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米Apple、中国のiPod工場で労働環境を監査
-給与システムに違反。「2006年中に改善」


8月17日発表(現地時間)


 米Appleは17日(現地時間)、中国にあるiPodの組立工場において、従業員の労働/生活環境が劣悪であると一部報道で伝えられた件に関して、監査を行なった結果を発表。給与の面など一部で規範に反する事実が認められ、労働環境の改善が必要であるとした。

 同社は、iPodの組み立てを行なう供給メーカーに、人事部から監査チームを派遣し、労働/生活環境、待遇、超過労働などについて、作業員(83%)や監督者(9%)、幹部(5%)、警備員などのサポート要員(3%)など100人をランダムに選び、面接を実施。さらに、給与明細やタイムカードなど複数の書類や人事記録などを1,200人時以上かけて調査した。

 大部分ではAppleの基準を守っており、改善されている箇所があったものの、一部では違反も見られたという。

 労働基準においては、児童の労働や強制など不法な行為はなく、偽造IDによる不法な雇用なども行なわれていなかった。工場は中規模都市に建っており、従業員数は20万人以上。そのうちAppleに関わる従業員の占める割合は15%以下だが、構内には工場のほかに従業員の住宅や銀行、病院などがあり、スーパーやレクリエーション施設なども建てられているという。

 社員寮については基準に反する点はなかったが、構内から離れた3つの寮においては、人数の急速な増加により仮設の住宅となっているほか、2つの寮は工場用の建物に大量のベッドとロッカーを置いたオープンスペースになっており、住居として不適当であったという。仮設住宅となっている寮については、土地を追加で取得し、新しい寮を立てることが検討されており、計画では4カ月以内に居住スペースが46%増加するとしている。

 給与などの待遇については、少なくとも地区の最低賃金をクリアしており、ボーナスを得る従業員もいるほか、健康診断などの医療保障も提供されていた。しかし、基本給や技能手当て、住宅手当など給与の構成要素が必要以上に複雑化しており、従業員が理解しにくい構造になっている点が、同社の基準に違反しているとして、供給メーカーは改善策を進めているという。

 時間外の超過労働の報告は自己申告で行なわれ、基準には反してはいないものの、ミスの恐れなどを考慮して、電子バッジなどで労働時間の計算を自動化が10月1日までに行なわれるという。

 面接などによると、超過労働が強いられているという事実はなかったものの、週60時間、週休1日と定められた基準より多く働いており、7カ月間の記録では超過労働が35%、6日間以上の連続労働が25%に及んでいたという。同社基準では超過労働の例外を認めているが、「健康的な労働/生活時間のバランスが望まれる」とコメントしている。

 労働環境は、工場の空調の整備や作業服の支給などでおおむね良好としている。電話やメールボックスでCEOへの意見が寄せられるシステムもあるが、面接ではほとんどの従業員が、ボーナスや会社の評判、工場や寮の安全性などに満足しているという。

 環境に対する不満点としては、約20%と最も多かったのが「ピークが終わらない連続した労働」で、次は、構外居住者の通勤時間だった。

 面接では、理不尽な懲罰などを課せられたり、目撃したりしたことがあるかということについても問われ、2人の従業員が罰として立たされていたことが明らかになった。同様の例は少なかったものの、こうした懲罰は認められておらず、今後このようなことがないようにするとした。

 同社は、2006年中に全てのMacとiPodの工場において基準の全てをクリアするとし、今回の監査を第一歩として、工場の評価を行なうElectronic Industry Code of Conduct(EICC) Implementation Groupにも参加するという。

□Appleのホームページ(英文)
http://www.apple.com/jp/
□ニュースリリース(英文)
http://www.apple.com/hotnews/ipodreport/

( 2006年8月18日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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