◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
BCN年末店頭動向調査、大画面で液晶TVが過半数突破
-松下はCM自粛がシェアに影響。BRAVIAは好調な立上がり


株式会社BCN
田中繁廣取締役

1月17日発表


 株式会社BCNは、2005年年末の量販店店頭における市場動向についてまとめ、1月17日、報道関係者を対象にその内容を発表した。同調査は、18社2,206店舗のPOSデータを集計したもので、薄型テレビ、PCなどの主要品目を中心に、10月から12月までの月別推移などをもとに算出した。


■ 液晶テレビの大画面化の進展が顕著

 これによると、薄型テレビは、10月には前年同月比64.9%増、11月は31.2%増、12月は36.7%増と高い水準で推移していることがわかった。なかでも、液晶テレビの大画面化の進展が顕著。

 今年前半まで40インチ以上の構成比率はわずか2%前後に留まっていたが、11月には6.2%、12月には7.3%に拡大。さらに、37インチも12月には、液晶テレビ全体の8.5%を占めるなど大画面化に拍車がかかっている。12月の液晶テレビの対前年同月比は、20~30インチ未満が6.2%増、30~40インチ未満が109.8%増に対して、40インチ以上は329.3%増と大幅な伸びを見せている。

 特筆されるのは、11月の集計で、40インチ以上の領域において、初めて、液晶テレビがプラズマテレビを抜き、51.1%を占めたほか、12月には56.3%を液晶テレビが占めたことだ。いわば、「大画面はプラズマテレビ」という構図が崩れた格好になったといえる。

 同社の田中繁廣取締役は、「一般のリビングに大画面テレビを置きたいという消費者に対して、液晶テレビの鮮明さが大きなセールスポイントとなっている。また、液晶テレビは数多くのメーカーが参入し、製品数も多いことから売り場においてボリューム感が出る。メーカーや機種が限定されるプラズマテレビに比べて選択肢が広いことも液晶テレビが優位な理由」と分析した。

 店頭においては、37インチを例にとっても、液晶テレビの平均実売価格が29万5,000円、プラズマテレビが25万5,000円と、プラズマテレビの単価の方が安いが、それでも消費者は画面が明るい液晶テレビを選択する傾向にあるというわけだ。

 12月のメーカー別シェアを見ると、液晶テレビはシャープが43.1%とトップシェア。次いで、ソニーが27.7%、松下電器の9.0%。プラズマテレビは、松下電器が63.4%でトップ、次いで日立製作所の22.1%、パイオニアの13.5%となった。

 「ソニーのBRAVIAは、予想以上にスムーズな立ち上がりを見せたといえるが、ソニーのテレビ事業の復活というには時期尚早。一方、プラズマテレビでは、日立がシェアを引き上げているが、店頭での支援を手厚くしていること、日立のプラズマパネルに対する評価が高まっていること、そして、年末にトップシェアの松下電器がテレビCMを自粛した影響も出ている」(田中取締役)とした。なお、フルHD製品に関しては、今回の商戦の売れ行きには影響は出ていないとしている。


■ DVD/HDDレコーダは地デジ搭載モデルが年末商戦で一気に浸透

 DVD/HDDレコーダは、11月が前年同月比10.9%減、12月が23.8%減と、マイナス成長を続けている。「初期需要層に対して導入が一巡したこと、さらに、次世代光ディスクの話題が取り上げられ、その買い控え傾向が出ている。情報感度の高い人から、一般のユーザーに広がる間の端境期に当たっている」とした。

 だが、地上デジタルチューナを搭載したモデルがこの年末商戦で一気に広がりを見せ、10月には13.8%だった地上デジタルチューナ搭載モデルの比重が、11月には21.7%に、12月に31.8%と、3割を超えた。

 地上デジタル未対応製品では、ソニー(24.6%)、東芝(19.0%)、松下電器(17.0%)という順番だが、地上デジタル対応製品では、松下電器(22.2%)、日立製作所(21.1%)、東芝(19.3%)となり、「松下、日立といったプラズマテレビに強いメーカーが、地上デジタル対応でも高いシェアを獲得している傾向がある」という。


■ 携帯オーディオプレーヤーは、iPodが圧倒的

 携帯オーディオプレーヤーは、前年同期比2倍という高い伸びを維持し続けている。10月は117.9%増、11月は123.1%増、12月は145.7%増と依然として2倍以上の成長率となっている。なかでも、昨年同時期に主流となっていたHDDタイプの構成比が約2割に留まり、一転して、メモリタイプが8割を占める結果となった点が注目される。

 この背景には、アップルのiPod nanoの存在が見逃せない。メモリータイプにおけるアップルのシェアは50.9%を占め、相変わらず圧倒的シェアを獲得している。ソニーは、ウォークマンにおいて、発売直前に価格を引き下げるなどの措置をとったものの、結果としては15.2%に留まった。「アップルに追随できる商品力がない。アップルの一人勝ちはしばらく続きそうだ」としている。なお、HDDタイプでは、アップルが71.4%、ソニーが17.0%となった。


■ コンパクトカメラは市場縮小が続く

 デジタルカメラは、11月は前年同月比1.7%減、12月は8.8%減とマイナス成長。とくに、コンパクトカメラの市場縮小が目立った。コンパクトカメラのメーカー別シェアでは、キヤノンの16.9%に次いで、ソニーの15.7%、富士写真フイルムの15.5%、松下電器の11.8%、カシオ計算機の11.3%と各社のシェアが拮抗しており、手ぶれ補正機能を搭載している製品に注目が集まったといえる。

 また、デジタル一眼レフカメラは、市場全体の構成は4.5%前後と低いが、前年実績を大幅に上回る伸びを見せており、今後、構成比があがっていくと予測される。メーカー別シェアでは、ニコンの39.4%に次いで、キヤノンが35.5%と2強体制を形成。3位以下のオリンパス(9.1%)、ペンタックス(8.2%)を引き離している。「2006年はソニー、松下といったメーカーがカメラメーカーと手を組んでデジタル一眼レフ市場に参入してくることから、市場シェアにも影響を及ぼすことになりそうだ」としている。

 PC市場に関しては、「この年末商戦で明らかに回復の兆しが出てきた」(田中取締役)として、パソコンショップ店頭においても、回復基調にあることを宣言した。PC市場全体では、ビジネスユースの堅調に回復が市場を牽引していたが、「2001年夏以降続いていた店頭市場の低迷は、今回の年末商戦で脱却したと判断していいだろう。AV機能を強化したノートパソコンや高性能を実現したデスクトップパソコンなどに対する需要が旺盛で、AV利用といった、インターネット以来の新たな利用提案が行われたことが復調の要因」と分析した。

 PCの店頭市場の実績は、10月には前年同月比8.8%増、11月には2.6%増、12月には5.2%増と、3か月連続で前年実績を上回ることになった。デスクトップパソコンでは、イーマシーンズやゲートウェイなどの表示装置別売りのPCの伸び率が高く、2桁以上の伸び率で推移。また、3GHz以上のクロック周波数のCPUを搭載したPCが33.6%と3分の1を占め、高性能モデルに人気が集まっていることが明らかになった。

 また、ノートパソコンは、12月に前年同月比10.5%増という伸び率を達成する堅調ぶりを見せた。重量で3kg以上の製品が全体の57.0%を占めており、「モバイルを重視したものよりも、AV機能を搭載した据え置き型タイプに人気が主流になっている」と分析した。

 形態別メーカーシェアでは、A4ノート型で東芝(20.8%)、NEC(20.7%)、富士通(17.7%)と各社が拮抗。一方、B5ノートで型では、松下電器が48.8%と圧倒的シェアを獲得。次いでソニーの27.0%、シャープの11.9%。ミニノート型では、富士通が79.2%となり、次いで、東芝の16.4%となった。「A4ノートは、前年同月比2桁増で推移しているが、B5ノートは12月実績で24.3%減、ミニノートは46.1%減と、前年実績を大きく割り込んでいる」という。

□BCNのホームページ
http://www.bcn.jp/
□関連記事
【1月13日】BCN AWARD 2006発表 (PC Watch)
~92分野のシェア3位までの一覧を掲載
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0113/bcn.htm

(2006年1月17日)

[ Reported by 大河原克行 ]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2005 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.