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米Appleは12日(現地時間)、新製品発表会を開催し、新iPodやiTunes 6、新iMacなどを披露した。iTunesでのテレビ番組配信といった新サービスも発表されるなど、スティーブ・ジョブズCEOは、オーディオプレーヤーのiPodから、マルチメディアプレーヤー/ソリューションとしてのiPod/iMac/iTunesへの移行を強くアピールした。 日本でも、同発表会の録画映像により新製品の概要を紹介。また、米Apple前刀禎明マーケティング担当バイスプレジデントが日本での製品展開などについて簡単に説明した。 ■ ビデオ対応で薄型化した第5世代iPod ・iPod
発表の中心となったのは、iMac、iPod、iTunesの3製品。iPodについては、「いままで、3,000万台のiPodを出荷し、デジタルオーディオプレーヤー市場で75%のシェアを獲得した。9月8日に発売開始した最新のiPod nanoは、17日間で100万台を販売した」と好調な売上げについて紹介した。 「では、ホワイトiPodはどうなる? そろそろ取り替える時期が来た」とし、新iPodを披露。ホリデーシーズンにかけてiPod nano/新iPodのラインナップで商戦に臨む。 ミュージックやフォトなどの従来の機能に加え、2.5型/320×240ドットの大型液晶搭載によるゲームの高精細化や世界時計機能の充実などをアピール。その後、最大の特徴であるビデオ機能について解説した。 対応ビデオコーデックについては、「H.264はQuickTimeで搭載した国際標準の規格で高圧縮/高画質なコーデック。MPEG-4にも対応する」と紹介。さらに、30/60GBの2モデルを紹介し、「30GBは従来の20GBより約31%、60GBは約12%薄い。本当に薄い」と強調。さらに。ホワイトに加え、ブラックモデルを披露すると会場からは拍手が巻き起こった。 バッテリ駆動時間や、発売日を「来週末」とアナウンス、「新iPodは、今までで最高のミュージックプレーヤー」と自信の程を語った。
さらに広告戦略については、U2の「Original of the Species」のビデオクリップを使った新CMや、エミネム(Eminem)を起用した新シルエットCMを披露。U2のCMについては、「もう一回見よう」と上機嫌で繰り返し再生した。 また、Eminemについては、以前のiPodのCMでの楽曲利用について提訴を受け、その後和解に至っていたが、新CMも当時と同じ「Lose Yourself」を利用したシルエット広告となっている。ジョブズCEOは「2年間試みたてきたことが、ようやく実現できた」と語った。
・iTunes 6
iTunes Muisc Storeついても、音楽配信サービス中のシェアは84%と紹介。そのプラットフォームとなるiTunesもiTunes 6が同日公開された。iPod nano発表時にリリースされたiTunes 5から数え約5週間と、非常に早いメジャーバージョンアップとなる。 ジョブズCEOは、iTunes 6の新機能を「ギフト機能」、「カスタマーレビュー」、「Just for yor」、「ビデオ対応」の4つのキーワードで紹介。 「ギフト機能(gifting)」については、「一番要望が多かった」という。楽曲/アルバム購入時に[アルバムを贈る]、[曲を贈る]を選択すると、友人などに楽曲の購入権をプレゼントできる。 また、iTMSの楽曲/アルバム紹介画面には「カスタマーレビュー」を追加。ユーザーや購入者によるレビューを紹介画面に掲載し、楽曲購入時に参照できる。「Just for You」は、ユーザーの購入履歴などから好みの楽曲を推薦する機能で、iTunes 6ではベータバージョンと位置づけている。 最大の特徴であるビデオ購入機能については、コンテンツとしてU2や、カニエ・ウェスト、マドンナなど、約2,000のミュージッククリップを用意したことを紹介。iTMS上で販売され、価格は1.99ドル(日本国内では300円)。iTunes 6上でのプレビュー再生機能などのデモを行なった。
また、「一番好きなフィルムスタジオ」と、ジョブズ氏がCEOをつとめるPixerのショートフィルム作品の提供を発表すると、会場からは笑いが巻き起こった。また、再生時間が10分弱と短いこともあり、「ダウンロードサイズは音楽ファイル6曲分」と紹介された。 なお、DRMには、音楽配信と同様に「FairPlay」を採用。iPodへの転送は無制限で、5台までのパソコンで共有できる。再生できる期間についても制限がないが、音楽配信とは異なり、CDやDVDへの書き込みは行なえない。 ジョブズCEOはH.264の高画質をアピールするとともに、ダウンロードしたビデオを同時発売のiMacのリモコン操作用UI「Front Row」から再生してみせるなど、さまざまな応用例を紹介。“One More Thing”として、米国のテレビ番組を放送の翌日から配信することも明らかにした。 ABCの「Desperate Housewives」および「Lost」などの人気番組を配信。プライムタイムの1時間番組を「CM無しで、早送りの必要もなく、翌日から視聴できる」という。価格はミュージックビデオなどと共通の1.99ドルで、最新話だけでなく各エピソードの個別ダウンロードも可能。なお、テレビ番組のiTMS配信の日本展開は未定という。 ジョブズCEOは、「プライムタイムのテレビショーを翌日にみることができるのは、ランドマーク的な出来事。大きなブレイクスルーだ」と語る。また、ABCの親会社で、Disneyのロバート・アイガーCEOも、今回の協業を「偉大なコンテンツと、偉大なテクノロジー製品が結合したサービス。大きなチャンスを得ることができた。放送ネットワークや地域外の人、時間が合わずに見られなかった人などにわれわれのコンテンツを届けていく良い機会」と意気込みを語った。
■ リモコン操作が可能になった新iMac
また、新iMacも発表され、リモコン操作の新インターフェイス「Front Row」などについて解説した。新iMacは17インチモデルと、20インチモデルが用意され、Apple Store価格は17インチが152,800円、20インチが199,800円。 iMacでは、新たにApple Remoteコントローラーが付属。Front RowにはDVD、Music、Photo、Videoの各検索メニューが用意され、リモコン操作でAV機能を利用できる。ジョブズCEOは6ボタンの新リモコンと、HP、GatewayのWindows MCEのリモコン(42キー/45キー)と比較して、「どちらが使いやすいか」と問いかけた。 また、iTunesからダウンロードした映画予告編の再生や、新たに内蔵したiSightビデオカメラを利用したテレビ会議、チャットやエフェクト機能などのデモを行ない、メディアセンターとしてのiMacをアピール。「間違いなくデスクトップのランドマーク製品になる」と自信を見せた。
■ iPod/iTuneビデオは大いなる一歩
最後に、「非常に大きなことを始めることができた。最初の一歩だが、もっとも困難な一歩だった。いま、驚くべきコンテンツがiTunes上にある、プライムタイムのテレビショー、これをコンピュータでもiPodでも視聴できる」と、コンテンツホルダとの協力関係による、同社製品でのメディアソリューションの確立をアピール。iPod、iMac、iTunesの開発チームへの感謝の言葉を述べてスピーチを締めくくった。 また、前刀禎明マーケティング担当バイスプレジデントは、日本での製品投入時期をアナウンスするとともに、新iPodの投入により、「ポータブルミュージック市場のiPodのポジションをより強いものにしていく」と意気込みを語った。
□アップルのホームページ (2005年10月13日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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