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内閣官房 知的財産戦略推進事務局は2日、「コンテンツ専門調査会 デジタルコンテンツ・ワーキンググループ」第4回を開催した。 同会合は、「日本を世界トップクラスのデジタルコンテンツ大国にする」という基本目標の下、デジタルコンテンツの振興政策について検討。討議をベースに報告書を作成し、2月20日に開催される第7回コンテンツ専門調査会に報告される。 今回の報告書案では、IPマルチキャストに関する法改正や私的複製の抜本的見直しなどが提案されている。 ■ IPマルチチャストに関して、早期の法改正を提案 放送と通信の融合については、IPマルチキャストの積極活用を提案。ユーザーから見た場合、「いわゆるテレビ放送と、IPマルチキャスト放送との違いはわからない」とし、ユーザー視点での利用環境づくりを訴えている。 また、現在“通信”扱いとなっている、IPマルチキャスト放送における著作権法上の取り扱いについては、以前より「早期に明確化する」とされていたが、今回の報告書案では「法改正を含め、必要な措置を速やかに講ずる」と踏み込んだ表現が加えられた。 さらに、コンテンツをテレビで視聴するためのセットトップボックスの標準化についても言及。「CATV会社やISPごとに異なるSTBを、ユーザーが不便を感じないよう、新たな技術やサービスに対応した民間の標準化の取り組みを推奨。操作性を向上させることでユーザーの利便を図る」としている。 また、地上デジタル放送のコピーワンスなどのプロテクションシステムについては、「全てのユーザーの利便に一律に重大な影響を与えるもの」と定義。その設定に関しては「ユーザーやメーカー、関係事業者など幅広い関係者の参加を得、そのプロセスを公開して、透明化を図ることでシステム間の競争を促進。利便性と著作権保護の双方の観点からバランスの取れたシステム策定を促進する」と提案。 既存のプロテクションシステムについても、「透明、競争的かつ継続的な見直しプロセスの明確化を図る」としている。一方、技術規格については、「新規参入の阻害にならないよう、公正な競争環境の確保に留意した検討を奨励する」と競争を阻害する規格策定を牽制している。 ■ マルチユースの推進契約を提言。私的複製の抜本的見直しへ 放送番組などのアーカイブについては、再利用のための権利処理の仕組みの明確化などにより、積極活用を奨励。こうしたマルチユースを想定した、契約の促進や権利の集中管理体制の整備を進めるために、エンターテインメント・ロイヤーと協力して、契約書のひな形の作成/公表を行なうことも提言している。 また、クリエーターと制作会社などとの間の契約における自主基準やひな形の策定のほか、人材育成や、エンターテインメント・ロイヤーの育成なども報告書に盛り込まれている。 私的録音・録画については、抜本的見直しを提案。(DRMなど)技術的保護手段との関係をふまえた「私的複製の範囲の明確化」や、使用料と複製対価との関係整理などの「著作権契約のあり方の見直し」、オンライン配信への移行を踏まえた音楽産業のあり方などについて、検討を進めるという。また、著作権者不明時の裁定精度の見直しも提言している。 そのほか、世界への日本コンテンツ情報発信の強化やクリエータの受け入れなどの提案や、音楽CDにおける再販制度の見直しも、同報告案に含まれている。 □首相官邸のホームページ (2006年2月2日) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
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