東映ビデオ、OVA「最終兵器彼女 Another love song」 －“ちせの目線”で描かれるもう1つの「サイカノ」

左から、ちせ役の折笠富美子さん、ミズキ役の折笠愛さん

8月5日より順次発売 標準価格：「通常版」3,990円 　　　　　　　「スペシャル版」7,140円

　「最終兵器彼女」は、小学館の週刊「ビッグコミックスピリッツ」で2000年1月から2001年10月まで連載され、全7巻で累計350万部以上の売り上げを記録した高橋しんのコミック。連載終了後の2002年7月からCSのファミリー劇場、地上波のCBCなどでテレビアニメが放送され、DVDも全5巻が東北新社から発売されている。

　主人公はドジで内気な女子高生のちせと、陸上部員のシュウジ。北海道の田舎町に住む2人は、交換日記から交際をスタートしたばかり。幸せな学園生活が続くと思われたが、ある日、国籍不明の敵によって札幌が空爆される。逃げ惑うシュウジだったが、突如現れた謎の物体が、空爆をしていた戦闘機を次々と撃墜していく。シュウジが見た物体の正体は、体から羽と巨大な武器を生やし、最終兵器に改造されたちせの姿だった。

　とてつもない破壊力を持つ最終兵器に改造された少女を軸に、淡い主人公達の恋愛と、悲惨な戦争を鮮烈な対比で描いたことで話題となった同作品。新しいOVAシリーズは、テレビ版のメインスタッフが再集結したもう一つのラブストーリーになるという。どのような内容になるのか探るべく、アフレコ現場にお邪魔した。

OVAの一場面。ドジで内気な少女が最終兵器になるという設定が話題となった
(C) 2005 高橋しん/小学館・東映ビデオ・東北新社・中部日本放送

■ ちせの目線で描かれる「サイカノ」

　「ちせを演じるのは2年半ぶりくらいになります。テレビシリーズの時に掴んだ彼女をもう一度思い出す練習をしてからアフレコに臨みました」と語るのは、テレビシリーズに引き続きちせを演じた折笠富美子さん。富美子さんによれば、「テレビシリーズはどちらかというとシュウちゃん(シュウジ)の目線で物語が展開しましたが、今回のOVAはちせの目線で描かれています」という。

　つまり、軍の施設や戦場での“兵器としてのちせ”に的を絞ることで、本編と同じ出来事を辿りつつも、完全オリジナル・ストーリーが展開するということだ。それを象徴するように、OVAシリーズには高橋しん氏が描き下ろした新キャラクター・ミズキが登場する。彼女はいったい何者なのか。

OVAでは戦闘シーンも多く描かれるという
(C) 2005 高橋しん/小学館・東映ビデオ・東北新社・中部日本放送

　「ミズキがちせにとって敵なのか味方なのかを含め、第1話が終わった時点で全貌はまだ明らかになっていません」と語るのは、ミズキ役の折笠愛さん。愛さんによればミズキは軍に身を置く、ちせと同様の“兵器”なのだという。「ミズキは冷静沈着でピンと張り詰めた雰囲気を持つ大人の女性。性格などはちせと正反対ですが、境遇面では彼女に近い存在」だという。

　ちせにとって、ミズキという存在は大きいようで「テレビシリーズではシュウちゃんへの想いだけを支えにしているちせが印象的でしたが、OVAでは軍の偉い人も登場し、戦闘シーンも具体的に描かれています。兵器としての彼女の深い部分が描かれることで、表ではシュウちゃん、そして裏にはミズキという存在がいたんだとわかる。ちせという女の子をより深く知ってもらえると思う」と、富美子さん。

　愛さんは「ミズキの第1話のセリフの中で“私達は人間じゃないのよ”というのがあるんです。ミズキは自ら志願して兵器になるのですが、人間とは異なる彼女が、人間のモラルや命の尊厳をどう見つめなおしていくのか。そして、ちせとの関係がどう変化していくのかが楽しみ」だという。

ちせとミズキ。2人の関係に注目だ
(C) 2005 高橋しん/小学館・東映ビデオ・東北新社・中部日本放送

　自ら兵器になることを望んだ女性と、なりたくないのに兵器になってしまった少女。OVA新シリーズは、“ダブル折笠”が演じる2人のキャラクターの関係が鍵になりそうだ。これまで描かれなかった「サイカノ」のもう一つの事実に注目したい。

□アニメ「最終兵器彼女」のホームページ
http://www.saikano.net/
□東映ビデオのホームページ
http://www.toei-video.co.jp/

(2005年3月10日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]

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