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株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズは11日、社長定例会見を開催し、2003年度の決算概要と2004年の戦略を説明。6月末から7月の初頭に、110度CS「スカパー! 110」におけるHD放送の開始や、NTTドコモと共同で、FOMAへリアルタイムに映像を配信する実験を行なうことなどを明らかにした。
2003年度の連結決算は、営業収益が前年比21億200万円増の724億7,500万円。営業利益は224億6,300万円増の41億5,200万円、税引後の純利益は232億7,700万円増の43億8,400万円となり、初の黒字を記録した。これについて重村一社長は「累計加入者数が300万件を突破したことで黒字を達成できた。2002年も黒字一歩手前だったが、ワールドカップ放送にかかる費用が170億円もあったため、黒字化は果たせなかった」と説明した。 なお、1年間の加入者状況を見ると、2002年はワールドカップ効果で61万人を記録したが、2003年度は47万1,000件に留まっている。重村社長は「アテネオリンピックや地上デジタル放送の首都圏での放送開始の前倒しなど、先の読めない要素がいくつかあるため、今後の展望は厳しい目で見ないといけない」と述べ、2004年度の新規契約件数目標を50万件に設定。内訳はスカパー! が40万件、スカパー! 110が10万件程度とした。
また、利益率については「110度CSはディーラーへのインセンティブが発生しないので、スカパー! が回収に23カ月かかるのに対し、スカパー! 110は10カ月で回収できる」と説明。今後の課題については「両者のスムーズな普及を図るため、主力であるスカパー! と、スカーパー! 110の住み分けを明確にする必要がある」という考えを示した。 これに伴い、スカパー! 110では、6月末から7月初旬にHD放送を開始。映画専門チャンネル「スター・チャンネル」を皮切りに、秋までに3chほどをHD化していくという。なお、現在のSD放送をHD化するにあたっては、1chに占めるビットレートなどの技術的な問題や、番組内容の変更などが考えられる。 この点について重村社長は「スカパー! 110はリビングに設置した大画面テレビで、家族そろって見るというイメージ。それに対して、スカパー! は専門チャンネルの特性を生かした個人向け放送という住み分けになる」とし、将来的にはスカパー! 110のチャンネル数が現在の56chから半分ほどに減る可能性も示唆した。 また、スカパー! においても、エンコーダの入れ替え作業に着手しており、2005年の夏頃に新しいエンコーダでの放送が開始されるという。これにより、従来より少ないビットレートで同質の放送ができるようになるが「同じ帯域に沢山のチャンネルを入れるか、これまでと同じチャンネル数で高画質化するかは悩ましいところ」(重村社長)だという。 なお、データ量が減ることで衛星のトランスポンダ(電波中継器)の使用料が下がり、既存の受信料が下がる可能性もあるが、「1つの番組で使用するビットレートが伸縮すると隣の番組で使える帯域にも影響が出るため、どのような放送を行なって行くかは現在検討中。価格面でもJSATなどとよく話し合わないといけない」とした。
■ ソフトへの投資を強化、プラットフォームも拡大 コンテンツ面の戦略について重村社長は、地上デジタルとBSデジタル、110度CSの3波共用チューナの普及に触れ、「ハード面に投資する時期は過ぎた。今後の投資はソフト面がメインになる」と予測。具体的には、6月に行なわれるゴルフの全米オープン、7月の全英オープンなど、大規模なゴルフトーナメントの放送権を取得したことを明らかにした。
さらに、製作費の20%を同社が負担したアニメーション作品「風人物語」(監修:押井守/制作:プロダクションI.G)、6月16日から韓国MBCと日韓同時オンエアする韓国ドラマ「いつか楽園で!」(制作:イ・ファンフィ・プロダクションズ)など、ソフトのファンドに出資することで、収益源の多様化を図っていくという。
また、新しいプラットフォームの展開については、子会社のオプティキャストが、光ファイバー網で地上デジタルなどの同時再送信を開始。現在は都市部のマンションをメインに展開しており、4棟(435戸)がサービス中。契約済みが29棟(約3,500戸)、導入見込みが約170棟(約25,000戸)と順調に進んでおり、導入マンションにおけるスカパー加入率20%を目指すという。
さらに、NTTドコモと共同で、FOMAへの映像配信サービスの実験を行なう。これは、ドコモが提供している「M-stage Vライブ」サービスを使い、スカパー! で放送している一部の番組をFOMAで視聴するというもの。実験期間は6月15日から11月30日までの予定で、現在の段階では「J SPORTS」の一部の試合や、ブルーバーグのニュースなどがリアルタイムで送信されることが決定している。
これと連動し、iアプリを使った番組関連情報の提供サービスも実施。番組の一覧や番組情報などが表示される専用の待ち受け画面が利用できるという。なお、これに伴い同社は、映像配信サービスのモニターを300人、番組関連情報のモニターを3,000人募集する。募集期間は5月11日から6月7日までで、専用サイトやiモード対応の携帯電話から応募する。参加費用は無料だが、別途通信費用などがかかる。なお、対象者はFOMA900iシリーズのユーザーで、関東甲信越地方に住んでおり、スカパー! の契約者、およびその家族に限定される。
□スカパー! のホームページ
(2004年5月11日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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