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日立、松下電器、東芝がテレビ向け液晶パネルの合弁会社を設立
−26V/32V型が主力、シェア20%強を目指す


(左から)岡村社長(東芝)、庄山社長(日立)、中村社長(松下電器)
8月31日発表


 株式会社日立製作所松下電器産業株式会社株式会社東芝の3社は、薄型テレビ向け液晶パネルの製造および販売を行なう新会社を、2005年1月に共同で設立することに合意した。

新会社の概要

 合弁会社の資本金は、600億から700億円を予定しており、そのうち、50%を日立が出資、松下電器および東芝が、それぞれ150億円ずつ出資する。そのほかに液晶パネル製造関連会社などからの出資を募ることになる。

 新会社は、日立製作所の100%子会社である日立ディスプレイズの千葉県茂原市の茂原事業所内に、2008年度には年間250万台(32V型換算)の生産能力を持つアモルファスTFT液晶パネルの製造ラインを設置。2006年度第2四半期から量産を開始する予定だ。

 製造ラインに対する設備投資額は約1,100億円を見込んでいる。

 日立の庄山悦彦社長は、「当社が培ってきたIPS液晶技術のリソースを最大限に活用できる協業だと考えている。技術的にも性能的にも競争力のある事業へと成長させることができる」とコメント。

 松下電器の中村邦夫社長は、「オリンピックの視聴率を見てもわかるように、テレビで夢や感動を与えることはメーカーとしても大きな責任があることを実感している。これを日本製のキーデバイスで構成することは大きな意味がある。今回の協業によって物づくり日本の復活に貢献したい」と話した。

 さらに、東芝の岡村正社長は、「成長著しい液晶テレビの分野において、コスト競争力があり、高画質・高性能の液晶パネルを、安定的に調達できるというメリットは大きい」と今回の提携の意義を語った。

日立の庄山悦彦社長 松下電器の中村邦夫社長 東芝の岡村正社長

 松下電器や東芝は、シャープからも液晶パネルを調達しているが、これは新会社設立後も継続的に調達する。また、両社が共同で展開している中小型液晶の生産を行なっている東芝松下ディスプレイテクノロジーもそのまま事業を継続し、新会社は、主に液晶テレビの主力となる26V型と32V型を中心とした23V型から32V型の生産に特化する。

 液晶の生産は、大画面生産が可能な方式へと移行している。

 シャープの亀山工場は第6世代といわれる技術を採用、また、サムスンとソニーとの提携によって準備をすすめている韓国の忠清南道湯井(タンジョン)工場は第7世代と言われているもので、さらに第8世代の検討も開始されている。

 今回の新会社の生産設備は第6世代と呼ばれるものだが、「液晶テレビの需要と、投資金額、製造コスト、品質といった面で最もメリットがある第6世代だと考えている。32V型、26V型のパネルに関していえば、第7世代も、第6世代も変わらない。むしろ第6世代の方が投資コストが低い分、他社との競争力が発揮できるだろう」(庄山社長)と説明した。

 だが、今回の提携の動きに対する見方は大きく分かれている。

 岡村社長が指摘したように、液晶パネルの調達に関して、安定的な確保が可能になる点は大きなメリットといえる。今後の成長曲線が大きな右肩あがりになると予測されるなかで、液晶パネルの調達は、松下電器、東芝のようなセットメーカーにとって、思い通りの製品戦略を描くという点で大きなプラス要素となるからだ。

 東芝、松下にとって、市場で評価が高い日立のISP液晶技術を活用した高精細、高画質の液晶パネルの調達で優位性を発揮できる点は大きな意味を持つだろう。

発表会では、3社が手を組むことで、画質、コスト、先進技術などが向上し、競争力が高まると説いた

 その一方で、両社の本気ぶりが伝わらないとの指摘もある。

 今回の協業は、あくまでも液晶テレビの26V型、32V型に集中した提携となる。しかも、並行してシャープからも同等サイズの液晶パネルを調達する姿勢は崩していない。

 さらに、松下電器は、「32V型以下は液晶に決めている」(中村社長)というものの、37V型以上の大画面プラズマテレビの事業を主軸としているのは明らか。東芝にしても、キヤノンと共同で研究開発を進めているSEDによる大画面テレビ来年後半にも投入する予定であり、SEDによる大画面戦略を前面に打ち出してくる可能性が強い。

 また、今回の協業によって設置される生産設備は、中小型までをカバーしている日立ディスプレイズの内部に作られることから、東芝、松下電器が共同で展開している東芝松下ディスプレイテクノロジーとは一部競合関係にある。中小型までを含めた提携に至らなかった点でも、26V型から32V型に絞り込んだピンポイントの提携戦略であり、液晶パネル事業全般に渡るものではないことがわかる。

 東芝の岡村社長は、「2008年度には液晶パネルの需要は2,800万台から3,000万台に達するといわれているが、そのうち26V型から32V型の市場規模は1,000万台に達すると予測される。新会社では、このうち20%強のシェアを取りたい」とするが、市場全体からすれば、わずか1割。この点でも、本気ぶりが伝わりにくいというわけだ。

 ただ、今回の3社に共通していたのは、液晶パネルにおける「物づくり日本の復活」という点だ。

 3社の社長コメントでも、「日本の物づくり」という言葉が相次いでいたことからもそれは明らかだ。

 液晶テレビの大きなコスト比率を持つ液晶パネル部分を、「日本連合」(岡村社長)によって抑えたいという点では、各社の「本気ぶり」がヒシヒシと伝わってきた会見だった。

□日立のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2004/08/0831.html
□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2004_08/pr_j3101.htm
□松下電器のホームページ
http://matsushita.co.jp/
□ニュースリリース
http://matsushita.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn040831-2/jn040831-2.html

(2004年8月31日)

[AV Watch編集部/Reported by 大河原克行]


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