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株式会社日立製作所は、DVDビデオカメラ「Wooo」シリーズの新モデル3機種4モデルを2月上旬より順次発売する。価格はいずれもオープンプライス。各モデルの仕様、型番、店頭予想価格は下表の通り。 上位モデル「DZ-GX3300」のみカラーバリエーションを用意しており、シルバーとブラックの2色から選択できる。
■ 約1秒で撮影が開始できる「秒撮モード」
新モデル共通の特徴は、約1秒で撮影が開始できる「秒撮(びょうさつ)モード」を備えたこと。同社のDVDカムは、2005年2月に発売したモデルで、撮影開始までの時間を、それまでの約16秒から約6.5秒に短縮していた。しかし、新モデルではさらに時間を縮め、1秒で撮影がスタートできるという。
この秒撮モードは、DVDカムの電源を完全にOFFにするのではなく、「半起動状態」を維持することで高速録画開始を実現したもの。具体的には、専用の「秒撮ボタン」を装備。起動した状態で「秒撮ボタン」を押すと、休止状態に移行。同状態から再び「秒撮ボタン」を押すと、1秒で録画がスタートできる。なおその際には、ズーム倍率が約1.5倍(DZ-GX3300/3200)、または約1倍(DZ-GX3100)のデフォルト位置に戻る。
ただし、液晶モニタなどはOFFになっているものの、休止状態では内部回路は起動した状態になっているため、電力を消費する。同モード時の具体的な消費電力は明らかにされていないが、「モニタをOFFの撮影時の約半分の電力を消費する」という。モニタOFF時の消費電力はDZ-GX3300が約5.1W、3200が約4.4W、3100が約3.8W。また、休止状態は30分経過すると自動的に完全なOFFに切り替わる。
なお、従来モデルと同様に、電源をOFFにした状態でディスクを投入すると、ディスクの認識をあらかじめ行なっておく機能も搭載している。ただし、電源を投入した状態でディスクの入れ替えを行なう際は従来と同じ16秒の認識時間が必要となる。
■ そのほかの新機能 全モデルで、新たに動画から静止画を切り出す機能を搭載。切り出した静止画はSDメモリーカードに保存可能。 さらに、DVD+RWメディアの記録にも対応。DVD+Rを除く、DVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、DVD+RWが利用できる。同社では「DVDカム用の8cm DVD+Rメディアは市場にあまり出回っていないので、実質的には市場にあるメディアがほぼ全て利用できるようになった」と説明している。
また、パソコン用ソフトウェアに、Macintosh版を追加。カット編集や並び替え、メニュー画面付きのDVDビデオを作成できる「Pixe VRF Browser EX」と「ImageMixer VCD/DVD2」を同梱。Windows用には「ImageMixer 3」を付属している。なお、全モデルUSB 2.0端子を備え、ハイスピードモードをサポートしている。
■ DZ-GX3300 総画素数331万画素、1/3型CCDを搭載。動画の有効画素数は約218万画素、静止画は約305万画素。レンズの画角(35mm換算)は、動画が約52.7~527mm、静止画が44.6~446mmの光学10倍ズーム。F値はF1.8~3.0。フィルター径は37mm。電子式の手ブレ補正機能を備える。 静止画の記録解像度は2,016×1,512ドットで、形式はJPEG。液晶モニタは2.7型で、約12万画素のTFT。ビューファインダーは0.2型で約20万画素相当。
独自の画像処理LSI「ピクチャーマスター for DVDカム」を内蔵。画像処理LSIとMPEG-2用LSIから構成されるもので、画像処理LSIには色ノイズを取り除くCNR(Chroma Noise Reducer)回路と、解像感を向上させる「CCM(Correlative Coefficient Multiplying Method)」フィルタなどを搭載。画像処理のビット数を10から12ビットに拡張し、階調表現力を高めている。 また、MPEG-2 LSIには三次元ノイズリダクションを搭載。さらに、どのDVDメディアを利用していても16:9のワイドモード撮影が可能。録画モードはXTRA、FINE、STDの3モードを用意。XTRAモードはVBR対応となっている。 筐体デザインを一新。本体部に金属蒸着処理を施したほか、レンズ部にはヘアライン仕上げを施し、高級感を演出。ブラックとシルバーの2色を用意し、ブラックモデルは「深みのある黒を目指した」という。
ほかにも、液晶モニタをアシストライトとして使う「ローライトモード」や、シャッタースピードを1/4秒まで変化させるデジタルスローシャッターを採用。さらに、撮影環境に応じて自動的に発光するビデオフラッシュも内蔵する。 特殊コネクタ/ケーブルを介してS映像、コンポジット、アナログ音声入出力を各1系統用意。外部マイク入力も備える。外形寸法は約48×132×91mm(幅×奥行き×高さ)。本体のみの重量は約470g。同梱バッテリを含む重量は約545g。バッテリはリチウムイオンで、液晶モニタをOFFにした状態で約105分の連続撮影が可能。
■ DZ-GX3200
上位モデルの高級感を受け継ぎながらも、シンプルなスタイルを実現したというモデル。1/3.6型、約212万画素のCCDを搭載。動画有効画素数は約123万画素、静止画は約192万画素。レンズの画角(35mm換算)は48.7~487mmで、F値はF1.8~2.2。フィルター径は34mm。手ブレ補正は電子式。
筐体デザインと仕上げ、CCD以外の主な仕様はDZ-GX3300と同じ。秒撮モードや、ピクチャーマスター for DVDカムなども備える。静止画の記録解像度は1,600×1,200ドット。撮影可能時間は約125分。外形寸法は48×132×89mm(幅×奥行き×高さ)。本体のみの重量は約450g、撮影時重量は約525g。
■ DZ-GX3100
薄型筐体を採用し、女性をターゲットにしたというモデル。ボディにはパールホワイト塗装を施している。約133万画素の1/5型CCDを採用。動画有効画素数は約69万画素、静止画は約110万画素。 レンズの画角(35mm換算)は約48.3~725mmの光学15倍ズーム。F値はF1.2~2.8。フィルター径は30.5mm。手ブレ補正は電子式を供える。
入出力端子を含め、主な仕様は上位モデルと同じ。静止画の撮影解像度は1,280×960ドット。撮影可能時間は約145分。外形寸法は48×121×86mm(幅×奥行き×高さ)。本体のみの重量は約420g。撮影時は約495g。
■ 2006年はHDカムに向けた準備の年
デジタルメディア事業部の荻本教夫副事業部長は、新モデルについて「DVDカムをスタートさせた2000年に、思い描いていた理想のモデルが実現できた」と説明。日立が考える「完成形DVDカム」であると表現した。
しかし、「完成形だからと言って、これで終わりという意味ではない。今後は次世代DVDやHDD、ネットワークやパソコンとの連携を含めた、さらなる進化へ続いていく」という。具体的な進化形については「Woooブランドでレコーダやテレビでハイビジョンの魅力を訴求してきた。ビデオカメラでも当然HD画質を目指しており、2006年はそのための準備の年と位置付けている」という。
記録媒体については「HDDやSDカードなど、それぞれに魅力や利点があり、市場の要求に応じて決定する。また、いずれのメディアでも対応できるよう、技術的な蓄積はできている」とする。しかし、「決め付けは良くないが、SDカードはブリッジメディアと認識しており、HDDとビデオカメラの相性はあまり良くないのかなという気持ちがある」とした。 その上で荻本副事業部長は「ビデオカメラはやはり光ディスクだと考えており、今後も軸足は光ディスクに置いていく。次世代DVDでは、Blu-ray Discプレーヤー/レコーダや、PC用Blu-ray Discドライブの開発が進められており、当然その開発部と連携をとっていく」と語り、「Blu-ray Discカム」の登場を示唆した。 投入時期については「レコーダやPC用ドライブ向けのBlu-ray Discドライブが完成しても、消費電力や耐衝撃性などの問題で、それをすぐにビデオカメラに搭載することはできない。しかし、開発は着実に進めている」という。ただし「技術の実現だけを考え、一番乗りにこだわるつもりはない。HD記録ができても、サイズが大きすぎたり、値段が高すぎるような製品は出さない。ユーザーに納得してもらえる商品力、価格力を兼ね備えてからリリースしたい」と、慎重な姿勢を見せると同時に、「その結果一番になってしまうこともありえるが」と、笑顔で付け加えた。
なお、DVDカムの販売台数に関しては、2005年度で46~50万台の見込み。日立の世界シェアは現在6~5%、国内は約10%だという。2006年は「夏から秋にかけて、また強い付加価値を持った製品を投入する予定。それも加味して最低でも80万台、100万台を目指す」という。シェア目標は世界シェアを8~9%、国内は15%越えを狙う。
□日立のホームページ
(2006年1月20日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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