|
株式会社フジワークは20日、民生用製品として初めてH.264/MPEG-4 AVCフォーマットでリアルタイム録画が行なえるメディアレコーダ「PvrAlex」を発表した。9月頃の発売を予定しており、価格はオープンプライス。実売価格は「ハイブリッドレコーダのエントリーモデルと同程度になる予定」だという。初回出荷は1,000台。5万台の出荷を目指すという。
動作周波数600MHzの高速カスタムLSIを搭載し、民生用レコーダとして初めてH.264/MPEG-4 AVCのリアルタイムエンコード/デコードに対応したレコーダ。アナログテレビチューナを内蔵し、前面にメモリースティックDuoスロットを装備。メモリースティックDuo、もしくはメモリースティックPRO Duoへ録画できる。
録画フォーマットはメモリースティックビデオフォーマットに準拠したH.264/MPEG-4 AVC。なお、録画したファイルの再生方法として同社は「携帯ゲーム機や携帯電話、ブルーレイレコーダなど」とし、ゲーム機に関しては具体的な機種名を挙げていない。現在H.264/MPEG-4 AVCが再生できるゲーム機はPSPのみだが、PSPはUMDディスクでH.264/MPEG-4 AVCを採用しているが、メモリースティックスロットではMPEG-4が利用されている。
この点に関して、PvrAlexはメモリースティックビデオフォーマットに関するライセンスをソニーから取得している。また、録画ファイルを保存するフォルダ階層も「PSPのそれに準じたものになっている」という。このため、PSPでメモリースティック内のH.264/MPEG-4 AVCファイルが再生可能になる何らかのアナウンスが、ソニー・コンピュータエンタテインメントから発表されると思われる。 なお、録画はH.264/MPEG-4 AVCのみとなっているが、再生はMPEG-4/MP4フォーマットもサポートしている。
録画モードはHQ、SP、LP、EPの4種類を用意するほか、解像度やフレームレート、ビットレートを自由に設定できるアドバンス設定モードを搭載。ビットレートは最大3Mbpsまで指定できるという。解像度は320×240/720×480ドットが選択可能。音声はAACのステレオ。製品には256MBのメモリースティックPro Duoが付属する。
各容量とモードでの録画時間の目安は右図の通り。 高画質機能として3D Y/C分離回路、3Dノイズリダクションを搭載。両機能は同時に利用できる。さらに、白ピーク補正や黒伸張機能、輪郭補正、オートゲインコントロール、アンチブロックノイズフィルタなども備えている。 映像ソースとして地上アナログチューナ(VHF/UHF)を内蔵。さらに、外部入出力端子として、D1端子、S映像、コンポジット、アナログ音声(RCA)を入力、出力ともに各1系統備えている。なお、入力端子にはコピーガード検出機能が付いている。 本体にEPG機能は備えていないがUSB 2.0端子を備えており、PCと接続可能。インターネット経由でPCでEPGを取得し、チャンネルや録画時間などの情報をUSB経由でPvrAlexに送信する専用ソフトを開発しているという。本体には30件までのタイマー予約が可能で、操作はテレビに表示したGUIで行なう。 また、USB 2.0端子は別売の専用HDDを接続することで、HDDに録画ファイルを保存することも可能。ただし「専用HDDの容量や価格は、HDDの価格変動が激しいため、現時点で決まっていない」という。なお、USBはストレージクラスに対応しており、専用HDDは通常の外付けHDDと同様のもの。同社は「動作確認がとれたドライブを専用HDDとして発売する。専用以外のUSB外付けHDDも利用できる可能性が高いが、全てのドライブを保証できないため、専用HDDを用意した」としている。
本体の外形寸法は280×220×45mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約1.4kg。リモコンや接続コード、ACアダプタに加え、256MBのメモリースティックDuoも同梱する。
■ H.264のデコーダ/エンコーダのみの販売も予定 PvrAlexは、同社の高品位ブランド「Sophialex(ソフィアレックス)の第1弾モデルとして販売される。Sophialexは、ギリシャ語で“知恵”を意味するソフィアと、英語のレックスを合わせた造語で「知恵と呼ぶに相応しい機能を持った製品のみに付与されるブランド」だという。そのため、生産は同社テクニカ事業部が担当しているが、同事業部が手掛ける製品がすべてSophialexシリーズになることはないという。
技術本部テクニカ事業部の上原純明氏は、PvrAlexの開発意図について「次世代フォーマットで録画ができるレコーダを企画しMPEG-4やDivXなどを検討したが、いずれもビットレートと画質のバランスに満足がいかなかった。しかし、同程度の画質ならMPEG-2の2倍以上の圧縮率を持つH.264を採用することになった」という。
しかし「H.264はアルゴリズムが複雑で、MPEG-2よりも2~10倍の処理時間がかかり、リアルタイム処理は難しかった。そこで、高速処理が可能な専用カスタムLSIを使い、今回のリアルタイムエンコード/デコードを実現した。H.264はHD画質も視野に入れた技術だが、広く普及させたいという考えから、SD解像度の製品を第1弾としてリリースすることになった」とする。
ターゲット層としては、「最新技術に興味があり、携帯ゲーム機や携帯端末、ノートPCなどを使って映像を楽しむヘビーユーザーを想定している。また、コンテンツ配信を予定している情報通信、放送業界にもアピールしていきたい」とした。現在同社がゲームコントローラを販売している販路を利用するため、ゲームショップや家電量販店のゲームコーナーなどで販売される見込み。
なお、カスタムLSIを含め、H.264の録画/再生ソリューションとしての販売も予定しており、「10月に行なわれるCEATEC JAPAN 2005では、その点に絞ったプレゼンや商談も行ないたい」としている。
また、今後のレコーダとしてのロードマップも発表。「2006年の夏頃にはMPEG-2のHD放送をH.264で録画できるハイビジョン・トランスコード機能を備えた機種を、2007年にはフルHDで録画・再生に対応した機種も開発していきたい」とした。
□フジワークのホームページ
(2005年7月20日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|