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京大などが、“折り曲げディスプレイ”向けの新技術
-モバイル用フレキシブルディスプレイや電子書籍などに応用


有機発光トランジスタ発光の様子

1月25日発表


 京都大学パイオニア株式会社ローム株式会社の3社は25日、フレキシブルディスプレイ向けの新技術を開発したと発表した。新技術は、有機トランジスタにEL発光機能を持たせた「有機発光トランジスタ」と、初のバイオナノファイバー補強による「低熱膨張透明基板」の2つ。

 今回の成果を応用することで、軽く、しなやかで、壊れにくく、曲面表示が行なえるなどの特徴を持ったディスプレイデバイスの実現が可能となるという。具体的な応用例としてはモバイル用のフレキシブルディスプレイや、電子書籍/新聞、電子ポスターなどを見込んでいる。

 2つの新技術は、京都大学と、日本電信電話株式会社(NTT)、パイオニア、日立製作所、三菱化学、ロームの5社からなる「包括的産学融合アライアンス」の成果として発表。京都大学を中心に、有機発光トランジスタに関しては、パイオニアとロームが、低熱膨張透明基板については三菱化学とパイオニアらが協力したという。

 有機発光トランジスタは、有機トランジスタにEL発光機能を持たせた複合デバイス。同素子を用いて、アクティブマトリクス型の表示デバイスを構成した場合、駆動トランジスタと発光素子を同一のデバイスで構成できるので、従来の有機ELディスプレイに比べて部品点数を大幅に減らせるという。

 この有機発光トランジスタでは、新規の有機化合物に、ソース、ドレイン、ゲート電極を配置。従来の有機トランジスタがゲート電圧でドレイン電流を変調するように、ゲート電圧でトランジスタのEL発光量を制御する事ができる。発光の外部量子効率は、約0.8%で、「携帯電話の表示ディスプレイには十分な明るさ」という。

 低熱膨張透明基板は、透明ポリマー材料を生物由来の透明ナノファイバーで補強するという発想に基づいて創製されたフレキシブル透明基板。同アライアンスではこの材料を「バイオナノファイバーコンポジット」と命名している。

 補強材料にファイバー径100nm以下の透明ナノファイバーを使用することで、フレキシブルかつ、平行光線透過率85%を越える透明性とガラス並の低い線熱膨張係数の両立が可能となったという。

 従来、通常のポリマー材料基板上に形成した金属配線、透明導電膜、ガスバリア膜などは、組上げプロセス時や実装プロセス時の温度負荷で、基板材料との熱膨張係数の違いから断線、破損の可能性があり、これがフレキシブル表示デバイス実現の大きな障壁なっていたという。

 バイオナノファイバーコンポジットでは、ファイバー径がナノサイズのため、透明性は複合させる樹脂との屈折率差に左右されることがない。また、ファイバー形状のフィラーのため、熱膨張係数もフィラーとマトリクス樹脂との体積平均値よりもはるかに低減できたという。

□京都大学のホームページ
http://www.kyoto-u.ac.jp/
□パイオニアのホームページ
http://www.pioneer.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.pioneer.co.jp/press/release473-j.html
□ロームのホームページ
http://www.rohm.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.rohm.co.jp/news/kekka2-j.html

(2005年1月25日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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