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キヤノンと東芝、SED方式の新薄型ディスプレイ事業を共同立ち上げ
−来年8月からフルHDパネルを生産。36型SEDテレビを初披露


36型ディスプレイも展示された

9月14日発表


 キヤノン株式会社株式会社東芝は14日、新ディスプレイ技術「SED(Surface-Conduction Electron-emitter Display)」事業を共同で立ち上げると発表した。両社は10月よりSEDパネルの開発、生産、販売を目的とした合弁会社「SED株式会社」を設立する。

 SED株式会社の出資比率はキヤノン50.0002%、東芝49.998%。資本金は10億5万円。代表取締役社長には、現キヤノン取締役 SED開発本部長の鵜澤俊一氏が就任する。本社所在地は神奈川県平塚市田村9-22-5。従業員数は約300名(2005年1月時点)。

 SEDの表示原理は、CRTと同様に電子を蛍光体に衝突させて発光させる自発光型で、ブラウン管の電子銃に相当する電子放出部を画素の数だけ設けた構造となっている。このため、高輝度/高精細に加え、高い動画追従性、高コントラスト、高階調などの特徴を有し、高画質と低消費電力を実現できるという。

 SEDはキヤノンが'86年より研究を開始、'99年からは東芝と共同で実用化に向けた開発を行なってきた。今回事業化に目処が付いたと判断し、合弁会社の設立に至った。

SEDの基本原理。CRTと同じく電子を蛍光体に衝突させて発光させる自発光型だが、画素の数だけ電子源を備えている SEDの特徴

SEDの量産ロードマップ

 2005年8月よりパネル量産を開始し、当初は50インチ級を月産3,000枚、2007年には本格量産を行ない月産75,000枚を目指す。今回展示された36型SEDディスプレイはWXGA(1,280×768ドット)だが、製品投入時には最初のパネルからフルHD仕様で出荷し、テレビ製品や業務向けディスプレイへでの採用を予定している。価格については「発売時の市場状況による」としている。

 新会社は設立当初は研究開発に特化し、2007年より本格量産に移行する。なお、立ち上げ時期の製品については、両社それぞれのブランドでの展開を予定しているが、当初はキヤノンは東芝からテレビ/ディスプレイのOEM供給を受ける見込み。。

 2010年には年間300万枚以上の出荷を目指し、36インチ以上の市場でシェアトップを狙う。また、「2010年より前に黒字化と、累損解消を目指したい(キヤノン 鵜澤俊一SED開発本部長)」という。


キヤノン御手洗社長と東芝岡村社長

 キヤノンの御手洗富士夫 代表取締役社長は、「薄型ディスプレイについては、独自路線を追求するあまり、過去に苦しい失敗経験(強誘電性液晶など)がある。その時の経験から強力なパートナーを見つけることが必要だと感じていた。(共同開発を発表した)'99年当時東芝の社長だった西室さんから電話を頂いて協力することで合意。'99年の6月16日に共同会見を行なって以来、5年3カ月と長い時間がかかったが、“筋の良い技術”なので、じっと待っていた。やっと種が育ち、つぼみになったので、合弁会社の設立を決断した」という。

 時間がかかった理由については、「他方式の市場価格と競争するためのの量産技術確立に時間を要した。キヤノン単独ではものにならなかったかもしれず、東芝さんとの協力の成果は非常に大きかった」という。

 「バブルジェットのインクジェットプリンタも、特許出願は'77年だったものの、20年かかって製品化され、世界に羽ばたいた。ものになるのに時間がかかったものほど、他者の追従を許さない“独創技術”になる。SEDもそうなると期待をしてやまない」とSEDへの期待を語った。

 ディスプレイ事業参入の意図については、「カメラやプリンタなどの静止画については入出力ともに揃っているが、ブロードバンド時代には動画表示が必要となる。入力はデジタルビデオカメラがあるが、出力装置は自前でもっていない。映像を媒介とした製品群を結びつけるためにはディスプレイが必須で、これからはディスプレイが全ての電子機器の窓口となる。オフィスでは全ての事務機、家庭では全ての家電のコントロールにディスプレイが必要だ。ユビキタス時代の中心はディスプレイとなる。SEDでそれを担っていきたい」という。

 東芝の岡村社長は、「ユビキタス社会では、文字情報から動画情報の映像ネットワークの時代になる。日本ではデジタル放送が拡大し、アメリカでもハイビジョンチューナの搭載が2007年より義務付けられ、HD DVDを初めとした高精細、高画質映像時代になる。その時代に最適なのがSEDと確信している」と述べ、「SEDは薄型ディスプレイ実現の究極の技術だ」と期待をこめて語った。

 また、同社が提供した技術については、CRTの電子源に適した蛍光材料や、微細加工技術などを挙げた。「東芝は'90年代に、来るべき次世代のディスプレイについてひとつのディシジョンを求められた。検討の結果、CRTの優位性を備え、かつ薄型なSEDに注力するべきと判断した。その成果が披露できることとなって大変うれしく思っている。早く市場に送り出すべく、総力を結集して取り組む」と意気込みを語った。

 また、同社の薄型テレビ戦略については、「SEDで“映像の東芝”としての地位を築く。SEDの投入により、32型以下が液晶、37型以上がSEDと製品ラインナップも明確になる。将来の成長エンジンとして期待している」と説明した。

SED株式会社社長に就任予定の鵜澤俊一 キヤノンSED開発本部長

 新会社の代表取締役社長に就任するキヤノン取締役 SED開発本部長の鵜澤俊一氏は、SEDの技術的優位点や、量産計画について語った。

 液晶やPDPなどと比較した優位点については、「最も優位なのは画質」といい、色再現性や動画の視認性、奥行き感など他方式を上回り、特に暗部コントラストについては黒の表現が際立っているという。「消費電力もPDPの1/3、液晶の2/3程度に抑えることができ、低消費電力で環境にやさしいディスプレイといえる」とSEDの魅力を解説した。


展示された36型のSEDディスプレイ SEDパネルも参考展示された
他方式のディスプレイとの比較。左がPDP、中央SED、右が液晶 他方式との特性比較

□キヤノンのホームページ
http://canon.jp/
□ニュースリリース
http://web.canon.jp/pressrelease/2004/p2004sep14.html
□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2004_09/pr_j1401.htm

(2004年9月14日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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