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千葉県・幕張メッセで5日から9日まで、映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2004」が開催されているが、同展示会のメインであるホールの展示のほか、隣接する国際会議場では様々な講演が行なわれている。 4日目となる8日には、株式会社東芝デジタルネットワーク社の主席技監 山田尚志氏が登壇。「HD DVD - Next Generation DVD」と題して、HD DVDの利点や今後についての講演を行なった。
■ 製品化に必要な規格の策定は2005年2月までに完了 冒頭、山田氏は次世代光ディスクの必要性について、大画面テレビの普及と合わせて解説。「VHSビデオの頃は20インチのテレビが一般的だったが、30インチ以上のテレビが普及すると、VHSの画質に不満が出る。そこでDVDの高画質が受け入れられ、DVDの爆発的な普及に繋がった」と分析したうえで、「現在は40インチを超えるテレビが売れているが、このサイズになるとDVDの画質では物足りなくなる。次世代メディアの今後は、普及したテレビサイズの大型化にかかっている」という考えを示した。 また、「現在のDVD市場の伸びは、2008年頃には鈍化する」と予測。「光ディスク全体の伸び率を維持するには、2008年からHD DVDのへ切り替えが必要。だからといって、2008年に対応製品を出しても遅い。3年は普及期間が必要だ」と語り、2005年にHD DVD対応製品が発売されることを改めてアピールした。
また、HDDの大容量化についても言及「ソニーから1TBのHDDを備えたVAIO type Xが発表されたが、PCやデジタル家電を問わず、HDDの大容量化は続くだろう。よって、映像がSDからHD化しても、“光ディスクはアーカイブメディア”、“HDDに一旦保存してからメディアに残す”という使い方は変わらないだろう」と予測。HD DVDレコーダでも、HDDとのハイブリッド機が主流になるとの見解を示した。 さらに山田氏は、HD DVD規格の承認状況について解説。HD DVD-R Ver.0.9、HD DVD-File Ver.0.9、HD DVD-ARW(書換型規格) Ver.1.0が承認されたことや、アプリケーション規格「HD DVD video」の必須オーディオコーデックに「Dolby Digital+」と「DTS++ Lossy」、「MLP 2Channel Lossless」が決定、「DTS++ Lossless」がオプションになったこと。映像コーデックにMPEG-2/H.264(MPEG-4 AVC)/VC-1(WMV9)が承認されていることを説明した。 その中で山田氏は「HD DVD対応製品の発売に必要な、HD DVD-R/-FileのVer.1.0と、HD DVD-Video Ver.1.9は、2005年2月までには承認されるだろう」と見通しを述べた。
■ リニアPCM 48kHz/20bit 5.1ch音声の映画ソフトが登場?
HD DVDの特徴の1つとして、前述の通りマルチコーデックを採用したことが挙げられる。コンテンツプロバイダはHD DVD-ROMを作成する場合、映像コーデックとしてMPEG-2、H.264(MPEG-4 AVC)、VC-1(WMV9)のどれか1つを選択できるが、再生機は3つのコーデックすべてをデコードできなければならない。これはHD DVDレコーダに関しても同じで、レコーダを作るメーカーは、録画に使用するコーデックを3種から選択できるが、デコード機能は3コーデックすべてをサポートする必要がある。 山田氏は、マルチコーデックを採用した理由として「HD DVDは、従来のDVDに近い光学系を採用する代わりに、成長著しい信号処理技術、コーデック技術には最新のものを採用しようというスタンス。DVDとの互換性も維持できるので、ユーザーやコンテンプロバイダにも利点が多いはずだ」と説明する。
また、コーデック技術の進化について「2年ほど前は、HD映像を記録するためにMPEG-2で20Mbps近いビットレートが必要とされたが、HD DVDで採用したコーデックを使えば、現在でも6~12Mbps、CBRで十分な画質が得られる。これがVBRになった際は、さらに30~50% ビットレートが下げられる。将来的には7、8Mbpsが一般的な記録ビットレートに落ち着くだろう」と予測した。
また、このビットレートとメディアの記録容量を基に、HD DVD-ROMソフトの形態、「青色レーザーで記録した15GBメディアには132分のHD映像(12Mbps)、132分の特典映像(SD/1Mbps)、3言語の音声が入る。映画用にはこれで十分。また、30GBのディスクでは同様の映像にリニアPCM 48kHz/20bitの5.1ch音声が入れられる」と推定。
「これでも足りないという声もあるが、メディアはただ大量に記録できれば良いというものではない。映画のシリーズを全話1枚に収録すると、商品として価格を上げづらくなるなど、ビジネス的な要素もからんでくる」とし、メディアには「適度な容量」があるという考えを披露。
さらに、「赤色レーザーで書き込んだ8.5GBのHD DVD-ROMでも、HD映像(8Mbps)が90分入り、90分の特典映像(SD/1Mbps)と3つの音声が入れられる。HD DVDソフトの発売当初は、赤色レーザーで記録したソフトが多くなるかもしれない」と語った。
これに関連して「ブルーレイの公式サイト内で、HD DVDの容量は足りないとか、あのビットレートでは十分な画質が得られないなどと批判されているが、そんなことはまったくない」と反論。また、三洋やNECの光ピックアップの開発状況や、メモリーテックがHD DVDメディアの量産技術を既に確立、生産ラインも従来のラインが流用できることなどを挙げ、「基幹部品の供給や生産体制に不安があるなどとも書かれているが、東芝と三洋を過小評価している」と非難した。
■ HD DVDプレーヤーは2005年末に10万円以下で発売 最後に、HD DVDの今後の展開について山田氏は、「HD DVDプレーヤーは、2005年の第4四半期にリリースされるだろう。DVDビデオの再生も可能で、HDMIやIEEE1394端子も装備。価格は米国で1,000ドル程度、日本でも10万円以下で出るだろう」とし、販売台数については「米国で2005年に1万台、2006年に100万台」と予測。 さらに、「ソフトについては何とも言えない」としながらも、「HD DVD-ROMソフトはプレーヤーと同時期に、日米で約50本ずつ出てくれると思う。ハリウッドの大手スタジオからも、MGMとSPE以外からはソフトが出るはず。2006年には米国で1,000タイトルは出て欲しい」と語る。また、ソフトの価格については「日米のソフトメーカーは考え方が違うし、メーカーによって価格は異なると思うが、すごく高価になることはないだろう」と答えた。
□CEATEC JAPAN 2004のホームページ
(2004年10月8日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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