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ヤマハ、米クリプシュと商品開発・販売の業務提携に合意
-米国におけるスピーカーとAVアンプのトップ企業が協力


9月16日発表


 ヤマハ株式会社と、米国のスピーカーメーカー、クリプシュ・オーディオ・テクノロジーズ(以下クリプシュ)は16日、商品の開発、および販売で両社が業務提携に合意したと発表した。これにより、ヤマハはクリプシュの販売総代理を務め、日本市場で11月からクリプシュのスピーカーの販売を開始する。

クリプシュ・ホーンは今なお販売されているロングランスピーカー

 クリプシュは、'46年に創業した米インディアナポリスのスピーカーメーカー。日本での知名度は低いが、「クリプシュ・ホーン」に代表されるホーンユニットを使ったスピーカーシリーズで米国のオーディオファンに支持されている。

 また、ホームシアター用スピーカーやインウォールスピーカー、劇場用スピーカーなども手掛けており、米国における2004年前期のスピーカー売上では、12.1%のシェアで第1位。映画館用スピーカーでは約50%のシェアを獲得。テーマレストラン「ハードロックカフェ」のオフィシャルスピーカーとしても使用されている。

米国における金額シェアを表したグラフ ハードロック・カフェのオフィシャルスピーカーにも選ばれている

業務提携の概略

 今回の業務提携の内容は大きく3つにわかれており、まずヤマハがクリプシュの全製品の国内販売総代理を担当。ホーム用、インウォール、インシーリング、映画館、マルチメディア用の各種スピーカーを日本市場に販売する。なお、実際に販売を手掛けるのはヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社となる。

 また、第2点として商品の共同開発も実施。日本市場向けのホームシアタースピーカーや、グローバル市場向けのホームシアタースピーカーを共同で開発していくという。

 第3点は販売促進や新ビジネスの海外展開に関する提携。具体的には、ヤマハのAVアンプとクリプシュスピーカーを組み合わせたシステム販売を実施。新ビジネスの内容は、学校や公民館などに、映画館より小規模の「デジタルミニシアター」を提案、両社の製品を使って構築するというもの。

デジタルミニシアターはDLPプロジェクタや、シネマDSPなどの技術を使い、小規模ながらクオリティの高い劇場を構築するというもの。規模は20~100席程度のミニシアターで、学校や公民館などにも提案していくという

ヤマハの前嶋那啓常務取締役

 ヤマハの前嶋那啓常務取締役は経緯について「新規ユーザーの獲得と、スピーカーを含めた中、上級クラスのシアターシステムの提案を目指して、2003年9月からクリプシュと交渉を開始した。米国の大手販売店では、ヤマハのAVアンプとクリプシュのスピーカーを組み合わせて展示している。AVアンプのトップシェアを誇るヤマハと、スピーカーのトップであるクリプシュ。両社が手を組めば素晴らしい相乗効果があると考えた」と説明。

 また、前島氏は「ホーンを中心としたクリプシュのサウンドは、モニタースピーカーで培った技術を基にしたヤマハのスピーカーとまったく違う。クリプシュのスピーカーでロックやポップスなど、ポピュラーミュージックを聴くと、能率が良く、エネルギッシュで素晴らしい」と語り、同スピーカーの売上目標を「2007年に10億円」と掲げた。

 さらに、「ヤマハにはない音の魅力やハイエンドの製品ラインナップなどが、新規のユーザーを獲得するための要素になる」と利点を語り、今回の提携を「両社の相互補完」と表現した。

クリプシュの会長兼CEOのフレッド・S・クリプシュ氏

 クリプシュの会長兼CEOのフレッド・S・クリプシュ氏は「クリプシュのスピーカーは米国で高いシェアを維持しているが、グローバルな視点ではまだまだ普及が足りない。今後、グローバル展開を推進していくうえで、我が社にないエレクトロニクスの最先端技術を持ち、グローバルなビジネス展開の経験も豊富なヤマハは最適なパートナーだ」と語った。


■ 日本での販売ラインナップ

 日本での販売スケジュールは、ミドルクラスの「リファレンスシリーズ」と、低価格な「プロメディアシリーズ」が11月から販売。以降、2005年には上位モデルの「プレミアシリーズ」が投入され、その後もラインアップを増やしていくという。なお、インウォールやシーリングスピーカーも随時投入される予定。

 なお、劇場用スピーカービジネスや、新ビジネスの「デジタルミニシアター」、両社が共同開発する新製品などの詳しい予定については「提携が決まったばかりで、具体的な展開はこれから」(両社)だという。

「リファレンスシリーズ」。トールボーイ、ブックシェルフ、センター、サブウーファのフルラインナップで上位モデルの「35」シリーズと、下位の「25」シリーズを用意。価格は未定だが、35シリーズのトールボーイが1台10万円程度、ブックシェルフが1台5~6万円、センターが6万円前後、ウーファが10万円程度になる見込み。25シリーズは各々35シリーズの半額強になると思われる 上位シリーズの「プレミアムシリーズ」。こちらの価格も未定だが、トールボーイは1台30~40万円程度の見込み

プロメディアシリーズの2.1chシステム「GMX A-2.1」。PCやゲーム機との接続を想定しており、価格は35,000円前後 インウォールスピーカーとインシーリングスピーカーも順次販売される インウォール/インシーリングスピーカー用の埋め込み型デジタルアンプ「ZAC-60」


□ヤマハのホームページ
http://www.yamaha.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.yamaha.co.jp/news/2004/04091601.html
□クリプシュのホームページ(英文)
http://www.klipsch.com/

(2004年9月16日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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