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日本テキサス・インスツルメンツ株式会社は26日、DLPフロントプロジェクタ用の1,280×768ドット(WXGA)/0.65インチDLPチップ「.65WXGA」と、色再現性向上技術「BrilliantColor」を発表した。ともに、2005年第4四半期からの量産出荷を予定しており、搭載製品も年末から2006年初頭にかけてリリースされる見込み。 ■ BrilliantColor
メカニカルなカラーホイールの改良と、デジタル信号処理により色再現性の向上を図る技術。 カラーホイールは、RGBの3原色に加えて、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の6色のカラーホイールを採用。新たに開発したASIC「DDP3020」を利用することで、システムレベルでの色信号処理を行ない、輝度と彩度の向上を図る。特に「ビデオや自然風景などに多い中間色の画像では50%を超える輝度の向上を実現する」という。 従来より、RGB以外の補色を加えたカラーホイールを搭載したプロジェクタが各社から発売されているが、「システム内部で信号処理を行なうのがBrilliantColorの特徴。従来製品はカラーホイールで特定の色味だけを変えていたが、システムレベルで少し広い色信号処理を加えて、画質を向上させている(DLP事業部 技術統括部長 大原一浩氏)」としている。 BrilliantColorは、フロントプロジェクタ用の技術で、ホームシアター用/データ用への展開を予定。対応解像度は800×600(SVGA)/1,024×768(XGA)/1,280×720(720p)/1,280×768(SXGA)ドット。また、カラーホイールのカラーパレットについては、基本的なパラメータを用意するものの、「使いこなしは各製品メーカーが自由に行なえ、差別化が可能になっている(大原技術統括部長)」という。 また、単板DLPプロジェクタの問題点として指摘される「カラーブレイキング」や、カラーフィルタの動きそのものが視覚され、RGBの各フレームがぶれた残像として視認されてしまう「レインボー現象」についても、6色カラーホイールの導入により、低減が見込めるとした。 BrilliantColorを搭載するASIC「DDP3020」では、色彩強調機能や2D台形補正、ピクチャインピクチャなども備えている。
■ DLP .65 WXGA
解像度1,280×768ドットの0.65インチフロントプロジェクタ用DLPチップセット。同社の「.7オプティカルプラットフォーム」に適合した光学系をサポートするため、従来モデルとの光学系を共用できるなどのメリットもあるという。 ASICは、従来のDDP1010に加え、BrilliantColorを搭載したDDP3020にも対応する。720p表示が可能なため、データ/ホームシアターの双方の用途で利用可能となる。コントラストを強調する「DarkChip2」技術も搭載している。
■ フロントプロジェクタでの1080対応は未定
発表会では、同社DLP事業部長のピーター・ヴァンケッセル氏が、フロントプロジェクタ市場への取り組みやDLPの今後の展開について説明した。 世界市場でのDLPシェアは47.2%と高く、1.5kgのウルトラポータブル機や、ハイエンドホームシアター、さらに、DVDプレーヤーを内蔵したオールインワン型、LEDバックライトを用いたポケットプロジェクタなど、様々な応用例を生み出していることを強調。DLPリアプロについては北米市場で40型以上の画面サイズ分野のシェアが21%となり、三菱、松下、東芝などの各社がDLPリアプロを発売しているという。 また、劇場向けのDLP Cinemaについては、「デジタルシネマのスタンダード」と表現。世界の382箇所のスクリーン、国内でも40以上のスクリーンに採用されているほか、今後2,800の導入が見込まれている。スターウォーズ エピソード 3での採用などを例に引き、「DLP技術を知ってもらうための鍵となるツール」と語った。 今後のDLP展開については、リアプロジェクションについては1080p対応を図るほか、高コントラストや色再現性の向上、画質の安定性など、画質をキーにDLPの魅力を訴求する。さらにコストの低減や、ミラーアーキテクチャの改良などの研究開発、提供メーカーと連携を強化する「ツールキット」の提供などを予定している。 なお、日本市場については、市場シェア27.2%とワールドワイドの47.3%と比較するとかなり低い数字となっているが、「日本の市場は、パフォーマンス指向で、コスト意識も高い。競争が厳しい。低価格なLCDとDLPが競争しなければならない」と問題点を指摘。日本市場のDLPシェアの向上のため、マーケティング活動に注力。製品メーカーとの共同マーケティングを行なうほか、DLP Cinemaを使った認知度の向上を図っていくとした。 なお、1,920×1,080ドットに対応したフロントプロジェクタ用DLPについては、「1280×768ドットから、どこまで上の解像度まで用意するのかという点はビジネス上の問題。ビジネスが無いのに作るのには意味がない。1080については具体的な計画としては公表していないが、メーカーやパートナーの意見により決定する。ビジネス上の必要がどれくらい出てくるのかに依る」と述べ、早期の製品投入は否定した。 □日本TIのホームページ (2005年7月26日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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