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性犯罪者から“自分を守る”子供向け防犯アニメ
-キングレコードらが制作。「自己防犯力を育む」


Kin-Qキッズ★おたすK隊
(C)2006 U/KS/キングレコード・キッズステーション・スターシップ
3月8日DVD発売

標準価格:各3,150円


 キングレコード株式会社株式会社スターシップセコム株式会社株式会社キッズステーションの4社は18日、多発する児童を標的とした誘拐などの犯罪を防止するため、子供たちの自己防犯力を育むことを目的とした防犯アニメ「こども生活安全ガイド “Kin-Qキッズ★おたすK隊”」を共同制作したと発表した。

 同コンテンツはキッズステーションにてテレビアニメとして放送されるほか、セルDVD/VHSビデオや、レンタルDVD/ビデオとしても提供される。各社の役割は、キングレコードが映像企画、およびパッケージ販売/レンタル。スターシップが映像制作。セコムが企画全体の監修。キッズステーションが番組放送をそれぞれ担当する。

 「Kin-Qキッズ★おたすK隊」の最大の特徴は、子供の「自己防犯力」を育むことを目的としていること。犯罪から守るためには、親や教師などの大人が常に子供を見守ることが理想だが、登下校時など、現実には大人の目が届かない場所や時間帯があり、そこが犯罪者に狙われる隙となっている。

 このことから、子供が自らの身を自分で守る「自己防犯力」に着目。「危険察知力」、「危機回避力」、「危険脱出力」などを身につけさせるため、犯罪の事例や犯罪者の目的などの知識を与え「自ら考え、自らを守る行動をとる」ことを促していく内容。また、家族の中で真剣に防犯について話し合うキッカケ作りとしての役割も目指すという。


■ 性犯罪者の目的を子供達に隠さず教える

キングレコードの大月俊倫常務取締役

 キングレコードの大月俊倫常務取締役は、企画意図について「幼稚園の人から、“低学年向けの防犯ビデオが欲しい”というお話を頂いたのがキッカケ。低年齢層の児童を標的とした犯罪が続発している今という時期をあえて狙ったわけではなく、企画自体は1年ほど前からあった」とする。

 また、防犯ビデオをアニメで作ることについては「当初は実写で作ろうと考えていたが、どうしてもリアルになり過ぎてしまう。子供達に何度でも繰り返し見て欲しいという考えから、あえてCGとアニメで作ることにした」と語った。

 内容の監修は、位置情報提供サービス「ココセコム」を展開し、子供の安全対策を含めた各種セキュリティシステムを提供しているセコムが担当。独自に過去の犯罪事例を研究する機関も持っている同社が、子供達を誘う犯人の言葉など、具体的な犯行の手口の情報を提供している。

セコムの井東雄志郎ホームマーケット営業本部長

 セコムの井東雄志郎ホームマーケット営業本部長は、現在の子供を取り巻く環境について「日本では児童を標的とした犯罪が年間で3万件起きている。1日に80件強ということになるが、これらの数字はあくまで警察で認知しているもの。未遂なども含めれば、一日1,000件ほど起きていると考えられる。子供達を狙った犯罪は、既に身近なテーマになってしまっている」と説明する。

 映像制作を担当したスターシップは、NHKの子供番組などを手掛けてきた制作会社。星みつる代表取締役は「被害にあう要因は、子供達に危険を察知・回避するための知識が不足しているから。幼児にはパターン認識力による識別や、観察力、直観力など、優れた能力が備わっている。的確な知識や対処方法を与えることで、自力防犯力を飛躍的に向上させられる」と言う。

スターシップの星みつる代表取締役

 そのためには「従来の大人の目線で提供されるビデオでは、子供達の心に届きにくい。子供は大人から教えられるより、自分で考え、共感し、体験することで能力を獲得する。そのための材料として、適切な知識を隠さずに伝えることにした」という。

 例えば、誘拐の目的の大半は金銭ではなく、性的ないたずらであることも伝える。「誘拐されたらどんな被害を受けるのか。誘拐犯はなぜ自分達を狙うのか。今までの教育では性的な話を曖昧にして“誘拐されると殺されちゃう”などと教えてきた。しかし、危機意識を高めるため、性の問題も積極的に取り上げ、きちんと子供達に知らせる」とする。

 しかし、子供にショックを与えることを目的としているわけではなく「あくまで最低限必要な知識を与えるため。性的な問題をあやふやにすることは、防犯的観点からは必ずしもプラスにならない」と語った。


■ あえて正解を教えない

 アニメには、子供達を代表する5人のキャラクターが登場。様々な犯行事例の映像を観た後、それぞれがどう対処するべきかを語り合い、そこで出された教訓やアイデアをまとめていくというもの。

 例えば「くるま ゆうかい じけん」では、学校から離れた場所の通学路で帰宅途中の少年が、車に乗った男に「病院まで案内して」と声をかけられ、気を許した隙に車内に連れ込まれてしまうというもの。

セコムより提供された、過去の犯罪のデータから、犯罪者の手口が具体的に描かれる。それをもとに、子供達自身が議論を重ねていくという内容
(C)2006 U/KS/キングレコード・キッズステーション・スターシップ

 キャラクター達は「人が少なくて怖い道を通らなければいいのに」、「でも通学路を守らないと寄り道になっちゃう」、「危ないと思ったら他の道を通ってもいいんだよ」などと話し合う。さらに「車が近寄りやすい、ガードレールの無い道は危ないね」、「そもそも大人が子供に道を聞いたり、子供を頼りにすること自体が変だ」など、意見を交換していく。

 また、その中で「男の子でも誘拐されるの?」、「誘拐されると、裸にされて体を触ったり、写真を撮ったりされる。子供の体に興味を持つ異常者なんだ」、「その犯行を隠すために、殺されちゃうんだ」など、現実に即した情報も提供される。

 さらに、車のナンバープレートの覚え方を教えるための歌や、「こんな時にどうするか?」というクイズコーナーも用意。子供達を飽きさせないような工夫も凝らされている。デモ映像を観た印象では、自分で考えることを促し、結果として防犯意識が高められ、例として挙げられる事例以外が起こった場合でも対処できるような“臨機応変さ”に繋がることも期待できそうだった。

「いつも親に静かにしろって言われてるのに、大声で助けを求めてもいいの?」など、子供ならではの思考や視点で議論が交わされる 議論の内容はそのつどまとめられ、再び犯行シーンの映像に戻る。子供達の意見を反映すると、誘拐されないなど、違った結果になる 車のナンバープレートに書かれている情報の意味や、簡単な覚え方などを教える歌も収録
(C)2006 U/KS/キングレコード・キッズステーション・スターシップ


■ キッズステーションで放送。DVD発売も

 アニメは「お外の防犯 ~ゆうかい~」と「お家の防犯 ~るすばん~」の2本を制作。各約65分の作品だが、キッズステーションでは12回に分割、12分番組として2月1日から放送する。初回放送は毎週水曜日の8時15分から。リピート放送は日曜日の11時45分から。4月19日までで1周するが、その後も引き続き第1話から繰り返し放送を行なう予定。

発表会はセコム本社にて行なわれた

 DVDは3月8日にリリース。ビデオ版の発売と、レンタルDVD/ビデオも同日より行なわれる。価格は各3,150円。「お外の防犯 ~ゆうかい~」には「くるま ゆうかい じけん」と「ひとごみ ゆうかい じけん」、「こうえん わいせつ じけん」の3話。「お家の防犯 ~るすばん~」には「よそおい しんにゅう じけん」、「あとおい しんにゅう じけん」、「エレベータ わいせつ じけん」の3話をそれぞれ収録する。

 販売ルートは通常のCD/DVDショップなどに加え、幼稚園や小学校などへの学校教材ルート、全国図書館ルート、生協ルートなどを予定。レンタルは、全国のTSUTAYAにて取り扱うことが決定している。

 なお、2巻以降の展開は現在のところ決定していないが、スターシップの星氏は個人的な要望として「学校での防犯、暴力全般、万引きなどをテーマに、今後も展開を広げられればと思っている」と語った。

□キングレコードのホームページ
(1月18日現在、この作品に関する情報は掲載されていない)
http://www.kingrecords.co.jp/
□スターシップのホームぺージ
http://www.star-ship.co.jp/
□セコムのホームぺージ
http://www.secom.co.jp/
□キッズステーションのホームぺージ
http://www.kids-station.com/

(2006年1月18日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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