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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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DVDフォーラムは9日、「DVD Forum Japan Conference 2004」を開催。DVD規格化の現状や、今後のロードマップなどが解説された。
最上位組織のSteering Committeeの下で技術的な審議を行なう「TCG(Technical Coordination Group)」議長の東芝デジタルメディアネットワーク社 首席技監 山田 尚志氏はTCG活動概要を解説。最近HD DVD関連でメディア露出の多い山田氏は「HD DVD関連での派手な発言を期待されるかもしれないが、今日は地味にTCGの活動について説明します」と切り出し、笑いを誘った。 山田氏はHD DVDのビデオ、オーディオオコーデック決定やDVD-R/RWの16/12倍速策定、DVDオーディオ関連のアップデートなど最近のTCGの活動について簡単に報告。なお、HD DVDのMPEG-2/H.264 AVC、VC-1の3つのコーデックをHD DVDプレーヤー/レコーダでサポートする場合は、再生用は3つ全てのコーデックのサポートが必須、録画用コーデックについては1つ以上のコーデックをサポートしていればよく、機器メーカーが選択できるという。
また、記録型DVDに「Class」という概念を導入していく方針が明らかにされた。既にDVD-R/RW/RAMの各方式で導入が始まっており、記録方DVDの規格書のうち「記録」に関する部分をオプションとして発行することで、頻繁なバージョンアップを防ぐ。大きなバージョンアップの際にクラスが変更され、クラスに対応するロゴを表示することで、再生互換性問題を回避するのが狙いという。 従来の規格では、記録/再生関連の仕様を定義し、Ver.xxといったバージョンナンバーで管理されていた。しかし、記録速度の向上などにより、1つのメディアで等倍速から16倍速までなど全ての速度をサポートするのは難しく、下位互換性が維持できなくなりつつある。 そうした状況を受け、下位互換の有無や大きな仕様変更をわかりやすく提示するため、記録型DVDの規格書から“記録”に関する部分をオプション仕様(Optional Specification)として発行する。記録速度以外の基本仕様、再生互換に関する仕様を決めた「Main Book」と記録速度の向上や機能追加などに割り当てられる「Optional Book」が割り当てられる。Main bookはバージョンナンバーで“Ver.xx”、Optionはリビジョンナンバー“Rev.xx”などと管理される。
■ Dual Layer DVD-Rの規格化も近い
DVD-R/RWの物理規格策定を担当するWG6の議長で、パイオニア研究開発本部 AV開発センター 光ディスクシステム開発部長谷口 昭史氏は、規格策定中の2層DVD-RのDual Layer DVD-Rや、9月に正式策定された16倍速DVD-Rなどについての概要を語った。 「Dual Layer DVD-R Version 2.9」は現在企画策定中で、Ver.3.0が正式リリースとなる予定。正式リリースがVer.3.0となることについては、「2層で容量が変わるということでメジャーバージョンアップとなるため」という。 Dual Layer DVD-Rの容量は8.54GB。8cmメディアも用意され、容量は2.66GB。ディスクレイアウトやライトストラテジなどの基本構造は通常のDVD-Rを踏襲する。記録速度については、2倍速をベーシックスピードと位置づけ、等速の規定はない。また、4倍速のオプション規格もあわせて策定作業を進めているという。
9月に規格化を終了した16倍速DVD-R「16X-speed DVD-R Revision 6.0」、12倍速DVD-R「12X-speed DVD-R Revision 6.0」についても解説された。12倍速については「16倍速DVD-Rを作った関係上、8倍速との間の12倍速も作った」という。 8倍速とライトストラテジなどは変わらない。レーザーパワーは50mWを上限に設定。16倍速の場合は、1/4/8/16倍速での記録サポートが必須、12倍速は1/4/8/12倍速のサポートが必須となる。なお、16倍速以上の高速記録は現状見込めないため、「今後WG6のDVD-R関連の作業はDual Layerを中心に活動を行なう」とした。 あわせて9月に規格化された6倍速DVD-RW「6X-speed DVD-RW Revision 3.0」については、2倍速をベーシックスピードに指定し、等速はサポートしない。2倍速と6倍速のサポートが必須となる。
■ 16倍速DVD-RAMはクラス変更で対応
続いて、DVD-RAMの物理規格を策定するWG5議長/日立製作所 ユビキタスプラットフォーム開発研究所 DVD開発部担当部長の高橋正彦氏は、DVD-RAMの高速記録について解説。規格策定中の16倍速DVD-RAMの策定方針が明らかにされた。 高橋氏は「なぜ16倍速かというと現在のDVDで達成できる最高速度だから。2005年中ごろか、もう少し早めの策定を目指す」という。16倍速DVD-RAMでは、大幅な規格の変更が図られ、6倍速をベースとし、8/12/16倍速とそれぞれオプション仕様を設けて対応する予定。記録方式も従来のCLVから、内外周で回転数を変え、トラックの線速度を一定に保つCAV記録となる。 そのため、現在のDVD-RAM 2~5倍速対応のドライブで新たに策定予定の6~16倍速メディアをサポートするのはあきらめて、新たなクラスを設けてMain bookを策定する予定で、従来の2~5倍速メディア/ドライブはClass 0、6~16倍速メディア/ドライブはClass 1となる見込み。Class 1のメディアをClass 0のドライブで記録可能とするのは困難だが、Class 1のドライブでClass 0のメディアの記録/再生が行なえるよう、機器メーカーには強く推奨するという。
□関連記事 ■ HD DVDも将来的には2層/高速化 HD DVDの物理規格を策定するWG11については、日本電気株式会社 メディア情報研究所主任研究員の山中豊氏が、HD DVD物理規格の最新動向を報告した。 HD-DVD-ROMはVer.1.0を6月に発表、HD DVD-Rewritableは10月にVer.1.0を発行。HD DVD-Rは現在Ver.0.9で、Ver.1.0が2005年初頭に発行される見込み。山中はHD DVDの基本コンセプトからROM/R/RWのアドレス構造などを詳細に解説し、基本的な策定作業はほぼ終了していることをアピールした。なお、8cmなどの小径ディスクについては「今は規格化は行なっていない」としており、今後の作業の予定としては、「高速化と2層化を来年にかけて策定作業を行なう」という。
HD映像のアプリケーションフォーマットの規格策定を行なうWG-1については、東芝 デジタルメディアネットワーク社 コアテクノロジーセンター光ディスク開発部 参事 三村英紀氏が近況を報告した。 次世代のHD対応DVDビデオ規格では、HD DVD-ROMに加え、DVD-ROMもターゲットにしており、ハリウッドの映画会社の要求を元に仕様を策定中という。 今回は、Type 1/2/3の3段階でのコンテンツを構想を披露。「Content Type1」では、HDビデオ/オーディオに対応し、メニューや各種拡張機能については現行DVD並みとする。「Content Type2」では、Type1に加え、より高品位なグラフィックメニューやフォントのサポート、インタラクティブ機能の充実を予定。「Content Type3」では、Web連携機能を追加などを予定しているという。 ビデオのプロファイルについては、MPEG-2がMain Profile、H.264 AVCがMain Profile/High Profile、VC-1がAdvanced Profileを予定し、最大解像度は1,980×1,080ドット。現在はH.264のプロファイル選択や、低ビットレートなH.264でフィルム粒子(フィルム・グレイン)が消えてしまう問題についての対応などを検討中という。 規格化のスケジュールについては、Ver.1.9を2005年2月に、Ver.2.0を2005年9月にリリース予定としている。
■ DVDオーディオは圧縮オーディオ対応。PCでの再生が可能に
DVDオーディオについてはWG4/日本ビクター株式会社 AV統合システム推進部主幹の鈴木弘明氏が解説した。 鈴木氏は、新たに策定された圧縮オーディオ領域を利用した「Compressed Audio File for DVD-Audio Revision 1.0」について説明。DVDオーディオのオプション規格となっており、DVDオーディオのディスク上にCompressed Audio Zone(CA Zone)と呼ばれる圧縮オーディオ用の領域を設けた。必須コーデックはMPEG-4 HE AACで、オプションとしてATRAC3plus、DTS、MP2、MP3、WMAPro9が用意されている。 CA Zoneには、1つ以上の圧縮オーディオを記録可能で、コンテンツプロバイダが任意のビットレートで収納できる。そのため、DVDオーディオのMLP音声がデコードができないPCや、ポータブルプレーヤーなどでも、CA Zone上の圧縮オーディオは再生できる。また、CPPMによる著作権権利機能も搭載しており、コンテンツプロバイダが設定した回数であれば、PCへのリッピングなどが行なえるという。 圧縮オーディオ対応にあわせてDVD-AR規格もVer.1.1にアップデートされ、DVDオーディオディスク上の圧縮オーディオのコピーが可能となった。また、プロ用レコーディング規格「DVD-AP」のベースとしてDVD-ARの使うための変更などが行なわれた。
■ CSS、CPRM、CPPMもアップデート
著作権保護関連の活動については 東芝 デジタルメディアネットワーク社 コアテクノロジーセンター光ディスク開発部 参事 石原淳氏が、最新動向を説明した。DVDフォーラムのスタンスとして独自でコンテンツ保護技術を立ち上げることはなく、外部の各グループからの提案を検討して技術の採用を決定するという。 石原氏は、現在DVDビデオで採用されているCSSや、DVDオーディオで採用されているCPPM、DVD-R/RW/RAMなどで採用されるCPRMのそれぞれの方式についての概要を解説するとともに、それらの方式のアップデートを紹介した。
CSSに関しては、10月6日にローカライズされた領域でのDTCP出力が承認されたという。これにより、ローカルネットワークでDTCPで保護された機器であれば、IPネットワーク経由でのCSS対応DVDビデオ出力などが可能となる見込み。 ただし、ローカルネットワークの機能については、「ローカルとは何かという問題が残る。家庭内での配信はOKとしたいが、この“家庭”をどのように定義するかなど、非常に難しい。現在、転送時のタイムラグなどからローカル内/外ということを判断する機能などを入れているが、今後も検討が必要だ」という。
CPPMについてもいくつかのアップデートが行なわれている。従来、デジタル/アナログ出力からのコピーはCD音質以下に限って認められており、CD-RやMDなどへのへのコピーも行なえた。しかし、RIAJの要望により2003年9月にはMDやCD-Rへのコピーを禁止する設定が追加されている。 その変わりにセキュアなメディアへの圧縮オーディオの転送について、レコーダ1台あたりに3~無制限の範囲でコンテンツ提供者が指定できるよう変更されている。圧縮コピーの音質は以下の4方式からコンテンツ提供者が選択できる。
また、DVDオーディオで圧縮オーディオを扱うことができるようになっため、CPPMでそれに対応する保護法式を進めているという。
CPRMでは新たなCCI(Copy Control Information)としてEPN(Encryption Plus Non-assetion)が追加された。米国で開始されるデジタル放送で利用されるBroadcast flagに対応し、Broadcast Flagで保護されたコンテンツの管理を行なう。 また、CPRMで保護されたコンテンツの一般ユーザー対象としたネットワークダウンロードや、CPRM保護されたコンテンツのキオスク端末へのダウンロードなどコンテンツ配信対応のための規格拡張も図られている。 なお、HD DVDの著作権保護法式については「AACSが有力視されている。ROMメディアだけでなく、録画ディスクやオンラインコンテンツも保護できる包括的なコンテンツ方式」と説明された。 ■ “DualDisc”の問い合わせはレコード業界に
DualDiscにDVDロゴが発行されるのは、5月にDVD-ROM物理規格のサプリメントとして、DVD基板が薄い「ThinType」が新たに定義されたため。ThinTypeはDVD基板が薄い1層ディスクで、厚みは最小50.55mm/中央値0.565mm/最大0.58mm、ディスクの許容ジッタは7%。ディスクの総厚みは最大1.5mmで変更は無い。 「音楽業界からの要望があったため、サプリメントとして定義した。片側DVD、もう片側がCDというディスク形式も取れるようになった(ビクター 鈴木氏)」という。ただし、DVDフォーラムとしては、片面のDVD領域が規格に準拠していることは認めながらも、DualDisc自体はDVDフォーラムの規格で無いことを強調した。
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□DVDフォーラムのホームページ (2004年10月7日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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