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ブエナ ビスタ インターナショナル ジャパンは15日、ディズニーの最新フルCG映画「チキン・リトル」を3D映像で上映する試写会を開催した。上映前には、日本語吹き替え版のエンディング・テーマ曲を担当した歌手の岡本真夜さんによるトークショーも行なわれた。 上映されたシステムは、「ディズニー デジタル 3-D」と呼ばれるもの。専用スクリーンやプロジェクタ、ソフトウェア、3D用メガネなど、米REALDが持つ3D映像表示の特許技術を利用しており、REALDとディズニーが共同で開発したというシステムで、米国では既に84館で導入されている。 日本での導入は、今回試写会が行なわれた舞浜・イクスピアリの「AMC イクスピアリ16 13番スクリーン」が初めて。映画「チキン・リトル」を12月17日、18日に先行3D上映するほか、12月23日からの本公開後も3D上映を行なう予定。また、本公開からは、多摩センターのワーナー・マイカル・シネマズでもディズニー デジタル 3-Dを導入。3D上映が行なわれる。
■ ディズニー デジタル 3-D ディズニー デジタル 3-Dシステムは、DLP方式のプロジェクタを採用した通常の映画館に、後から3D映像投写機能だけを追加できるのが特徴。システムの基本は偏光板と偏光メガネを使用したもので、通常の映画は24fpsで投写するが、3-DではDLPプロジェクタで144fps投写を行なう。 ソースは左目用、右目用に別々のMPEG-2ファイルで用意し、144fps中、半分の72fpsで左目、72fpsで右目用の映像を交互に投写する。DLPプロジェクタのレンズ前には専用の偏光板を設置し、それぞれの光を分けてスクリーンへ映す。
観客がかける偏光メガネにも偏光板が使われており、プロジェクタの偏光板の方向性に適応。左右の目で異なる映像を見ることで、立体的な映像に感じられるという仕組み。 従来の偏光板を利用した3D映像との違いは、1台のプロジェクタで左右の異なる映像投写が可能なこと。システム的には、プロジェクタ前に設置する偏光板とREALD製の専用ユニットを追加するだけで実現できるため、導入コストが抑えられる。また、2つの映像をより正確にずらして投写できるため、より自然な立体感が得られるという。 しかし、偏光板を通して投写し、観客も偏光メガネを通して観賞するため、輝度が低下する。この問題に対応するため、ディズニー デジタル 3-Dシステムでは、3D映画でも2D映画でも対応できるシルバーカラーの専用スクリーンを開発している。また、イクスピアリでも輝度の低下を少しでも抑えるため、プロジェクタの前にある映写室の窓ガラスを、より透過率の高いものに変更したという。 映像の送り出し側は、Dolby Laboratoriesのデジタル上映システム「Dolby Digital Cinema」を使用。フィルムを使用せず、映像ファイルが記録されたHDDと専用デコーダ、制御システムで構成されるもので、HDDシステム「Dolby Show Store DSS100」1台と、デコーダ(プレーヤー)として「Dolby Show Player DSP100」を2台導入。2台のデコーダでそれぞれ左目用、右目用の映像をデコードし、プロジェクタへ送っている。
ディズニー デジタル 3-Dシステムはハリウッドを中心に、映像製作者の高い関心を集めているとのことで、米国では導入する映画館は今後も増加する見込み。古い2D映画も3D映像化することが可能なため、今後は上映される作品の増加や、日本を含めた世界規模での対応映画館の増加が見込まれている。
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■ 3D版のチキン・リトル 3D版のチキン・リトルでは、主人公チキン・リトルがかけているものと同様のデザインの偏光メガネが観客に配られる。試写会では立体感が豊かでありながら、チラツキなどもなく、クリアな映像が楽しめた。目への負担も少なく、本編は1時間21分だったが、3D映画鑑賞後に感じる独特の疲労感も無かった。古い2D映画の3D化でどこまで立体感がえられるかにも興味が沸くところだ。
映画の主人公チキン・リトルは、元気だけがとりえだが、何をやっても失敗ばかりの男の子。父と子の2人暮らしだが、いつも騒動を起こし、他人に迷惑をかける息子に父親は手を焼き「地味に、目立たないように暮らしなさい」と教えている。 そんなある日、チキン・リトルは空から宇宙船が降りてくるのを目撃。地球侵略をくわだてる宇宙人と遭遇してしまう。街の人々に危険を知らせるが、普段の素行が災いし、父親すらも信じてくれない。途方に暮れるリトルは、宇宙船から地球に降りて迷子になっている赤ちゃんエイリアン・カービーを発見。エイリアンは敵だが、赤ちゃんを放っておくわけにもいかず、リトルは信じてくれない大人に頼らず、仲間達とだけで地球を救おうと決意するのだが……。 ピクサー作品とは異なり、キャラクターのアクションや盛り込まれるギャグはオーバー気味。しかし、物語の筋は「父と子の関係」、「親子の会話の必要性」であり、現代の社会にとっては非常に重要なメッセージを含んでいる。親子で笑って観賞しつつ、最後にホロリとさせられる良質なエンターテイメントに仕上がっていると感じた。 試写会前のトークショーに登場した岡本真夜さんは、日本語吹き替え版のエンディングテーマ「いつかきっと」を担当。「失敗ばかりのチキン・リトルだけれど、あきらめずに頑張る姿に胸を打たれ、温かい気持ちになりました。私も5歳の子を持つ母親として、考えさせられることも多かった」と感想を語る。
また、楽曲については「勇気付けられる映画なので、歌もそのことを意識して作りました。夢に向かって進んでいるけれど、あと一歩のところで勇気が出なかったり、躊躇している人に向けて、最後のGO! の鐘を鳴らせる歌になればうれしい」と話していた。
□ブエナ ビスタ インターナショナルのホームページ
(2005年12月16日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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