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セイコーエプソン株式会社は、JSR株式会社と共同で、液体材料の塗布またはインクジェットで高品質なシリコン膜を形成することに成功したと発表した。同技術を用いることで、液晶テレビなどに使われる低温ポリシリコンTFTを、低コストかつ従来品と同等の品質で生産できるという。 シリコン膜の形成に液体材料を採用したことで、大規模な真空装置を使わずに成膜が可能。液体材料は、水素と珪素から構成される高次シラン化合物を有機溶剤に溶解させたもので、不活性雰囲気中で基板上に塗布して焼成することでシリコン膜を形成。スピンコートで形成したシリコン膜を使ってTFTを試作したところ、移動度は従来の製造プロセスで形成した場合とほぼ同等の108cm2/Vsで動作したという。 また、インクジェットなどの印刷技術を用いてパターンを形成し、消費エネルギーやプロセス時間を削減できるという。独自のマイクロ液体プロセスを利用し、インクジェットで同材料を基板上に吐出、シリコン膜パターンを形成したところ、従来のフォトリソグラフィによるパターン形成が一部不要となった。移動度は6.5cm2/Vsとスピンコートでの場合に比べ低かったが、同社では「改良の必要はあるが、印刷によるTFT形成が十分可能である」としている。 今回の研究成果は、英科学雑誌ネイチャーの2006年4月6日号に掲載。両社は、同技術を低コスト/低環境負荷の電子デバイス製造を実現するキーテクノロージーとして提案するほか、応用展開の可能性も探り、実用レベルでの技術確立を目指すという。
□エプソンのホームページ ( 2006年4月6日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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