|
三洋エプソンイメージングデバイス株式会社は、広色域を実現する中小型液晶ディスプレイ「Photo Fine Chromarich(フォトファイン・クロマリッチ)」を2006年初頭より量産開始する。
携帯電話やデジタルカメラ、ポータブルメディアプレーヤー向けの中小型液晶ディスプレイ。1セグ放送対応携帯電話や、ポータブルビデオ、デジタルカメラモニタの画質の向上などを目標に、高精細化、広色域化を図っている。 従来の赤/緑/青のR/G/Bカラーフィルターに加え、新たにシアン系のフィルターを追加。4色のカラーフィルタとすることで、色再現域を向上している。色再現域はNTSC比で100%超となり、従来の携帯電話向けディスプレイ(NTSC比 約40~72%)では、表現できなかったエメラルドグリーンやブルー系の微妙な色表現が可能となるという。
4色カラーフィルタの導入に加え、バックライト用の白色LEDも4色フィルタに最適化。さらにドライバICに色域拡大の演算アルゴリズムを内蔵し、入力データは従来のRGBデータのまま、ドライバICで4色フィルタに最適化し、ディスプレイ表示可能という。 同社の遠藤甲午技術開発統括部長は、Photo Fine Chromarichの特徴を「広色域に加え、高透過率で低消費電力」と紹介。従来の広色域化技術では、単純にカラーフィルタの膜厚を厚くするため、透過率の低下とそれによる消費電力の向上を招いていたという。 今回、4色カラーフィルタや、インクジェットプリンタの技術を応用した色域拡大アルゴリズムを開発したことで、「広色域かつ高開口率、低消費電力」、さらにセット開発が容易なインターフェイスを実現したという。
今回4色カラーフィルタを導入することで、シアン系、青から緑の再現性を大幅に向上し、「エメラルドグリーンなど青よりの緑、深い渓谷の緑などが再現できる」という。なお、緑色の色度はNTSC比で100%に達していないが、「世の中に存在する色はほとんど再現できるようになった。将来的にはNTSC比120%を目指す」という。 4色カラーフィルタの導入に当たり、独自の精密加工技術を開発。従来のパネルでは、1ドットはRGBの3つのサブピクセルから構成されるが、同一サブピクセルサイズでシアンを加えると、1ドットのドットサイズが大きくなってしまう。そこで精密加工技術の導入により、従来と同じドットサイズで4色のサブピクセルを実現したという。 また、通常のRGB入力信号を4色カラーフィルタで処理すると偏った色表現になってしまうが、エプソンのプリンタ開発で培ったという3色から4色への色変換技術を応用し、液晶のドライバICに搭載。本体メモリの増加などが不要で、従来のRGBデータの入力から、4色カラーフィルタに最適化した映像を生成できる。 さらに、プリントアウトした画質と、Photo Fine Chromarich搭載のデジタルカメラでモニタ画像とで、共通の色表現ができるため、利用者のイメージにあった忠実な色再現が可能という。また、一部製品では高速なシリアルインターフェイスに対応し、従来100本程度必要だった結線数を10本程度に削減。実装結線幅の縮小によりモバイル機器のコンパクト化なども図れるという。
量産を予定しているPhoto Fine Chromarich搭載液晶ディスプレイは、2.2型/240×320ドットと、2.8インチ480×640ドットの低温ポリシリコンTFTと、4.5インチ/640×480ドットアモルファスシリコンTFTの3製品。主な基本仕様は以下の通り。
同社の有賀修二社長は、5インチ以下の中小型ディスプレイ市場が、携帯電話やポータブルメディアプレーヤーなどのモバイル製品を中心に伸張すると予測。 デジタルカメラの高画質/高機能化や、携帯電話の1セグ放送対応、ネット経由のコンテンツ配信やポータブルビデオなどのさまざまな応用例を挙げ、モバイルLCDのニーズを「高精細、広色域、高速インターフェイス、高速応答、コンパクト、低消費電力」と説明。これらを満たしたLCDの投入により、新しいアプリケーションの市場が立ち上がると説明した。 なお、価格については、「新しい付加価値を持った製品ということもあり、プレミアを付けて売っていきたい」とした。 □三洋エプソンイメージングデバイスのホームページ (2005年10月17日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|