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アミューズ、「ProjectBLUE 地球SOS」をアニメ化
-小松崎イラストが動く。懐かしくて新しい映像


左から渡辺明乃さん、斎賀みつきさん、広橋涼さん、うえだゆうじさん。右は岡村天斎監督
7月2日 AT-Xで先行放送

8月25日DVDリリーススタート


 アミューズソフトエンタテインメント株式会社は、伝説的なイラストレーター小松崎茂氏の「地球SOS」を原作としたオリジナルビデオアニメ「ProjectBLUE 地球SOS」を製作。7月2日からAT-Xプレミア枠で毎月1話ずつ先行放送するほか、8月25日からDVDを全6巻で毎月リリースする。1話は60分。

 原作の「地球SOS」は、昭和23年に「冒険活劇文庫」で連載された小松崎茂氏の作品。小松崎氏は戦後、多くの少年雑誌に多彩な作品を掲載。絵物語やSF、戦記物ブームを支えたほか、「地球防衛軍」など特撮映画のメカニック・デザインも担当。

 さらに、プラモデルのパッケージイラストでも活躍し「名前は知らなくても、絵は見たことがある」という男性は多いことだろう。透明なチューブが都市をつなぐ「未来の世界」のイラストなどで文字通り少年達に夢を与えた作家でもある。

小松崎茂氏の作品。小松崎茂氏の描く未来世界に胸を躍らせた記憶のある人も多いだろう
(C)小松崎茂

メカは3DCGで描かれているが、小松崎氏のデザインや雰囲気を損なわないモデルやカラーを採用している
(C)2006 小松崎茂・東京エー・ジー・NAC/ProjectBLUE

 アニメ化にあたっては、「WOLF'S RAIN」などで知られる岡村天斎氏が監督を担当。メカニックデザインは荒牧伸志氏、音楽は大島ミチル氏が手掛けるなど、豪華なスタッフ陣。アニメーション制作はA・C・G・T。CGはTRILOGYが担当している。

 物語の舞台は、夢のエネルギー「G反応機関」が実用化され、人々の生活を支えている西暦2000年。G反応機関を利用し、首都メトロポリタンとニューヨークを時速500km、わずか1時間半で結ぶ夢の弾丸列車「イナズマ号」も開通を目前に控えていた。

 G反応機関で財を成したキムラ財閥の御曹司で、英国王立大学を主席で卒業した若干14歳の天才少年ビリー・キムラは、世界的科学者ブレスト博士の娘ロッタとともにイナヅマ号の開通式に出席していた。しかし、同じく14歳でマサチューセッツを主席で卒業した天才少年ペニー・カーターが現れ、G反応機関の危険性を指摘する。

 その最中、イナヅマ号は虹色の光に包まれ、消滅してしまう。ペニーによれば、G反応機関を搭載した新型飛行機や潜水艦などが各地で消滅する事件が多発しているという。かくして2人の天才少年は謎の解明に乗り出す。その結果、5年前にG反応エンジンを搭載した軍の実験機が謎の円盤と遭遇し、消息を絶っていることが明らかになる。「地球は“奴ら”に侵略されようとしている」と語る軍のクレイトン大尉。そして、2人の前に現れた謎の少女は「千年期の終わり……インファーベルの支配が始まる」という謎のメッセージを残す。

莫大な資産と天才的な頭脳で大人顔負けの活躍をするビリー・キムラ。ペニーとコンビを組みつつも、ライバル視している 奨学金でマサチューセッツを首席卒業した努力型天才のペニー・カーター。愛犬ワシントンとともに謎の究明を行なってきた G反応機関の権威であるブレスト博士の娘ロッタと、彼女の家庭教師エメリー。天真爛漫なロッタと反対に、エメリーには秘密があるようだが……
(C)2006 小松崎茂・東京エー・ジー・NAC/ProjectBLUE

 最大の特徴は、なんといっても小松崎氏のデザインをベースにした個性的なメカ達だろう。戦闘機から円盤、リムジン、列車に至るまで、丸みを帯びたレトロチックなデザインが取り入れられ「SFアニメ」と言うよりも、「空想科学活劇」と表現したくなるようなロマンに満ちている。小松崎世代には懐かしく、若い世代はリアリティを追求した昨今の作品にはない新鮮さが味わえることだろう。

 かといって、古臭くて単調な物語ではない。展開は実にスピーディーでストーリーは重厚。アクションシーンや戦闘シーンの迫力は現代のハイクオリティアニメのそれだ。鮮烈なドッグファイトが繰り広げられるが、打ち出されるビームは懐かしいリング状のビームだったりと、独特の映像に仕上がっている。古き良きメカデザインに感じる“燃え”と、圧倒的なアクションで魅せる“燃え”が相乗効果を生んでいるようだ。サンダーバードなど、メカが多い特撮ドラマ好きな人にもお勧めだ。

UFOと言えばこのデザイン、このビーム、このサウンドと言いたくなるほど期待を裏切らない映像 登場するメカはいずれも小松崎氏のデザインをベースとしたもの。個人的にはOVA版「ジャイアントロボ」に通じる“メカの熱さ”を感じる 2人の少年を救う謎の男。消えた空軍パイロットと関係が?
(C)2006 小松崎茂・東京エー・ジー・NAC/ProjectBLUE

 なお、7月2日からAT-Xのプレミア枠で先行放送が行なわれ、スカパー!、スカパー! 110と一部CATVでは各話初回のみノンスクランブルで放送する。作品自体はHD解像度で制作されており、10日に都内のスタジオで行なわれたマスコミ向けの試写会では、ハイビジョン/5.1ch音声で上映された。映像的クオリティは劇場用アニメに迫るもので、サラウンドの音質も高く、DVD版のクオリティにも期待できそうだ。


■ 小松崎カラーをアニメで再現

岡村監督

 試写会にはメインキャストに加え、岡村監督も参加。作品の見所などを語ってくれた。「制作に時間がかかってしまったが、非常にグレードの高いものが出来ました」と語るのは岡村監督。「アニメ業界には小松崎さんのファンが多く、そういった意味でも今回の映像化はプレッシャーがあった」という。

 映像化の際の工夫としては「昔、4色のカラーではなく、黒、緑、赤の3色で印刷していた時代があったそうなんですが、その頃の小松崎さんの絵のトーンを出すために、青みを抑えた絵作りを心がけています。映像から独特の暖かさを感じて欲しいです」と説明する。

第1話で登場するメカ達。今後も空中戦艦やドリル戦車など、様々なものが登場するという

 ビリー・キムラ役の渡辺明乃さんも、アフレコ時に「絵のトーンから、こだわりのレトロ感を感じました」という。作品については「まさにワクワク、ドキドキが詰まったアニメです。次の物語はどうなるんだろうと、どんな年代の人にも子供に戻った気持ちで楽しみにして欲しい」と語る。

 「完成版を通しで観て、まるで1本の映画を観たような感動。鼓動がまだ速いです」と興奮ぎみなのはペニー・カーター役の斎賀みつきさん。小松崎氏について「登場するメカや重厚な物語に触れるたびに、戦後すぐにこんなデザインや物語を考えていたんだと驚きました。現代の私たちには逆にできないんじゃないかという発想が新鮮」だと言う。

 ロッタ役の広橋涼さんは、自らの役について「空気を読まない、天然な女の子」と説明。「物語の本筋はシリアスなので、コミカルな部分を担当していきたい」と笑う。ちなみに監督によれば「天然なロッタを演じられる人として、オーディションで広橋さんを選んだ」とのこと。しかし「最近では演技じゃなくて素の天然なんじゃないかと思っている」との発言に、「演技です!」と広橋さんが反論、会場が笑いに包まれる場面もあった。

 「僕は子供の頃から小松崎さんのイラストに慣れ親しんでいたので、こういう形で関われて嬉しい」と語るのは、失踪した軍の実験機のパイロット、ジェームズを演じるうえだゆうじさん。「最近はリアルなだけの作品も多いですが、こういうフィクションをフィクションとしてしっかり作り上げる作品には、それならではの良さがあると思います」と話す。また、「メインは2人の少年ですが、周囲に魅力的な大人のキャラクターも多数登場します。2人がその背中を見て育つに値する、大人キャラにも注目してください」と、見所を教えてくれた。

謎のメッセージを残す少女。今後も物語の鍵を握ると思われる 舞台は近未来的な社会だが、そこかしこにレトロなアイテムも散見される独特の世界観だ
(C)2006 小松崎茂・東京エー・ジー・NAC/ProjectBLUE

 なお、試写会では第1話が上映されたが、監督によればその後も様々なメカが登場するとのこと。「敵のロボットや空中戦艦、ドリル戦車なども登場する」というので期待大だ。最後に監督は「物語が進むにつれ、“本当の主人公が誰か?”もわかるでしょう」と、意味深なコメント。ストーリーの面でも要注目の作品と言えるだろう。

□作品の公式サイト
http://www.projectblue.jp/
□アミューズソフトのホームページ
http://www.amuse-s-e.co.jp/

(2006年5月11日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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