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東芝、第3四半期連結決算は増収減益に
-テレビの改善を重要課題に。パソコン事業が下支え


笠貞純代表執行役専務

1月31日発表


 株式会社東芝は、2004年度第3四半期の連結決算を発表した。

第3四半期決算概要

 売上高は、前年同期比3%増の1兆3,700億円、営業利益は93%減の9億円、税引前利益は、47%減の50億円、当期純利益は108億円増の16億円となった。

 笠貞純代表執行役専務は、「第3四半期は、パソコン事業が堅調で、デジタルプロダクツ全体では売上高で約700億円の押し上げ効果があったが、一方で電子デバイスが約400億円のマイナス。また、営業利益では半導体が310億円の減少に対して、パソコンが250億円好転した」と、第3四半期では、パソコン事業が下支えしたことを強調した。


通期決算概要

 また、第3四半期までの9カ月間の累計では、売上高が6%増の4兆1,518億円、営業利益は496億円増の516億円、税引前利益は前年のマイナス82億円から346億円回復の264億円、当期純利益は前年のマイナス414億円から514億円改善の100億円となった。

 9カ月累計では、デジタルプロダクツ部門、電子デバイス部門、社会インフラ部門、家庭電器部門のいずれも増収になったという。また、営業損益では、家庭電器部門が冷蔵庫の売価ダウンなどでの不調、エアコンのリコールが悪化要因となったが、電子デバイスが上期の好調ぶりに支えられて増益となったことがプラスに働いた。


第3四半期までの業績概要 デジタルプロダクツはPCとドライブが伸張し、増収に セグメント別の営業損益

 部門別に見ると、9カ月の累計では、デジタルプロダクツ部門は、売上高が前年同期比12%増の1兆6,724億円、営業損益はマイナス16億円の赤字。パソコン事業の伸張に加えて、光ディスク装置事業におけるサムスン電子との合弁会社設立に伴う増収が寄与。ストレージ事業の不振などによって黒字化にはならなかったが、前年同期のマイナス359億円の赤字からは大幅に改善している。

 電子デバイスは、売上高が2%増の9,817億円、営業利益は117億円増の726億円。第3四半期はデジタル家電市場が調整局面に入ったことで、半導体が売上高で10%減の2,188億円、営業利益では311億円減の34億円と大幅に悪化しているが、上期の好調が支えた。ただし、半導体は9カ月連続でも減益となっているほか、「メモリが第3四半期に20%以上の売価ダウンとなったこと、2Gbit以上の大容量製品が当初の計画を下回ったことなどが影響した」と話した。

 社会インフラは、売上高が5%増の1兆1,006億円、営業損益はマイナス220億円の赤字となった。海外向け火力プラントの物件増加による増収効果や、ソリューションおよび医用システムの収益改善があったものの、赤字脱却はできなかった。

 家庭電器は売上高が4%増の4,881億円、営業損益はマイナス52億円の赤字。中型、大型の空調機器やランドリー商品などによる増収効果があった一方で、白物家電の売価ダウンが影響し、営業損失は前年のマイナス50億円から、さらに2億円のマイナスとなった。

 「全体を通じて、売価ダウンの影響が大きく、9カ月累計で4,600億円、マイナス10%の影響があった。とくに、デジタルメディア機器、パソコン、半導体で10%を超える売価ダウンになっている」とした。

パソコン事業が大幅改善し、黒字転換となった

 今回の決算で注目を集めたのがパソコン事業の改善ぶりである。

 パソコン事業は、上期まではマイナス72億円の赤字だったが、第3四半期に84億円の黒字を計上。9カ月累計では12億円の黒字化に転換。さらに、通期見通しも60億円のプラスと見ている。

 好調の要因として、米国および欧州を中心に海外向け売り上げが上昇。一方で、パソコン事業改善施策が進捗し、その効果が出ていることをあげた。

 「第3四半期では全世界で23%増という伸びを見せており、懸念された売価ダウンも、昨年の20%を超える価格下落から10%強に留まっている。年間550万台の計画値に対しては、それを上回る勢いとなっている」と話す。ただし、出荷計画の上方修正はしなかった。

 また、事業改善施策効果については、「部材購入コストの引き下げ効果、固定費の削減、シャーシ数の減少などによる原価低減効果、ODM比率が当初の30から60%へと上昇している点、限界利益率が改善されている点など、全体的な効果があがっている」と説明した。

 一方、テレビ事業に関しては、「フラットパネルディスプレイへの対応が遅れ、一昨年からおかしくなっているが、ローエンドからミッドレンジ、ハイエンドと3階層で製品を用意でき、シェアも10%を超えるところまできた。収益は改善しているが、まだ黒字化しておらず、来年は最低でも採算化を目指したい」と、テレビ事業の改善を重点課題とした。


通期の業績見通しを下方修正

 なお、同社では、今回の第3四半期の決算内容を受けて、2004年度通期の見通しを下方修正した。

 10月の修正時に比べて、売上高は100億円減の5兆8,600億円、営業損益は300億円減の1,600億円、税引前利益は200億円減の1,100億円、当期純利益は50億円減の450億円。

 営業利益、税引前利益では、前年割れの見通しとなるが、「前年は代行返上分があり、オペレーションベースでは改善することになる」としている。

 修正値の内訳は、売上高では、デジタルプロダクツが2兆1,500億円、電子デバイスが1兆3,000億円、社会インフラが1兆7,800億円など。パソコンは7,700億円、液晶は3,000億円、半導体は3,000億円とした。また、営業利益では、デジタルプロダクツが100億円、電子デバイスが850億円、社会インフラが520億円、家庭電器がマイナス20億円、その他が150億円。パソコンは60億円、液晶は135億円、半導体は790億円とした。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/er200501/japanese/index_j.htm

(2005年1月31日)

[Reported by 大河原克行]


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