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WinHECで公開されたWindows Vistaの新AV機能
-SideShowがPCのリモコン操作を変える?


5月23日開催(現地時間)


 5月23日(現地時間)、シアトルでWinHEC 2006が開催した。WinHECは、Microsoft主催による、ハードウエア関連技術に関するカンファレンスであるが、今回はWindows Vitsaの完成が近づいていることもあり、Vista関連の話題が中心だ。ビル・ゲイツ会長の基調講演も、Vistaにターゲットを絞ったものとなった。

 基調講演の内容は、サーバー技術からモバイル向けに至るまで、様々な内容を含むものとなったが、オーディオ・ビジュアルに関する機能についても、Vitsaの新機能や新周辺機器も含めた、様々なデモンストレーションが行なわれた。すべてのデモは、公開されたばかりのテスト版である「β2(ビルド5384)」で行なわれたものだ。



■ VistaのMedia Centerで「アメリカのHDTV」を狙う

基調講演に登場した、米Microsoftビル・ゲイツ会長兼チーフソフトウエア・アーキテクト。Vistaとそれをとりまく「PCエコシステム」の広がりを説き、会場に集まったパートナーに協力を呼びかけた

 「PCを軸としたエコシステムは拡大し続けており、PCを使ったデバイスやPCとともに使うデバイスも同様に広がっている。実にファンタスティックだ」

 ビル・ゲイツ会長は、PCの役割がAVや通信機器の分野に広がり続けている様を、このように称した。

 中でも多く時間を割いたのが、Media Center機能と、タブレットPCおよび「origami」ことUltra Mobile PC(UMPC)についてだ。

 前者は、特にアメリカ市場で大きな成功を収めており、Vistaでは「Ultimate」「Home Premium」という、2種類の家庭向けバージョンに標準搭載が決まった。基調講演でも、改良された新ユーザーインターフェイスの紹介に始まり、デジタルケーブルテレビと接続し、HDクオリティの「プレミアムコンテンツ」を録画、LANを介してXbox360を「Media Center端末」化する「メディアエクステンダー」機能で観る、という流れがデモされた。PCをAVサーバーとして使い、米国では販売も好調なXbox360との連携を強化することで、ハイビジョン・テレビに対する親和性をより高めるのが狙いだ。

 とはいえ、公開された情報の多くは、すでにCESやCeBITなどの各種カンファレンスで公開済みのものがほとんど。新機能のアピールというより、「Vistaが完成に近づいている」ことの証明が主目的ともいえる。


Media Centerは、Vistaの個人向け機能の中でも中核に位置する存在。テレビの視聴用としてだけでなく、マルチメディアデータ管理用ツールとしても扱われていた Vistaに搭載されるMedia Centerの画面。映画や音楽は、ジャケット写真とタイトル情報などで、ビジュアル的に管理されるようになる Vista搭載PCとXbox360をLANでつなぎ、360を「テレビでMedia Centerを使う端末」にするメディアエクステンダー機能


■ Media Centerがリモコンの中に
   PCの情報を偏在化させる「SideShow」

SideShowを組み込んだリモコンのプロトタイプ。視聴中の番組を切り換えることなく、EPGや録画番組を確認できる

 唯一、Vistaの機能として新たに公開されたのが、サブディスプレイ「SideShow」に関する情報だ。

 SideShowはこれまで、ノートPCの天板などに組み込まれる「サブディスプレイ」にアウトルックなどの情報を表示する機能、とされてきた。携帯電話のサブディスプレイのPC版、といったところだ。だが、今回基調講演などでデモされた内容からは、より広範なディスプレイをサポートする、拡張性の高い機能であることが伺えた。

 たとえば、右の写真はSideShowを組み込んだAVリモコン。Media Centerのユーザーインターフェイスがそのまま組み込まれている。Bluetoothや無線LANでPCと連動、EPGやPC内の音楽ライブラリ情報などが、PCの画面とは独立した形で表示されるようになっている。

 そのため、あるテレビ番組を観ながら、手元のリモコンで別のチャンネルの番組を確認して録画予約したり、聞きたい音楽を探し出して切り換えたり、といった使い方が可能となる。参考展示されたリモコンは、製品化の予定は決まっていないが、パートナーとの話し合いは行なっているという。


SideShow搭載のデジタル写真スタンド。PCから写真を引き出し、スライドショーとして表示するだけでなく、スケジュールデータなどを重ねて表示する

 右の写真は、液晶ディスプレイを使ったデジタル写真スタンド。PC内の画像をスライドショーとして表示しつつ、その上にアウトルックで管理しているスケジュールデータが重ねて表示されている。

 これらの機能は、PCからXML形式で送られるデータと、それを表示するミニアプリ「Gadget」で構成されている。Gadgetはソフトメーカーや個人が簡単に自作可能であり、様々な情報を表示する機能を、自分の好みに応じて追加していける。

 また、リモコンや写真スタンドのようなSideShow専用デバイス以外にも、携帯電話やPDAにSideShow表示用アプリケーションを組み込むことで、同様の機能を実現することも可能だという。手持ちの携帯電話が、「リッチなPC連動リモコン」になる日が来るかも知れない。

 SideShowは、PCの持つ通信能力と演算能力を使い、「いろんなデバイスの画面にPCの情報を表示する」仕組み、ということもできる。特にAVの分野では、情報量が乏しく、操作性に進歩が見られないリモコンのあり方を変える可能性を秘めている。SideShow対応デバイスのいくつかは、Vistaの登場にあわせて発売されるという。

 WinHECでの情報公開を経て、どのようなSideShowデバイスが登場するか、今後要注目である。

 なお、「TransmetaのCPUを使ったXboxポータブルが発表になるのでは」との観測もあったが、発表はなかった。MicrosoftとTransmetaの契約は、新興市場向けのプリペイド方式PC「FlexGO」への搭載に関するものであり、上記とは無関係であることがわかった。AV機器なのか、ゲーム機なのか。Xboxポータブルは、その存在も含めまだベールに包まれている。

□WinHECのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/whdc/winhec/default.mspx

( 2006年5月24日 )

[Reported by 西田宗千佳]


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