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野村総研、録画済み番組の「CM飛ばし率」を算出
-平均CMスキップ率64.3%。約540億円の損失


5月31日発表


 株式会社野村総合研究所(NRI)は31日、ブロードバンドの普及状況とメディアの利用時間の変化、HDDレコーダ(HDR)の利用状況などに関するインターネットアンケート調査の結果を発表。“テレビ離れ”の現状や、HDRユーザーの平均テレビCMスキップ率などを算出し、2005年の企業の広告費における損失が約540億円になると試算した。

 この調査は2005年4月22から24日にかけてインターネット上で行なわれたもので、3,000人が回答した。その結果、HDDに保存した番組を視聴する際に、テレビCMを「全てスキップする」と答えた人は23.4%、「80%以上、100%未満スキップする」人は33%となり、過半数が80%以上スキップしている状況が明らかになったという。

 逆に「CMスキップをしない」という人は23.1%に止まり、約8割の人がCMを飛ばしている。平均CMスキップ率は64.3%。また、HDDに録画した番組をどれだけ視聴しているかという平均録画消費率34.2%と、HDRの普及率を加味。企業の年間テレビ広告費と掛け合わせると、2005年はテレビCM市場の約2.6%、金額にして約540億円の価値が失われると試算した。

 また、1年間のメディア利用時間の増減を調査したところ、テレビを楽しむ人そのものが減少していることが明らかになった。最も増加したのは「PCでインターネットを利用する時間」で、「増えた」と答えた人が64%にのぼる。反面、テレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスメディア4媒体では、利用時間が減った人の割合が、増えたの割合の2~3倍になったという。

 この結果についてNRIは「PCインターネットが1人あたりのメディア利用時間の多くを取り込んできている。ブロードバンドの普及とネット上の情報量の増加により、テレビとの接触時間や影響度は減少し続ける」と分析。さらに、手軽に“CM飛ばし”ができるHDRの世帯普及率が、5年後には44%程度になると予想されることから、「今後さらにテレビCMの価値は損なわれていく恐れがある」と結論付けた。

 NRIではこうした結果を受けて、「企業はテレビCMをはじめとするマスメディアの広告価値を改めて考え直す必要がある。今後の企業CMのあり方については、より個人的志向を意識した広告・宣伝形態へ変化していくだろう」と説明。具体的な対策として、以下のようなアイデアを挙げている。

  • CMではなく、番組や映画、ゲームの中に広告主の商品やブランドロゴを意図的に露出させる「プロダクト・プレイスメント」手法
  • インターネットやフリーペーパーなど、新しい媒体への乗り換え
  • 消費者への直接還元策としてのポイントやマイレージ付与
 NRIはこうした、消費者の個人的志向を意識した広告・宣伝形態が、2010年ごろまでに急成長する可能性が高いと予測している。

□野村総研のホームページ
http://www.nri.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nri.co.jp/news/2005/050531.html

(2005年5月31日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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