◇ 最新ニュース ◇
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【Watch記事検索】
KDDI、ケータイ/PDA向け放送で利用可能な保護技術
-「K2技術」。CPU使用率1%未満で復号化


デモの様子。右の2台がK2復号化に対応した試作機
5月17日公開


 KDDI株式会社株式会社KDDI研究所NHK放送技術研究所は16日、携帯電話やPDAなどの移動体向け放送サービスで利用できる新しいコンテンツ保護技術「K2」を発表した。開発はほぼ完了しており、具体的な時期は決定していないが、様々なサービスへの導入を検討しているという。

 K2はコンテンツ保護のための暗号化技術。概要は3月に発表されていたが、今回は実装した携帯電話の試作機も展示。デモも行なわれた。なお、各社の役割は3社で仕様を検討、コンテンツはNHKが提供し、端末への実装はKDDIグループが担当する。

 最大の特徴は、PCよりも処理能力が低い携帯機器でも高速に復号化できる負荷の軽さ。従来の暗号化技術では、暗号化された映像などのデータを復号化処理するチップなど、専用のハードウェア部品が必要だったが、K2はソフトウェアのみでCPUを使って復号化が行なえる。

 また、復号するための復号鍵をネットワークを通じて配信可能。鍵を取得した端末でのみ復号化し、再生することができる。そのため、違法な解析などが行なわれた場合にもコンテンツプロバイダ側で復号鍵を新たに作成でき、インターネットなどのオープンなネットワークを通じてコンテンツを配信しても、強力にコンテンツを保護できるという。

 K2で暗号化した416kbpsのデータを復号化する際に必要なCPU処理能力は約1.0MIPS。日立製作所の「MULTI-S01」の7.1MIPSや、3GPP2の標準暗号化アルゴリズム「AES」の10.6MIPS、W-CDMAで使われている三菱電機の「KASUMI」の27.1MIPSらと比較しても大幅に少ない能力で処理が行なえる。

 なお、416kbpsデータの場合、試験携帯電話での復号化時CPU使用率は1%未満。ワンセグの再生には約70%のCPU処理能力が必要なため、CPUの余力で復号化ができる。他の暗号方式の場合はK2の10倍、20倍といった処理能力が必要になるため、実際の放送サービスに導入しても、ソフトウェア処理だけではカバーできないという。

K2技術の概要 他暗号方式との比較 CPU能力の1%で復号化できる

 暗号化は映像、音声、データに対して個別に行なえるほか、3つをまとめて暗号化することも可能。別々に暗号化した場合には「音声のみ全ての端末で再生でき、映像は復号鍵をネットワーク経由で取得しないと再生できない」などのサービスも実現可能。番組データは暗号化せず、同データ画面から復号鍵の購入ページにアクセスし、ライセンスを取得するといったこともできる。

 また、復号鍵を取得するプロセスが発生するため、視聴しているユーザーを特定することが可能。あるドラマの第1話のライセンスを取得したユーザーだけに、第2話配信開始の連絡をすることもできるという。

 デモではワンセグ放送と同じH.264/MPEG-4 AVCの動画ファイルを暗号化して使用。非暗号化コンテンツは既発売のワンセグ対応携帯電話で再生できるが、K2暗号化処理された番組は再生できない。さらに、対応した試作機でもライセンスを取得しないと再生できないなどの動作がデモされた。なお、デモはあくまで利用イメージで、ワンセグ放送にK2技術が採用される予定はない。

デモの概要。左側は市販されているワンセグケータイ「W41H」。右の2台は京セラの端末を使った試作機。暗号化されていないコンテンツと、K2処理されたコンテンツを順次再生。暗号化されたものはW41Hで再生できず、ライセンスをダウンロードした試作機のみ表示が可能。ライセンスのない試作機では取得を促すメッセージが表示される

復号鍵を取得しないと再生できない EZwebの専用ページから復号鍵をダウンロードすると再生が開始された

KDDI株式会社技術統轄本部の渡辺文夫技術開発本部長

 また、携帯端末でコンテンツをK2暗号化することも可能。ユーザーが撮影した動画ファイルをK2技術で暗号化し、セキュアな状態で友人に送信。友人が復号鍵を取得して再生することもできるという。

 暗号化処理の重さについては「ワンセグ対応端末では処理の重いH.264/MPEG-4 AVC動画もデコードできるので、例えばメールに添付したファイルをリアルタイムにK2暗号化しながら送信するといった処理は実現できる」という。

 KDDI技術統轄本部の渡辺文夫技術開発本部長は「具体的なサービスは現在のところ検討段階だが、携帯端末の特徴を活かし、個人の趣味趣向に合わせた動画コンテンツの配信など、様々なサービスで利用できる技術」と今後の展望を語った。

 なお、同技術は5月25日から28日まで一般向けに公開される、「NHK技研公開2006」で展示される。

□KDDIのホームページ
(5月17日現在、この件に関する情報は掲載されていない)
http://www.kddi.com/
□KDDI研究所のホームページ
http://www.kddilabs.jp/main.html
□NHK放送技術研究所のホームページ
http://www.nhk.or.jp/strl/
□関連記事
【3月15日】KDDI研究所と九州大、携帯向け暗号方式「K2」を開発 (ケータイWatch)
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/28250.html

(2006年5月17日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.