|
9月1日(現地時間)より開幕したIFA2006。HD DVDを推進する東芝や、HD DVDプロモーショングループは1日にプレス向けイベントを開催し、HD DVDの欧州市場立ち上げを発表した。 ■ 599ユーロの「HD-E1」とHDMI Ver.1.3対応の「HD-XE1」
東芝は1日、欧州向けのHD DVDプレーヤー「HD-E1」、「HD-XE1」を発表した。エントリーモデルの「HD-E1」は11月に発売予定で、税込みの予想価格は599ユーロ(約9万円)の見込み。「HD-XE1」は12月に発売し、価格は899ユーロ(約13万5,000円)。 北米モデルの「HD-A1(499ドル)」、日本/北米で発売されている「HD-XA1(10万円/899ドル)」より、若干高い価格設定。現在のところ、日本向けの発売は「未定」とのことだが、年末商戦に向けて、日本国内でも発売が期待される。 いずれも、HD DVDビデオのほか、DVDビデオ、DVD-R/RW(VRモード)、CD、CD-R/RWなどの再生に対応する。HD DVDに最適化したLSIの搭載によるコスト削減や、ドルビーTureHD 5.1chに対応するなど最新テクノロジーを導入した、第2世代のHD DVDプレーヤーとなる。
音声は、ドルビーデジタルやDTS HDのほか、DTS-HD(Core Only)、ドルビーTureHD(5.1ch)をサポートする。出力端子はHDMIと、コンポーネント、S映像、コンポジット、アナログ音声、光デジタル音声を装備。また、HD-XE1のみアナログ5.1ch出力と同軸デジタル出力、RS-232C端子も備える。 HD-XE1は、画質や音質を強化した上位モデルと位置づけられおり、シャーシ構造の強化により、再生品質を向上している。また、HDMIのバージョンが、HDMI Ver.1.3となるほか、アナログ5.1ch出力を装備し、ビデオDACは12bit/297MHzとなっている。 さらに、HD-XE1のみHDMI Ver.1.3のDeep Color(各色8bit超の色深度を持つ映像出力)に対応。新開発のスケーラチップを内蔵し、HD DVDやDVDビデオの1080p出力に対応する。リモコンもHD-XE1とHD-E1では異なっている。 HD-E1のHDMIはVer.1.2a。Deep Colorや1080p出力には対応しない。ただし、720p/1080i出力や、同解像度でのDVDビデオのアップスケーリング出力に対応する。外形寸法は430×345×65mm(幅×奥行き×高さ)と、HD-A1より薄型となっている。 Toshiba Europeで、家電製品部門を担当するYoshio Abe氏は、「HD DVDプレーヤー『HD-XE1』、『HD-E1』を発表できる記念すべき日だ。ヨーロッパのHD市場を牽引する製品を発売し続けて来たが、ホームエンターテインメントの世界を大きく変化させる製品になる。HDの高画質は視聴体験そのものを変えていく、'60年のカラーテレビ以降の最大の革命。今、現実にHD DVDをマーケットに投入できる」と、HD DVD市場立ち上げへの意気込みを語った。 ■ 欧州市場本格立ち上げへ。DTS-HD Master Audio採用タイトルも
HD DVDプロモーショングループもプレス向けに発表会で、欧州における今秋のHD DVD本格立ち上げをアピールした。 HD DVDプロモーショングループ議長で、東芝デジタルメディアネットワーク社 社長兼CEOの藤井美英氏は、「お待たせしたが、HD DVDが欧州でいままさに“再生中”となろうとしている。非常に嬉しく思う」とし、東芝が11月より発売予定のHD-E1/XE1を紹介。「新しいHD-E1/XE1や、Xbox 360 HD DVDプレーヤーなど、HD DVDの画質をみれば、それらの機器を持って帰りたくなるはずだ」と、HD映像の魅力を強調した。 また、Studio Canalや、フランスのPathe、イギリスの2 Entertainなどが欧州のパートナーによるHD DVD支持を紹介。Waner Home Video、Paramount、Universal Picturesとあわせて、「約40タイトルが年内に発売される見込みだ。さらに55タイトルが2007年第1四半期に発売される。ワールドワイドでは2006年の発売タイトルは300を超えるだろう」と、欧州でのタイトル投入と、ソフトの充実をアピール。 さらに、オーサリング環境や、MPOなどのディスク製造事業社の支持を紹介し、「“HD DVDのエコシステム”が欧州でも成立している。新しいフォーマットの成功には重要な要素だ」と訴えた。また、220社の参加するDVDフォーラムの規格であることをアピール。「なぜ、BD陣営がDVDフォーラムに提案しないのかわからない。BDメンバーの多くがDVDフォーラムのSterring Commiteeのメンバーなのに……。私にとっては正義の戦争だ。ビジネス環境が整い、HD DVDは次世代へのシフトを加速する。是非、その映像と音声を体感して欲しい」と訴えた。 WHVや、Universal、Paramountの代表が挨拶し、投入タイトルを発表。WHVはコンスタンティンやグッドフェローズなど、UniversalはJarheadやDoom、Serenityなどを発売。ParamountはM:i:III、Mission Impossible Boxを投入する。 また、欧州の大手独立系スタジオのStudio Canalは、Basic Instinct、The Pianist(戦場のピアニスト)、Total Recall(トータルリコール)など10タイトルを11月に発売するほか、2007年3月にも、Terminator(ターミネータ)、Mulholland Drive(マルホランドドライブ)など15タイトルを投入。HD DVD支持の理由については、オーサリング環境や、ディスクの製造事業社など「欧州内でディスクの制作が完結できることが重要だ(Radolphe Buet シニアバイスプレジデント)」と説明した。 なお、Studio Canalの発売する約25本のHD DVDにはDTSによる新ロスレスコーデック「DTS-HD Master Audio」が採用される。採用タイトルは、Basic Instinct、Elephant Man、Mulholland Drive、Pianist、Terminator2など。なお、同社ではビデオコーデックにはVC-1を採用することも明らかにしている。
また、Microsoftコンシューマ・メディアテクノロジー担当副社長Amir・H氏は、HD DVDの特徴と、品質の高さをアピールするとともに、MicrosoftがHD DVDを支持する理由を説明した。 「もっとも重要なポイントは画質」として、北米でのHD DVD発売以降、報道関係者やエンスージアスト、アーリアダプタの高い支持を得ていると強調。また、同社の提供する「iHD」により、高度なインタラクティブ機能と、簡単なオーサリングを両立していることを訴えた。 さらに、HD DVDへの期待として「Mandatory Managed Copy(MMC)が重要。ディスクからHDDオーディオへのコピーなど、5年後、10年度に快適に使うためにはこのMMCが重要になる。未来へ向かったフォーマットだ」とアピールした。
■ Blu-rayとHD DVDプレーヤーを同時に出展するLite-on Lite-onでは、HD DVDプレーヤー「HDP-Z1」を発表。また、同時にBlu-ray Discプレーヤー「BDP-X1」も出展。HD DVDとBlu-ray Discの両方を展開することをアピールしている。
□IFA 2006ベルリンショーのホームページ(英文) ( 2006年9月2日 ) [AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]
Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|