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松下、シェア40%に向けPDP国内第2工場のフル稼働を開始
-37型から65型までの月産10万台体制を確立


茨木第2工場

12月16日発表


 松下電器産業株式会社は16日、大阪府茨木市の松下プラズマディスプレイ第2工場の設備を増強し、12月から月産10万台のプラズマディスプレイパネル(PDP)生産のフル稼働体制を構築したと発表した。

 第2工場では4月より月産4万台で生産開始、37/42/50型に加え、10月からは量産製品としては世界最大の65型PDPを製造している。延床面積は75,000m2。人員は850名。

 当初計画では2005年4月にフル稼働、月産8万台の生産を予定していた。今回フル稼働を4カ月に前倒ししたほか、生産台数も2万台上方修正し、月産10万台とした。第2工場フル稼動により、同社のPDP生産台数は国内第1工場、上海工場とあわせて、月産15万台となる。生産パネルサイズは37/42/50/65型。

 同社では、国内の地上デジタル放送開始による需要増や、北米や欧州を中心としたテレビの大画面シフトが顕著と分析。特に国内市場ではユーザーの大画面志向が急加速しており、今後も大画面シフトが予想されることから、今回の増産/稼動前倒しを決定したという。第2工場のフル稼働により、2004年の年間生産台数約100万台から、2005年には11月に稼動予定の尼崎新工場とあわせて年産台数を200万台とする。さらに2006年度には尼崎工場の本格稼動にあわせて、月産480万台を目標とし、PDP生産の世界シェア4割を目指す。

PDPの製造工程

 フル稼働開始にあわせて、同工場のPDPの生産ラインを報道陣に公開した。プラスマディスプレイは、表示電極などからなる前面板と、自発光する背面板から構成され、それらを張り合わせ、最後にディスプレイドライバなどを組み込む。

 今回は、そのうち背面板の製造工程と、張り合わせ工程、セット組立工程。背面板については、第2工場で3面取り(42型換算)が可能となったことで、大幅に生産性が増しているという。また、張り合わせ工程では背面板と前面板の仮止めの工程が公開された。

 組み立ての工程では、セル方式による組み立てとセットのエージング、検査などの工程が公開された。


セット組み立てはセル方式で行なう エージング過程を経て、検査過程に移る

AVC社上田勉副社長

 工場公開にあわせて、パナソニックAVCネットワークス社の上田勉副社長が同社のPDP戦略や、PDPの優位性を解説。上田副社長は、「2007年には世界のテレビ市場で、薄型テレビが台数ベースで23%に、金額で43%に急拡大すると見込まれている。われわれは今、テレビの産業革命の入り口に立っている」と薄型テレビの市場拡大を予測した。

 さらに、グローバル市場での37型以上の薄型テレビの市場動向では「日本を除いて圧倒的にプラズマが優位」とPDPへの支持の高さを強調した。その理由として「日本の販売店は非常に明るいため、輝度の高い液晶が“店頭映え”がよくインパクトがある。そのため日本では液晶テレビが人気がある。しかし、リビングの照度基準を考えると、PDPのほうが適しているし、黒がしっかり出て、コントラストの強いPDPが有利だ。実際に、店舗でも間接照明が多い海外市場では、液晶よりもPDPの人気が高い」という。


37型以上の大画面テレビの世界市場はプラズマが高い人気を誇る シェアトップを維持し年末商戦も好調


 PDP市場の国内シェアは12月の最新データで39.9%で9月以来首位をキープしている。同様に米国でもシェアナンバー1を維持しているという。「パナソニックの基本方針は35型以上はPDP。3Dバリューチェーンの核はPDPと位置づけ、キーデバイスを自社開発している強みを生かしたセットの差別化を図るとともに、世界同時立ち上げ戦略でグローバル市場でのシェア拡大を図る。セットだけでなく、パネルも含めシェア40%を目指す」という。

尼崎工場の本格稼動により2006年度には年産480万台体制を構築 グローバル生産シェア40%を目指す


松下プラズマディスプレイ森田研社長

 パナソニックAVCネットワークス社 副社長で、松下プラズマディスプレイの森田研社長は、「第4四半期のPDP市場シェアは現在30%をほぼ超えており、目標どおり」と好調な販売をアピール。

 また、第2工場のフル稼働にあたって、当初の予定よりも生産性が向上し、42インチ換算で3面取りが可能となったほか、工程数やタクトタイム、リードタイムも低減され、コスト競争力が大幅に高まったという。あわせて、材料費の低減も図っており、「製造比、材料費などの面から液晶よりPDPが有利」とした。


第2工場は3面取りが可能となるなど、当初予定より生産性が大幅に向上 2005年11月稼動の尼崎工場ではさらなる生産性向上が予定されている 工程数やタクトタイムも新工場では大幅に短縮

尼崎工場では6面取りが可能となる予定 42型PDPの材料費や1台投資金額が40型液晶を下回る 消費電力も2006年に液晶テレビ以下を目指す

家庭用大画面テレビにはプラズマが最適 建設中の尼崎工場

 なお、1,920×1,080ドットのフルHDパネルについては「検討中」とした。今後の価格下落については、「PDPは年間25%ぐらい低価格化しており、来年も同程度の値下がりは予測している。しかし、新工場の稼動やさらなるコストダウン努力などの効率化もしている。体力を保ちつつも、市場の要求に応えた値下げはできると思う」(森田社長)という。

 また、SEDについては「製品としては面白いと思うが、脅威とは感じていない」とし、ソニーのQUALIAのRGB LEDバックライトなどの新技術については、「自発光のプラズマの特性を生かした絵づくりは、パナソニックの独自のもの。他社に対してどうこうというより、自社の画作りに自信を持っている」(森田社長)と語った。

 LGとの特許係争については、「蓄積したPDP技術について対価を求めたということ。当然の権利を主張しているだけ。他社の技術をわれわれが買う場合もあるし、そうした対価を要求するのは普通の経済活動の一環」と説明した。

□松下電器産業のホームページ
http://matsushita.jp/
□ニュースリリース
http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn041216-1/jn041216-1.html
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041104/pdp.htm

(2004年12月16日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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