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ユーリードシステムズ株式会社は、ビデオ編集ソフト「VideoStudio」シリーズの最新版として、16:9のワイド映像やWMVのHD出力に対応した「VideoStudio 9」を6月17日に発売する。通常版に加え、アップグレード版、アカデミック版など計7種類を用意しており、価格は下表の通り。対応OSはWindows 2000/XP。なお、ESD版以外には静止画作成ソフト「Cool 3D」と素材集CDが付属する。
映像や静止画の素材を選び、任意のスタイルを選択すると、音楽やオーバーレイ、トランジション、ビデオフィルタなどの編集作業を自動的で行ない、合計3ステップで手軽にオリジナルビデオが作れるという「おまかせモード」を採用したビデオ編集ソフト。タイムラインを参照しながら細かい編集が行なえるモードも備えている。
おまかせモードと詳細編集モードは従来から搭載していたが、今回のバージョンから新たに「クイックDVDウィザード」を搭載した。これは、DVカメラをPCに接続し、取り込みたいシーンを選び、あらかじめ用意されたテーマテンプレートを選択すると、2ステップでDVDビデオが作成できるというもの。 BGMやトランジション、タイトル画面なども自動で挿入される。なお、同様の機能は「おまかせモード」でも利用できるが、「クイックDVDウィザード」ではDVDメニューが付加されず、各効果も固定で変更できない。その反面、ユーザーが選択する工程が少なく、より手軽にDVDが作成できるモードとなっている。 また、おまかせモードにも新たに「パン&ズーム機能」を追加。素材として静止画を利用した際に、静止画内の人間の顔を自動的に認識し、そこに自動でズームする。これにより、静止画のスライドショーに動きと演出が加えられるという。なお、人間の顔だけでなう電車や花など、画面の中にある目立つ物にも自動パン&ズームが行なえる。
詳細編集モードは、新たにリップル編集に対応。タイムライン上で映像の不要な1部分を削除し、映像全体の長さが変化した際でも、音楽やトランジションなどの演出要素がズレることなく、自動的に調整され、再配置されるという。 また、オーバーレイ機能の一種としてクロマキー編集にも対応。単一色の背景前で撮影した映像を利用することで、異なる映像同士を違和感なく同じ画面に合成できる。また、画面の任意の箇所を切り抜き、マスク処理することで、映像をフレーム内表示させるマスク処理機能も利用できる。
ほかにも、トランジション効果が128種類から191種類に、フィルタが39種類から45種類に増加。ハングアップした場合でも編集中のデータが失われない自動保存機能や、トランジション効果や静止画素材などを同社のページから入手できるスマートダウンロード(詳細未定)などを追加。さらに、色補正を手軽に行なう機能や、動画から静止画を作り出し、その印刷にも対応。画像や映像の回転、逆再生などの機能も追加した。
さらに細かいところでは、文字のアニメーションの動きがカスタマイズできるようになったほか、二カ国語のソースなどで片方のチャンネルの音声を、左右のチャンネル両方に割り当てる「オーディオチャンネル複製機能」などを搭載。また、レンダリング前のDV AVIの編集時に、プレビューウインドウにタイムコードが表示できるようになった。ただし、VMR(Video Mixing Renderer)互換のビデオカードが必要になる。
オーサリング機能ではモーションメニューに、画質面では2Passエンコードに対応。また、出力フォーマットではWMVのHD(1,280×720ドット)出力をサポートした。なお、HDソースとして同社は高画素のデジタルカメラを例に挙げており、「パン&ズーム機能と、WMV HDの再生が可能なネットワークDVDプレーヤーなどと併用すれば、高画質のスライドショーが楽しめる」と説明している。 なお、HDVフォーマットなどへの対応については「市場の広がりとユーザーニーズを見極めながら、プラグインとして供給するなどの展開を検討していきたい」とした。
さらに、DVD±VRフォーマットや、16:9のワイド映像にも対応。画面比率を変更せずにソフト上で表示でき、4:3映像と混合したビデオも作成可能。また、前バージョンまではプラグインとして別売で供給されていたドルビーデジタル音声にも標準で対応した。ライティング機能では2層のDVD±Rもサポートしている。 【入力・編集可能なフォーマット】
■「インタービデオと協力し、弱点を補い合う」
ピーター リン社長は、最新バージョンの開発にあたり「ビデオ編集とは何か? という原点に戻って使いやすさや機能などを考えた。ビデオ編集という言葉を聞くとハードルが高いイメージを持たれるかもしれないが、あまり難しく考えさせたくないという一心で開発を進めた。“とにかく一回やってみませんか?”という気持ちを込めた新製品」と説明。
その上で、「メモリースティックやSDカードに動画や静止画を記録する製品も増えており、ケーブルの接続など、複雑な準備をしなくても動画編集が行なえる時代になりつつある。その中でWMV HDの対応など、使いやすさだけでなく、次世代のクオリティも体験できるソフトだ」と魅力をアピールした。 また、リン社長は3月14日に、米InterVideoが、Uleadに対して株式の公開買い付け(TOB)申請を行なったことにも触れた。リン社長は「最近マスコミでTOBが話題になっていて、面白いなと思っていたが、他人事ではなかった」と苦笑。その上で、「我々は前向きに考えています。インタービデオはDVD関連の高い技術を持っているが、オーサリング系はユーリードが強い。このように、お互いの足りない所を補い合いながら、次世代DVDや次世代OSに対応する体制を構築していきたい」と、今後の抱負を語った。
さらに、新体制を考慮に入れた2006年までの戦略ロードマップも決定しており、「VideoStudio 10も素晴らしいソフトに仕上げて、私が皆さんにお披露目すると約束します」と、今後も同シリーズが継続して開発・販売されることを強調した。なお、買い付けの有効期限は4月13日までとなっており、3月29日の発表によれば、インタービデオがユーリードの発行済み株式の50.1%~85%を所有することになるという。
□ユーリードのホームページ
(2005年4月13日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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