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製品発表にあわせて来日した米AppleのiPodプロダクツワールドワイドブロダクツマーケティング担当バイスプレデジントのグレッグ・ジョスウィック氏に、iPod nanoの狙いや事業戦略などについて聞いた。
■ iPod nanoが「革命的」である理由 大河原:今回の製品に、なぜ、nano(ナノ)という名称をつけたのですか。
ジョスウィック:ナノテクノロジーのナノから付けた名前です。この名前は、開発のかなり早い段階から決まっていましたよ。ナノというネーミングには、スモールとか、マイクロというレベルの小型化を目指したものではなく、それを遙かに超える小さいものを目指して開発したものだ、という開発チームの気持ちが込められています。
そして、大切なのは、これだけの小型化を実現したにも関わらず、iPodで実現されている機能は一切削られていない。ホワイトiPodで実現したフルスペックを搭載しています。ドックコネクタも搭載し、これまでiPod用に開発された1,000種類以上のオプションが使えるように配慮しています。今回の製品は、写真などで見るよりも、実際に手に取っていただくとわかるのですが、ホワイトiPodに比べても80%もサイズが小さくなっています。
大河原:ジョブズCEOは、iPod nanoを「革命的な製品」という言葉で表現をしましたが、革命的であるという意味はなんでしょうか。単にサイズが小さくなったことを指しているのですか。
ジョスウィック:小さいことそのものも大きな革命だといえます。しかし、革命的であるというのは、むしろ、この小ささがもたらす価値にあるといえます。iPod nanoによって、これまでのiPod以上に様々なシーンで利用できるようになる。首からぶら下げたり、ポケットに入れたり、財布のなかにも入れられる。iPodの利用できるシーンや、使い方のチョイスが一気に増える。その点では、これまで以上にいろいろな方々に利用していただけます。
iPod miniでは女性の利用が増えましたが、iPod nanoは、さらに、それ以上に多くの人たちに利用してもらえるでしょう。iPodの楽しみ方やチョイスの仕方はカラーバリエーションだけではない、というメッセージが含まれているともいえます。他社の携帯オーディオプレーヤーが機能ばかりを追求し、その機能に魅力を感じる人を中心に広がっていますが、iPodは純粋に音楽を楽しむ人に対して広がっている。iPod nanoとiTunesの組み合わせは最強です。音楽を楽しむという使い方をさらに加速させる製品になりますよ。 大河原:どんな状況になったときにiPod nanoは成功したと判断しますか。 ジョスウィック:リーダーシップのポジションをさらに強固なものにできた時でしょう。これまで、iPodは、日本国内において、35%程度のシェアで推移していましたが、iTunes Music Storeを日本でスタートさせてから、40%を超えるシェアとなっています。今回のnanoで、さらにリーダーシップのポジションを確実にしたい。 大河原:あえて聞きますが、ウイークポイントはありますか(笑)。 ジョスウィック:いや、ないと思いますよ(笑)。 大河原:動画を再生できるようにしたり、もう少し価格を安くしてほしいとも思いますが。 ジョスウィック:動画に関していえば、要望が高いことは知っています。それと、価格の点でいえば、日本では為替の関係もあって、iPod miniの発売時点よりも安い価格で提供できました。これほど魅力的な価格設定はないですし、なかでも日本のユーザーには、価格面において、iPod miniを超える大きな価値を提供できたと考えています。 大河原:iPod miniは生産中止になるのですか。 ジョスウィック:いまの在庫分だけで終了になります。iPod nanoと、iPod miniは、価格の面ではほぼ一緒になりますし、それならばカラー液晶を搭載し、さらに、6割以上もの小型化を実現しているiPod nanoの方が魅力的でしょう。置き換えるには十分すぎるスペックを実現しています。 大河原:ホワイトiPodが、今後はminiのサイズになっていくと。 ジョスウィック:いや、それはなんともいえませんね(笑)
■ iTunes対応携帯の日本展開は?
ジョスウィック:私はその分野の直接の担当ではないですし、そもそもモトローラのプロダクトですからそれに言及することはできません。ただ、ひとつだけ言えるのは、ROKR E1は、GSM対応の携帯電話ですから、そのまま日本に持ってくることはないということです。あとは、モトローラが他の製品として、あるいは他の携帯電話ベンダーが日本市場にどうアプローチするかという問題になると思います。 大河原:日本では携帯電話が必需品になっていますし、老若男女が持ち歩いている。市場性はあると思いますが。 ジョスウィック:日本での市場性や、可能性については、アップルは十分に理解していますよ。 大河原:最後に日本のユーザーに対してメッセージを。
日本には、匠の技術を重んじる風潮があります。また、小型化したものに対して、魅力を感じてもらえる国民性がある。そうした人たちに、iPod nanoは、きっと最適の製品だと思いますし、世界中で、最もその価値を理解してもらえる国だと考えています。 日本は世界第2の音楽の市場であり、iPod nanoは、日本のユーザーに最適な製品だと判断したからこそ、私はカルフォリニアでの発表会に参加せずに、日本の製品発表会に参加しました。それだけ、日本の市場を重視した製品ですから、ぜひ多くの日本のユーザーにご利用いただきたいですね。
□アップルのホームページ
(2005年9月8日) [Reported by 大河原克行]
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