◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
【インタビュー】iPod nanoは日本でブレイクするか?
-「この小ささがもたらす価値こそが革命」


米Appleのジョスウィック副社長

iPod nano
 アップルコンピュータが、iPodの新製品として、「iPod nano」を発表した。スティーブ・ジョブズCEOが、「iPod発売以来の革命的な製品」と位置づけるiPod nanoは、日本において、どんなインパクトを与えるのだろうか。

 製品発表にあわせて来日した米AppleのiPodプロダクツワールドワイドブロダクツマーケティング担当バイスプレデジントのグレッグ・ジョスウィック氏に、iPod nanoの狙いや事業戦略などについて聞いた。



■ iPod nanoが「革命的」である理由

大河原:今回の製品に、なぜ、nano(ナノ)という名称をつけたのですか。

ジョスウィック:ナノテクノロジーのナノから付けた名前です。この名前は、開発のかなり早い段階から決まっていましたよ。ナノというネーミングには、スモールとか、マイクロというレベルの小型化を目指したものではなく、それを遙かに超える小さいものを目指して開発したものだ、という開発チームの気持ちが込められています。

 そして、大切なのは、これだけの小型化を実現したにも関わらず、iPodで実現されている機能は一切削られていない。ホワイトiPodで実現したフルスペックを搭載しています。ドックコネクタも搭載し、これまでiPod用に開発された1,000種類以上のオプションが使えるように配慮しています。今回の製品は、写真などで見るよりも、実際に手に取っていただくとわかるのですが、ホワイトiPodに比べても80%もサイズが小さくなっています。

ジーンズのコインポケットに入るサイズ
 つまり、5分の1のサイズです。iPod miniに比べても62%も小さく、手のひらにすっぽり入ってしまいますし、ジーンズの小さなポケットのなかにも入れることができます。ビジネスカード(名刺)の下にも完全に隠れてしまう。ナノというネーミングに相応しい製品が完成したといえます。

大河原:ジョブズCEOは、iPod nanoを「革命的な製品」という言葉で表現をしましたが、革命的であるという意味はなんでしょうか。単にサイズが小さくなったことを指しているのですか。

ジョスウィック:小さいことそのものも大きな革命だといえます。しかし、革命的であるというのは、むしろ、この小ささがもたらす価値にあるといえます。iPod nanoによって、これまでのiPod以上に様々なシーンで利用できるようになる。首からぶら下げたり、ポケットに入れたり、財布のなかにも入れられる。iPodの利用できるシーンや、使い方のチョイスが一気に増える。その点では、これまで以上にいろいろな方々に利用していただけます。

 iPod miniでは女性の利用が増えましたが、iPod nanoは、さらに、それ以上に多くの人たちに利用してもらえるでしょう。iPodの楽しみ方やチョイスの仕方はカラーバリエーションだけではない、というメッセージが含まれているともいえます。他社の携帯オーディオプレーヤーが機能ばかりを追求し、その機能に魅力を感じる人を中心に広がっていますが、iPodは純粋に音楽を楽しむ人に対して広がっている。iPod nanoとiTunesの組み合わせは最強です。音楽を楽しむという使い方をさらに加速させる製品になりますよ。

大河原:どんな状況になったときにiPod nanoは成功したと判断しますか。

ジョスウィック:リーダーシップのポジションをさらに強固なものにできた時でしょう。これまで、iPodは、日本国内において、35%程度のシェアで推移していましたが、iTunes Music Storeを日本でスタートさせてから、40%を超えるシェアとなっています。今回のnanoで、さらにリーダーシップのポジションを確実にしたい。

大河原:あえて聞きますが、ウイークポイントはありますか(笑)。

ジョスウィック:いや、ないと思いますよ(笑)。

大河原:動画を再生できるようにしたり、もう少し価格を安くしてほしいとも思いますが。

ジョスウィック:動画に関していえば、要望が高いことは知っています。それと、価格の点でいえば、日本では為替の関係もあって、iPod miniの発売時点よりも安い価格で提供できました。これほど魅力的な価格設定はないですし、なかでも日本のユーザーには、価格面において、iPod miniを超える大きな価値を提供できたと考えています。

大河原:iPod miniは生産中止になるのですか。

ジョスウィック:いまの在庫分だけで終了になります。iPod nanoと、iPod miniは、価格の面ではほぼ一緒になりますし、それならばカラー液晶を搭載し、さらに、6割以上もの小型化を実現しているiPod nanoの方が魅力的でしょう。置き換えるには十分すぎるスペックを実現しています。

大河原:ホワイトiPodが、今後はminiのサイズになっていくと。

ジョスウィック:いや、それはなんともいえませんね(笑)



■ iTunes対応携帯の日本展開は?

米国で発売されるROKR E1
大河原:米国では、iPod機能を搭載した携帯電話である「ROKR E1」がモトローラから発表されています。日本での展開はどうなりますか。

ジョスウィック:私はその分野の直接の担当ではないですし、そもそもモトローラのプロダクトですからそれに言及することはできません。ただ、ひとつだけ言えるのは、ROKR E1は、GSM対応の携帯電話ですから、そのまま日本に持ってくることはないということです。あとは、モトローラが他の製品として、あるいは他の携帯電話ベンダーが日本市場にどうアプローチするかという問題になると思います。

大河原:日本では携帯電話が必需品になっていますし、老若男女が持ち歩いている。市場性はあると思いますが。

ジョスウィック:日本での市場性や、可能性については、アップルは十分に理解していますよ。

大河原:最後に日本のユーザーに対してメッセージを。

「日本のユーザーを重視している」とジョスウィック氏
ジョスウィック:iPod nanoは、これまでのiPod以上に、もっと手軽に、いつでもどこでも持ち歩けるようになっていることが最大のポイントです。ですから、日本のユーザーの方々には、ぜひ、iPod nanoを首からぶら下げて多くの人に見せびらかしてほしい(笑)。ジーンズのポケットから出して、たくさんの人を驚かせてほしい。また、仮にiPodを見せたくないという人も、見せないようにして持ち歩くこともできる(笑)。

 日本には、匠の技術を重んじる風潮があります。また、小型化したものに対して、魅力を感じてもらえる国民性がある。そうした人たちに、iPod nanoは、きっと最適の製品だと思いますし、世界中で、最もその価値を理解してもらえる国だと考えています。

 日本は世界第2の音楽の市場であり、iPod nanoは、日本のユーザーに最適な製品だと判断したからこそ、私はカルフォリニアでの発表会に参加せずに、日本の製品発表会に参加しました。それだけ、日本の市場を重視した製品ですから、ぜひ多くの日本のユーザーにご利用いただきたいですね。


□アップルのホームページ
http://www.apple.co.jp/
□ニュースリリース(iPod nano)
http://www.apple.com/jp/news/2005/sep/08ipodnano.html
□ニュースリリース(ROKR E1)(英文)
http://www.apple.com/pr/library/2005/sep/07rokr.html
□関連記事
【9月8日】Apple、カラー液晶搭載の「iPod nano」
-鉛筆と同じ厚さ。2GB版21,800円/4GB版27,800円
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050908/apple1.htm
【9月8日】iTunes対応の携帯電話「ROKR E1」が米国で発売に
-PCから楽曲などを転送。専用モードボタン装備
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050908/apple2.htm
【9月8日】アップル、iPod nanoやiTunes 5、ROKR E1のプレスイベント
-「nanoはiPod史上最大の革命」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050908/apple4.htm

(2005年9月8日)

[Reported by 大河原克行]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.