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文化放送、ラジオ番組を携帯に配信するハイブリッド放送
-ドコモ向けフル楽曲配信も開始。番組と連携も


文化放送の川津孝雄取締役編成局長とフロントメディアの市川茂浩社長
12月5日スタート


 株式会社文化放送と、株式会社フロントメディアは2日、ケータイとラジオ放送の両方に同じコンテンツをダウンロード配信/放送する「ハイブリッド放送」を12月5日より開始すると発表した。

ハイブリッド放送の概念図

 このサービスは、12月5日(月)に開設されるNTTドコモのiモードサイト「まるごとステーション」にて、文化放送でも放送するラジオ番組を、ケータイ向けに無料ダウンロード配信するというもの。なお、番組の配信と、ラジオ放送は12月6日(火)の21時からスタートする。

 また、まるごとステーションでは、NTTドコモの楽曲配信サービスも行なわれ、「着うた」に加え、ドコモ初のフルサイズ楽曲の配信も実施される。価格は1曲315円から。ただし、再生はアプリ上でのみ可能。ラジオ放送の受信と楽曲配信の対象機種はFOMA900/901系。放送は無料でダウンロードできるが、別途パケット料金が必要となる。


■ ラジオとケータイに同じ番組を放送/配信

 両社は今回のサービスを「ケータイ・ラジオハイブリッド放送」と命名。サービスの実現に向けて、12月1日に共同で有限責任事業組合(LLP)を設立。同組合がハイブリッド放送向けの番組制作や、レコード会社との権利処理を担当。原盤使用許諾を得て、LLPから文化放送、フロントメディア(まるごとステーション)へ番組や楽曲を供給する。

 ラジオの番組名は携帯サイトと同じ「まるごとステーション」。5分間の短い番組が4本を、総合MCがトークで繋ぐという形式になる。

有限責任事業組合(LLP)を設立 まるごとステーションの概要 番組内で紹介された楽曲を、フルサイズでダウンロード購入できる

ラジオでは4個の番組をMCでつなげ、30分番組としている

 ケータイ向けの配信では、4個の番組をバラバラにして、個別にダウンロードする。ダウンロードした番組には再生期限が設けられており、当初の予定は3日間再生可能。権利者との交渉次第で再生可能時間は変化するという。また、アップロードされた番組は1週間で新しいものに切り替わり、バックナンバーなどは用意されない。更新のタイミングはラジオ放送と同時で、毎週火曜日の21時更新となる。

 番組は、ソニーミュージックエンターテインメント、ディズニー、ワーナー・ミュージック、エイベックスとのタイアップとなっており、番組の中で流れた楽曲は、直接「まるごとステーション」の携帯サイトから着うたやフルサイズ版が購入可能。ただし、楽曲はiアプリを保存する領域に保存されるため、大量の楽曲ダウンロードには向かない。また、購入した楽曲を着信音などに指定することもできない。

 配信にはiモーションの配信技術などを使用。フロントメディアが開発した専用アプリで再生を行なう。ビットレートなどの詳しい情報は明らかにされていないが、5分間の番組で約2MBのサイズになる。ステレオでダウンロード配信されるが、一部の機種ではモノラル再生になるという。

専用アプリでラジオを再生しているところ。ダウンロードコンテンツのため、早送りや巻き戻しが可能 購入した楽曲の再生画面


■ ハイブリッド放送番組の拡大へ

 第1弾番組の「まるごとステーション」の5分間番組は、各レーベルのアーティストが月ごとにパーソナリティを担当。12月は「まるごと玉置成美」、「まるごとD.D.D」、「まるごとディズニーミュージック」(船越真美子)、「まるごと鈴木亜美」が編成されている。2006年1月以降も各レコード会社からパーソナリティが登場する予定。

玉置成美 D.D.D 船越真美子

鈴木亜美 発表会では、各パーソナリティーのビデオコメントが上映された ラジオ版の総合MCは声優の鹿野優以と成田紗矢香が担当する

 さらに、文化放送が得意分野の1つとしているアニメーションやゲームなどの関連番組通称「A&G枠」からも、ハイブリッド放送番組が開始されるという。

 なお、いずれの放送も無料で聴取可能で有料化の予定はない。しかし「将来的に、有料のラジオドラマなどを配信する可能性はある」(フロントメディアの柴田幸男総務部長)とする。

 また、文化放送の全ての番組がハイブリッド放送化する可能性について、文化放送の川津孝雄取締役編成局長は「楽曲の権利関係で難しい面もある」と説明しながらも、「そうした関係をクリアにできる番組から、順次ハイブリッド化を進めていきたい」と展望を語った。


■ 24時間365日の枠を超えた夢のラジオ

フロントメディアの市川茂浩社長

 ハイブリッド放送の提供に至った背景として、フロントメディアの市川茂浩社長は「携帯電話のインフラが整備されたことが第一。また、携帯は若者へのダイレクトなリーチ力に優れ、オーディエンスから直接リアクションを受け取れるという特徴がある。反面、放送局にはコンテンツの制作力があり、マスへのプロモーション力もある。こうした双方の強みを生かしたサービスが提供できる点が大きい」と説明した。

 また、ネットワーク配信向けの原盤使用許諾をレコード会社から取得する際の権利処理に関しては「ダウンロード型ということで、権利関係が厳しくなると思われているが、再生できる期限が限られているため、ストリーミング向けの許諾に近い形で各レコード会社から許諾を頂いている」という。また、今後は4社以外のレーベルにも交渉を進める予定。

 さらに、両社のメリットについて、文化放送の川津編成局長は「携帯ユーザーからラジオリスナーへの取り込み」や「地上デジタルラジオとの連動の可能性」、「携帯サイト上での広告表示という新たな収入元の確保」を挙げる。フロントメディアの市川社長は「番組制作のノウハウ取得」、「音楽配信の可能性」などを強調した。

 また、文化放送編成局の出川有選任部長は、ハイブリッド放送を前提とした番組制作について「これまでのラジオは24時間365日と、放送できる量が決まっていた。そのため、作りたい番組があっても枠がない、スポンサーがある枠を欲しても売り切れてしまったという事が起こる。しかし、サーバーからのダウンロード配信ならば、そうした制限から開放される」と説明。

 さらに「ソフト屋として、今届けたいものを、今届けられるツールを手にできることは嬉しい。また、届けたい人に届けることもできる。例えば失恋した女子高生と、恋をしたばかりの女子高生は、同じ女子高生でくくれない。失恋した子に“失恋なんて誰もが乗り越えることなんだ”と励ます番組を送ることができる。そうすれば、失恋して人を殺す子を止められるかもしれない。儲けるためではなく、世の中を良くできる、夢のラジオを目指したい」と、決意を語った。

文化放送編成局の出川有選任部長 発表会の司会は、文化放送の番組「レコメン!」で、中高生リスナーから絶大な支持を集める謎のレコメンダー「K太郎」が担当。ちゃんとマスクをかぶっていた

□文化放送のホームページ
http://www.joqr.co.jp/
□フロントメディアのホームページ
http://www.frontmedia.jp/
□ニュースリリース(PDF)
http://www.frontmedia.jp/051202_press.pdf

(2005年12月2日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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