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CEATEC JAPAN 2005【Blu-ray基調講演】
”Blu-rayは究極のディスク”。各社がBDの魅力を語る


期間:10月4日~8日

会場:幕張メッセ

入場料:一般1,000円、学生500円


 HD DVDに続いてBlu-ray Disc Association(BDA)の基調講演も6日開催された。HD DVDと比較すると、カジュアルなパネルディスカッション形式で、AV評論家の麻倉怜士氏を司会に、ソニー株式会社 コーポレート・エグゼクティブSVPの西谷清氏、20世紀フォックスホームエンターテイメント シニアバイスプレジデント ビジネス&テクノロジー ストラテジー ローイ・キャネル氏、松下電器産業株式会社 パナソニックAVCネットワークス社蓄積デバイス事業・アライアンス推進室室長 小塚雅之氏が参加。BDの現状と未来について解説した。


■ 様々なBDの利用方法を提案。“恒例”のコピーワンス批判も

パネルディスカッション形式でBDについて説明。左からソニー西谷氏、フォックス キャネル氏、松下電器小塚氏、麻倉氏

 ブルーレイディスク アソシエーションの代表で、ソニー株式会社 コーポレート・エグゼクティブSVPの西谷清氏は、BDフォーマットの概要を解説。「全てのフォーマットの規格策定が年内で終わる。商品として皆様の手元に届くまで、もう少しです」とBDへの期待を促し、「放送以上の画質が実現できる容量と転送レートを実現している。片方の面から全てのコンテンツが再生できる」と、その魅力をアピール。

 また、BDAのメンバー数は9月段階で148社になったことを明らかにした。「現時点では最高の光ディスクフォーマットを作った自信がある。その、本当の楽しみ方はどこにあるか、紹介していきたい」と述べ、トークショーがスタートした。

 麻倉氏は、BDを「あらゆるハイビジョンエンターテインメントの集合体」と定義。映画/音楽コンテンツのみならず、ホームシアターのセンター、エアチェック、HD撮影メディア、ゲームプラットフォーム、PCプラットフォームなどの様々な応用例を紹介した。

 記録型のBD-RE/Rについては、ハイビジョンエアチェックの記録メディアとしての楽しみをアピール。「一期一会の放送を最高の画質で、“そのまま”録画できる。テレビ放送と同じ感動を味わえる」とし、最近お気に入りのエアチェック番組を紹介。WOWOWで放送された「コンサート・フォー・ジョージ」や、18日にWOWOWで放送予定のイーグルスのコンサートなどのお勧め番組を披露した。

 また、ホームシアター業界などでは「ディレクターインテンション」、つまり「監督の意図の再現」という点が重要視されるようになったとし、「BDのストリーム記録では監督の意図が“そのまま”再現できる」と説明。また、テレビ放送では「最近BSフジががんばっている。韓国ドラマの“悲しき恋歌”は、ハイコントラストで“ティキティキ“な映像が多い中、フィルム的で繊細な画調で気に入っている」という。

 しかし、現在デジタル放送録画の中心となるHDDには「ストレスも感じる」という。それは、「古いモノは消さないといけない」が、HDD付きレコーダでBlu-rayに対応するのは、シャープの「BD-HD100」のみ。ほかのレコーダではSD解像度にダウンコンバートされてしまう。その点を松下電器の小塚氏に振ると、「BD-ROMの規格が年内に決まるので、その後、来年にはHDD付きのBDレコーダが出ます」とコメントした。

 また、麻倉氏は、ハイビジョン録画メディアとしてのBDへの期待も語った。編集などテープにない利点も強調した上で、ハイビジョンBDカメラについて西谷氏に質問すると、「ソニーでもBDのハイビジョンカメラを計画している。BDの8cmメディアでは、1層7GB、2層14GBの記録ができ、ハイビジョンをディスクに録画できる」。さらに、松下電器の小塚氏は「MPEG-2以外のコーデックを選択することで、より長時間の録画ができる。MPEG-4 AVCでの展開も考えている。DVDのカムコーダが流行っている理由はすぐにプレイバックできること。いままでと違う利便性を訴求できる」とした。

 麻倉氏は、HDVカメラ「HDR-FX1」を利用して撮影したHD映像を、ブルーレイレコーダ「BD-HD100」で編集した映像を再生し、「ハイビジョン生撮り」の魅力をアピールした。

 また、BDと直接関係はないが、CEATECのBD基調講演で恒例となった麻倉氏による「コピーワンス問題」に関するスピーチも行なわれた。総務省によるコピーワンス見直し方針が発表されたこともあり、「あらゆる場を通じて、言っておいて良かったとと感慨深い」とコメント。

 複数のディスクにコピーできない以上にこだわっているのが、「コンピレーションが作成できない」言う点。「ある歌手の年代順ディスクなどを自分で編集して作りたくても、それができない。非常に残念」と述べた。また、コピーワンス見直しに関する私案を提示し、ホームネットワークでの配信や、個人レベルでの自由な複製などを提案した。

麻倉氏によるコピーワンス見直し私案

 コピーワンスに関しては、西谷氏が、「アナログのレコーダですが、最新のスゴ録(RDR-AX75)では、録画と同時にメモリースティックのMPEG-4 AVCにコピーするので、オリジナルが残っている。録画したMPEG-4 AVCはPSPに転送して楽しめる。こうした提案はデジタルでもどんどんしていきたい」という。

 また、20世紀フォックスのキャネル氏も、「デジタルに変わったからといって、消費者の権利が変わる訳ではない。隣の部屋でも同じ番組を見たい、とか新しい提案が出てくるのは当然。ただ、“急に親戚の人が増えて、そこで商売が始まってしまう”というのは問題」と語る。

 小塚氏は、「HD番組をHDで書き出す場合と、HDをSDで書き出す時の運用が同じというのは良くない。フェアユースを基本に、ユーザーといい関係を築ける運用が望ましい」という。


■ BDは「究極のディスク」

 パッケージメディア「BD-ROM」については、「規格化作業を進めており、互換性の検証を続けている、年内には作業が終了する(小塚)」とのことで、BD-ROMの訴求ポイントについては、「DVDを体験すると、もうVHSには戻れない。“体験”こそが全てだと思う。より高品質なものを見てしまうと、元に戻れないというのは人間の感性。BDを体験してもらう機会を増やしていくことで、商品そのもので理解してもらえると思う(西谷氏)」という。

 9月にBDでのタイトル投入を発表したフォックスの選択については、「画質と容量と、著作権の保護が決め手。今まではパッケージソフトが放送をリードして、画質についてもその通りだった。放送を超える画質を実現するにも容量が重要だし、プラスアルファのコンテンツも収録できる(キャネル氏)」と語る。

 小塚氏は、「DVDも400枚程持っているけれど、放送が既に画質面で上回ってしまう。これは残念。パナソニックではMPEG-4 AVCに力を入れているが、プロが見てもロスレスと遜色ない画質が実現できている。AVCは16MbpsでMPEG-2の40Mbpsより綺麗になる。残りは音声のレートを上げて、画も音もいいというディスク、クオリティにこだわったモノを出したい。映画館の画質で、しかもリラックスして見られる。最高の画質を目指して最高のエンコーダを作っている」という。

 また、音声もドルビーデジタル・プラスやDTS HDをサポートするが、麻倉氏は「ロスレスをサポートし、音楽ソフトに対する門戸がさらに開くのでは」と語った。

 また、インタラクティブ機能にJAVAを搭載するが、その採用理由については「プログラマが多く、コンテンツも多い。クリエーターが自由コンテンツを実現できるような環境を整えた(小塚氏)」。

 ネットやインタラクティブ機能の活用について西谷氏は、「BDはディスクとしては究極。最高の音も画も実現できる。この後は、ネットやJAVAを使って面白いことをどれだけ作っていけるかが重要になる。例えば、2年前に見たディスクを見ると、以前には無いコンテンツや続編が追加され、ネット経由で楽しめるなど、さまざまな楽しみ方が考えられる。ディスクやネットなどをシームレスに楽しめるような仕組みを作りたい」という。

 最後に、HDMIなどのデジタル出力以外のアナログ映像の出力禁止の可能性が示唆されている、いわゆる「アナログ出力問題」については、「基本的にはICTという技術で、コンテツプロバイダがそこをON/OFFすることで、アナログ出力の有無が選択できる。運用ルールは確定していないが、期間は限定されるものの、アナログでも出力する方向で関係業界が取り組んでいる(小塚氏)」という。

 キーとなるのはハリウッドのスタジオだが、フォックスのキャネル氏は「HDでやるならHDで徹底的にやりたいというのがFOXの基本姿勢。デジタルインターフェイスでいい映像を見てもらうのが、ユーザー体験としても最適。ただし、アナログ出力の解像度を落とすとか、そういう対応は考えていない」とした

□CEATECのホームページ
http://www.ceatec.com/index.html
□Blu-ray Disc Associationのホームページ
http://www.blu-ray-disc.org/
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【10月5日】【Blu-ray Disc編】ソニーがBDドライブ搭載VAIO
-松下の新製造技術でメディアコストがDVD並みにhttp://av.watch.impress.co.jp/docs/20051004/ceatec04.htm

(2005年10月5日)

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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