としては将来的に、このプログラムを学部・学科レベルに引き上げることも検討していく」と、抱負を語った。
■アニメ、ゲーム界を目指す東大生を救済
発表会には、講師として名を連ねている角川ホールディングスの角川社長が出席。角川氏は「政府の開発銀行などは、今まで重厚長大なビジネスしか支援してこなかった。しかし、コンテンツビジネスへの支援が行なえるよう、法を改定するコンテンツ事業振興法案(仮称)が国会で検討されている」と現状を説明。
また、映画界でも人材の育成は重要なテーマであるとし、「言葉は悪いが、学校で落ちこぼれた人が専門学校に入り、映画界の人材になるような図式ばかりでは困る。東大のような機関が産業界と連携していくのは喜ばしいことだ」(角川氏)と述べた。 なお、同大学は今回発表したプログラムに先立ち、「ゲームデザイン&エンジニアリング論」の中で、ゲームディレクターの鈴木裕氏をゲストスピーカーに招いて授業を行なっている。
授業の反響は大きく「教室に入りきらないほどの生徒が集まった」という。これについて大学院情報学環の河口教授は、「学生の中に、将来アニメやゲームなどのコンテンツビジネス界への就職を希望している生徒が確かにいると実感した。中には絵などが非常に上手い生徒もおり、学問の成績が良かったので親に東大に入れられたが、本当はそういう世界に進みたかったという生徒も多い。彼らを救済するためのプログラムでもある」と語った。
□東京大学のホームページ
(2004年3月9日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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