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社団法人日本オーディオ協会は、「音の日」である12月6日に、音を通じて文化や生活に貢献し、オーディオの発展に取り組んだ人を「音の匠」として顕彰。都内で顕彰式を行なった。 「音の日」は、1877年の12月6日にトーマス・エジソンが蓄音機「フォノグラフ」を発明したことにちなんで、日本オーディオ協会や日本レコード協会、日本音楽スタジオ協会などが‘94年に定めたもの。 また、‘96年から同日に、オーディオの発展に尽力した人を「音の匠」として顕彰している。10回目にあたる今年は、ミキサーズ・ラボの社長でレコーディング・エンジニアの内沼映二氏、パイオニアの技術開発本部で顧問を務める沢口真生氏、ソニーのビデオ事業本部兼オーディオ事業本部のシニアエンジニア西尾文孝氏が選ばれた。さらに、特別賞として録音エンジニアで音楽プロデューサーのエリオット・シャイナー氏も顕彰された。 内沼氏はレコーディングエンジニアとして40年のキャリアを持ち、幅広いジャンルの音楽製作に参加。日本音楽スタジオ協会の会長でもある。また、2004年には5.1chサラウンド用のチェックディスク「CHECKING DVD BY MUSIC」をリリース。交響曲「シェエラザード」を楽しみながらシステムのチューニングができるコンセプトなどがAVファンから支持された。 沢口氏は、ドラマのサウンドデザインを専門としており、ハイビジョンドラマの制作でも活躍。‘91年よりAES(Audio Engineering Society)を中心にサラウンド製作の技術発表やワークショップなどを担当し、日本オーディオ協会ではAA懇話会マルチチャンネルグループ主査として次世代オーディオの方向付けにも貢献している。
西尾氏は、ソニーでAD/DAコンバータの設計やCDの高音質化技術「Super Bit Mapping」の開発などを手掛け、‘94年以降は1ビットΔΣ変調信号の記録・編集・再生技術の開発を開始。これが後のDSD(Direct Stream Digital)となり、SACDの誕生へと繋がった。 特別賞を受賞したエリオット・シャイナー氏は世界的なレコーディングエンジニア/音楽プロデューサーであり、B.Bキング、エリック・クラプトン、クイーン、スティングなどと共に音楽製作に参加。グラミー賞も5回受賞している。日本のオーディオファンが再生チェック用に良く利用するイーグルスの「ホテルカリフォルニア」も同氏による録音。
また、カーオーディオ分野でELSサラウンドシステムの開発に参加し、カーオーディオ界でのDVDオーディオとサラウンドの普及にも貢献したことも評価された。
■ サラウンドとデジタルによる新しいオーディオ世界
挨拶に立ったオーディオ協会の鹿井会長は、愛知で開催された万博を振り返り「ソニーやNHKのブースなど、会場のいたるところでサラウンドシステムが使われていた。ホームシアターも市民権を得て、サラウンドは既に自然に生活の中に取り入れられるようになった」と語る。 さらに、「音楽のデジタル化とネットワーク配信も本格的に動き出した。サラウンドとデジタル化により、今後のオーディオはより大きく発展していくだろう。今後も様々な分野の人々と協力し、新たなオーディオの世界を広げていきたい」と抱負を語った。 また、顕彰者を代表して内沼氏が登壇。「私もiPodとiTunesを使って音楽を聴いており、その便利さに関心している。しかし、ツールが変化しても良い音、良い音楽をリスナーに伝えていくという基本は変わらない。そのことを忘れずに今後も活動していきたい」と決意を述べた。
□日本オーディオ協会のホームページ
(2005年12月6日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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