◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
いよいよ日本でスタートしたiTMSを試す
-ユニークなギフトカードとシンプルな購入方法


iTunes Music Store

8月4日スタート

価格:150~200円(1曲)


 8月4日、世界最大の音楽配信サイト「iTunes Music Store」(iTMS)が日本に上陸した。米国でのサービス開始が2003年4月。99セントという常識を打ち破る低価格と、ジュークボックスソフト「iTunes」上に構築した各種サービスで、一躍音楽配信のトップランナーとなったiTMSAppleだが、法制度や権利者間での調整などで日本でのサービスインが遅れていた。

Apple スティーブ・ジョブズCEO

 米国に遅れること約2年半、ついに日本でもiTMSがサービス開始された。価格は1曲150円もしくは200円。最新の有力アーティスト作品は200円の楽曲も多いが、150円という価格は米国の99セントには及ばないものの、210円~300円程度で楽曲提供していた日本の配信サービスと比較するとやはり割安感がある。

 発表会で米Appleのスティーブ・ジョブズCEOが強調したのは「Made in Japan, Made for Japan」というキーワード、つまり日本のためのiTMSということだ。このキーワードには、99セントのように“統一価格を打ち出せなかった”という思いもあるのかもしれない。ラインナップを一覧してみると、SMEなどの大手レーベルこそ抜けてはいるものの、それでもやはり、100万曲というカタログは圧倒的だ。

 日本にもMoraやMusic Drop、ONGENなど様々なサービスが存在するが、iTMSの登場にあわせて、配信価格の改定を行なった。これも、iTMSの交渉力により、各レーベルの提供価格を引き下げることに成功したことによるもので、その影響力は甚大だ。早速、iTMSを利用し、その使い勝手を検証した。


■ 決済方法はクレジットカードとiTunes Music Card

 課金方式としては、請求先の住所が購入国にある有効なクレジットカードが必要。つまり、日本国内で日本のサービスを利用するためには、日本で発行されたクレジットカードが必要となる。

 クレジットカード以外の決済方法としては、同日に発売されたiTMS用のプリペイドカード「iTunes Music Card」が用意されている。クレジットカードを持っていない、あるいは使いすぎや、セキュアが心配で使いたくないといった人には、プリペイドカードで支払うことができる。また、今後各アーティストのスペシャルデザインのカードの発行も予定されており、ファン同士の交流や、アーティストグッズとしての価値などにも注目が集まりそうだ。

アカウント登録前に購入を試みると、Apple IDの作成を促される

 iTMSの利用には、Apple IDを呼ばれるアカウントの作成が必要。メールアドレス(Apple ID)とパスワードを設定し、Apple IDを作成。Apple IDの作成の後、クレジットカード決済を利用する場合は、クレジットカード情報の登録が必要となる。

 Apple IDの作成で注意したいのはクレジットカードを持っていなかったり、使いたくない場合。というのは、iTMS画面の右上の[アカウント:サインイン]や、楽曲の[曲を購入]クリックして、そこから[新規アカウント作成]を行なうと、最後にクレジット番号の入力が求められしまうからだ。つまり、クレジットカードを持っていないと、Apple IDが発行されないという泥沼にはまってしまう。

 クレジットカードは使わず、iTunes Music Cardを使用したい場合は、カード裏面に書かれているように、iTMS画面左の[iTunes Music Card]をクリック、そこでコードを入力すると、Apple ID入力ダイアログが表示される。ダイアログ内の[アカウント作成]をクリックすると、アカウント作成画面に移行。そこに必要な情報を入力していくのだが、[アカウント:サインイン]からの場合と異なり、住所の入力が必須となるものの、クレジット番号は入力しなくても登録することができる。

 つまりiTMSを初めて使うときに、クレジットカードを使いたくない場合は、[アカウント:サインイン]からではなく、iTMS画面左の[iTunes Music Card]から入る必要がある。

 iTunes Music Cardについては、ビックカメラや、ヨドバシカメラ、ソフマップ、ヤマダ電機、コジマ、Amazon.co.jp、AppleStoreなどで2,500/5,000/10,000円の3種類が販売される。なお、発表会場となった東京国際フォーラムのすぐ隣のビッグカメラ有楽町店では、発表会終了直後ということもあり、報道関係者やゲストなどが多数押し寄せ、レジに長い行列を作っていた。

 今回、テスト用に2,500円のiTunes Music Cardを購入したが、金券扱いということで、消費税は課税されず、店舗(ビックカメラ)のポイントは付かなかった。なお、ポイントでのiTunes Muisc Card購入は可能とのこと。

2,500/5,000/10,000円のiTunes Music Cardを発売する 2,500円のカードを購入した

・買いすぎが怖い? 1-Click機能

 購入は非常に簡単で、クレジットカード決済の場合、Apple IDでサインインして、楽曲/アルバムを選択、[曲を購入]のボタンをクリックすると[曲名 **** を購入し、ダウンロードしますか? ]というダイアログが表示され、[購入]をクリックすると購入/ダウンロードを開始する。購入した楽曲は、iTunes左側の[ソース]ペインにある[購入した音楽]からアクセスできるほか、ライブラリにも通常の楽曲と同様に登録される。


[曲を購入]を選択後、確認ダイアログを表示。この画面で[購入する]を選択すると購入/ダウンロードを開始する 購入した楽曲はiTunesの[購入した音楽]からアクセスできる。通常のライブラリからも再生できる

 つまり、曲/アルバムを選択した後は、購入ボタンと確認ボタンを押すだけで楽曲購入できてしまう。いわゆる1-Click機能が、デフォルトで働いているのだが、試聴のつもりでも間違えて購入ボタンを押してしまいそうになるなど、個人的にはかなり不安を感じた。

 ネットのショッピングサイトでありがちな、[トータルの金額は***円です]的な確認画面が無く、いきなり課金が終了しているので、簡単といえば簡単だが、もう少しステップを踏んだ確認画面が欲しい。そうした場合には、[設定]から[ストア]を呼び出して、[ショッピングカートを使って購入]に切り替えると、カート機能に切り替わる。購入決断前に、トータルの金額と曲目を確認できるので、個人的にはしっくりきた。

 シンプルな操作性としっかりした確認という2点は、ユーザーの利便性を考えるとどちらに傾くにしてもバランスは難しい。このような2タイプの購入システムを用意しているのは好ましい。

1-Click機能をOFFにすることもできる。 1-Click機能をOFFにするとショッピングカート機能が現れ、合計金額を確認しながら決断できる。個人的にはこちらの方がなじみやすい

 ただし、楽曲購入後のキャンセルはもちろん行なえないので注意しておきたい。なお、画面右上の[アカウント]から[アカウントを表示]で、各種アカウント情報を確認でき、購入履歴やアカウント/カード情報の編集などが行なえる。

アカウント情報を確認できる 購入履歴も確認できる。価格は税込

・ユニークなギフトカード機能

 一方、iTunes Muisc Cardでの購入については、iTMS左側に表示されている[iTunes Muisc Card]を選択。すると、コード入力画面が表示されるので、カードに付与されている16桁のコードを入力する。コードはカード中央の黒い部分に隠されており、ここを削ることでコードが確認できる。

iTunes Music Card背面をスクラッチで削るとコードが現れる

 コードを入力すると、Apple IDの入力画面が表示される。ここで自身のアカウントを入力すると、そのアカウントにカードの金額分の音楽購入権が発行(チャージ)される。チャージされた金額はアカウントの右側に表示され、サインインしていればいつでも残額を確認できる。

iTMS左側のiTunes Music Cardを選択してカードで購入手続きを開始。[ギフトカード]や[アローアンス]もここから呼び出す カードに記された16桁のコードを入力 コードを入力するとアカウント脇にチャージ額が表示される

ギフトカードをメールで送信することも可能

 総じて購入方法はシンプルで簡単だ。MusicCardは、音楽好きの友人へのプレゼントなどにも最適だろう。物理的なカードだけでなく、iTMSの左側に表示されている[ギフトカード]を選択すれば、1,000円~20,000円の範囲でコードを発行し、友人にメールもしくはカードを作成して送ることもできる。さらに、[アローアンス]はカードを持っていない子供などに毎月の購入金額を設定して、月々のチャージを発行できる機能。チャージ額は1,000~20,000円までの間で1,000円刻みで設定できる。

 このあたりのギフトカード関連機能の充実は、ほかの音楽配信の追従を全く許さない。音楽を単なる消費財というよりは、コミュニケーションツールとして活用している好例と感じる。

 また、毎週無料楽曲を配信するキャンペーンも実施。このあたりでも今後新しい展開が期待できそうだ。

 なおカードの使用期限については、アカウントにチャージしない場合6カ月後に無効になる。さらに、チャージ後のアカウント残高は、最後のアカウント使用から2年経過すると無効になるので注意したい。

iTunes Muisc Cardの印刷版も1,000~20,000円で発行できる。メッセージも入力可能 毎月一定のチャージ額をプレゼントする[アローアンス]機能


■ 配信楽曲はPSPで再生できない

キーワード検索で思いがけない曲を探すのも面白い

 iTMSの楽曲検索機能も良くできている。左側の[音楽をブラウズ]では、ジャンルごとのディレクトリ検索が行なえるほか、右上の検索窓からキーワード検索が行なえる。検索対象はオーディオデータのほか、オーディオブックなども含まれている。オーディオブックは10,000冊以上ラインナップ。Podcastも国内の大手ラジオ局の参入などでコンテンツがかなり増えている。

 また、シングル/アルバムランキングもかなりの頻度で更新されているようで、ここを見ているだけでも楽しめる。今のところ、CDのランキングとはかなり違うラインナップが並んでいるようだが、人気コンテンツを確認するのもなかなか面白い。

PodCastingもInterFMなどが参入し、日本語コンテンツが強化 ユーザーによるプレイリストを集めたiMIXは、まだ数が少ないが、今後の拡充に期待したい

アルバムごとの一括ダウンロードも用意。まとめてダウンロードすると定期的なバックアップを促すダイアログが現れた

 アルバムの一括ダウンロード機能も搭載。一曲ずつダウンロードすることも可能だが、多くのアルバムでは一括で購入した方が安価な価格設定となっている。

 たとえば、今回購入した、ウルフルズのiTunes Originalsは、1曲150円の楽曲が13曲、さらに曲に対するコメントを収録し、iTMSでは26曲と記されている。これで価格は1,500円。13のコメント無しで単に楽曲を購入するだけでも、150円×13=1,950円となるので、アルバム購入の方が450円安くなっている。

 楽曲は確認した限りでは、全てAAC 128kbpsで配信されている。嬉しいのはほぼ全ての楽曲でアートワークが付属することだろう。iTunesの再生時にジャケット写真を確認できるだけでなく、iPod photoなどへの転送時に自動的に登録され、カラー液晶ディスプレイに表示できる。音楽配信とハードウェアの双方を持つAppleならではの強みといえるかもしれない。

楽曲購入時にアートワークも配信されるのは嬉しい 楽曲はAAC 128kbpsで配信される

 購入した楽曲のDRM(著作権管理機能)は、欧米各国でスタートしていたiTMSと共通で、個人利用であれば、5台のパソコンまで利用可能。iPod、CD-Rへは無制限でコピーできる。HDDのデータ消失などの場合、復旧の手だてはないので、マメにバックアップしておくのといいだろう。

 楽曲を購入してしまえば、あとは従来のiTunesと同じ。iTunesをジュークボックスソフトとして利用していれば、特に戸惑うこともないだろう。また、AirMac Expressによる無線音楽伝送などの周辺機器が充実しているのもiPod/iTunesファミリーならでは。

 せっかくなのでダメモトで、iTunesで作成したAACが再生可能な最新ファームウェアの「PSP」で、iTMSで購入したファイルの再生テストしてみた。iTMSで購入したオーディオファイル(拡張子.m4p)の拡張子を、PSPで認識可能な.mp4に変更して転送したのだが、PSPからは認識すらされず、当然再生もできなかった。


 iTunes Music Storeが、現在の音楽配信サービスにおいて、価格、周辺環境、配信楽曲数などの様々な点から、突出したサービス/環境であることは疑いない。各配信サービスがiTMSに併せて、値下げを行なうなど、iTMSの登場により市場に変化の兆しが見えていることも注目されるだろう。

 傑出したサービスかつ、iPodというハードウェアの魅力と相まって、日本でのiPod/iTunes人気はさらに高まるだろう。唯一、残念なのはiPod以外のプレーヤーでiTMSのAACをそのまま再生できないという点だろう。これは、現在はAppleのハードウェア戦略の一環として展開されていることもあり、対応は難しいだろうが、将来的には他社製プレーヤーとのDRM互換も確保して欲しいところ。

 しかし現状では、iTMSがiPod以外に対応する可能性はかなり低いことも確かであり、その点では、現在の国内の配信サービスや、新規参入予定のところにも、まだまだつけ入る隙があるともいえる。また、日本独特の市場としては、携帯電話の「着うたフル」が、ビットレート48kbps程度の音質で、1曲300円程度と高価であるにもかかわらず、爆発的に市場を築いている。

 iTMSの参入が遅れている間に、世界的には特異な市場になってしまっている日本市場に、世界標準になりつつあるiTMSが参入したことが、よい刺激となり切磋琢磨して、よりよい音楽配信サービスが日本に根付いていくことを期待したい。

□アップルのホームページ
http://www.apple.com/jp/
□iTunes Music Store
http://www.apple.com/jp/itunes/store/
□関連記事
【8月4日】「iTunes Music Store」の国内サービス開始
-100万曲をラインナップで1曲150円~。ジョブズも登場
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050804/apple1.htm

(2005年8月4日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.