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ハーマン、1本315万円のJBL「エベレスト」スピーカー
-「DD66000」。振動板にベリリウムを使用


9月21日より順次発売

標準価格:315万円~346万5,000円(1本)


 ハーマンインターナショナル株式会社は、JBLブランドのハイエンドスピーカーであり、JBLの創立60周年記念モデルでもある「Project EVEREST DD66000」を9月21日より順次発売する。標準仕上げのモデルは1本315万円。受注生産仕上げは346万5,000円となる。

 標準仕上げはローズウッド(RW)とチェリー(CH)の2モデル。受注生産ではエボニー(EB)とメイプル(MA)の2色を用意する。ローズウッドは9月21日から販売、チェリーは10月末から販売開始になる予定。受注生産モデルには4カ月ほど納期がかかる。

エボニーモデル ローズウッドモデル

チェリーモデル メープルモデル 外形寸法は965×469×1,109mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は142kg

 380mm径のコーンウーファ2基と、高音用の100mm径ベリリウム・コンプレッションドライバー、超高音用の25mm径ベリリウム・コンプレッションドライバーを各1基搭載した3ウェイ、4スピーカーのフロアタイプ。コンプレッションドライバーにはグラスファイバーと高温高圧モールド成型技術で生産したSonoGlass製のバイラジアルホーンが搭載されている。

 「Project K2 S9800 Special Edition」(1本173万2,500円)を超えるフラッグシップモデル。同社のトレードマークでもあるコンプレッションドライバーを搭載。スタジオ用モニタースピーカーのようなユニット構成/風貌を持ちながら、優美な曲線を取り入れたエンクロージャを使用し、「スタジオの音質をリビングで堪能できるコンシューマモデルとして性能やデザインを追求した」という。

 最大の特徴は、高音用のコンプレッションドライバーに、ピュア・ベリリウムの振動板を採用した100mm径の「476Be」を採用したこと。アルミニウムやマグネシウムの振動板では18kHz以上の高域信号を入力すると、振動板全域で分割振動が発生し、位相干渉によって出力が減少するという問題がある。

 ピュア・ベリリウムでは高域でも正確で均一なピストンモーションが可能で、ハイエンドまでスムースな特性の再生が行なえるという。また、振動板の円周部には独自のダイヤモンドエッジを一体成型している。

 超高音域は25mm径のベリリウム振動板を搭載したコンプレッションドライバー「045Be-1」を使用。50kHz以上でも分割振動の無い再生が可能。軽量な一層巻きのアルミリボンボイスコイルをボビンを使わずに振動板に取り付けることで、駆動系の軽量化を行ない、レスポンスを向上。Project K2 S9800SEで採用された「045Be」と比べ、30kHz以上の帯域で5dBの出力改善を果たした。

上段が高音用の100mm径、下段が超高音用の25mm径ベリリウム・コンプレッションドライバー ベリリウムでは分割振動が起こらない 全体のサイズからすると奥行きの469mmは短く感じられる

 ウーファは380mm径のパルプコーン採用ユニット「1501AL」を2基使用。2基は同様に動いているわけではなく、片方は150Hz以下で動作させ、30Hz以下までの低域再生能力に専念。もう片方は通常のウーファと同様に高音用のコンプレッションドライバー「476Be」と700Hzでクロスオーバーさせている。そのため、クロスオーバー周波数は150/700Hzと20kHzの3ポイントある。

 システム全体での再生周波数特性は45Hz~50kHz(-6dB)。ウーファのドライバにはアルニコ5DGマグネットや大口径ボイスコイルを採用。内部には1.6mm厚のスチールリングを16枚、0.8mm厚の銅リングを15枚交互に積層させたインナーギャップリングを搭載しており、アルニコマグネットの問題であった大電力駆動による減磁を解消している。

ウーファは380mm径のパルプコーン採用ユニット「1501AL」 片方のウーファは低域に専念する、一風変わった構成になっている 内部

 ボイスコイルには新設計の大口径エッジワイズ巻アルミリボンボイスコイルを使用。磁気ギャップ内のコイル密度を最大化することで、トランジェントの向上と、耐入力の25%向上を実現。振動板はプュアパルプ。表面にリブを設け、裏側外周部に独自のアクアプラス・コーティングを施すことで分割振動の抑制と剛性の強化を実現した。

 インピーダンスは8Ωで、許容入力は500W。出力音圧レベルは96dB(2.83V:1m)。ホーンの指向特性は高音が100×6度(水平×垂直)。超高音が60×30度(同)。高音のレベルコントロールやウーファのダンピングコントロールの調整が可能。

 エンクロージャはインダストリアルデザイナーのダニエル・アシュクラフトがデザイン。バスレフで、ポートは背面に用意。平面バッフルは25mm厚のMDF。曲面パネルは厚みの異なる2枚のMDFパネルで構成。ウーファ用バッフルは45mm厚。曲面が多様されており、内部定在波の発生を抑制している。外形寸法は965×469×1,109mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は142kg。


■ モニターゆずりだが、楽しませてくれる音

再生デモの様子

 マークレビンソンのプレーヤーとアンプを使用して再生デモも行なわれた。使用されたモデルはプリアンプが「No32L」(336万円)、モノラルパワーアンプが「No433」(220万5,000円)、CDプレーヤーが「No390SL」(141万7,500円)というシステム。

 会場は帝国ホテルの大広間で、床は毛足の長い絨毯というオーディオ的には厳しい環境。しかし、DD66000はそうしたハンデをものともしない、ホーンシステムならではのクリアでトランジェントの良い再生能力を発揮。絨毯に吸収されているにもかかわらず、ドラムの躍動でコップの水が揺れるほどの気持ちの良い中低音を響かせた。

 ソースはJAZZとクラシックを中心に用意。「前田憲男ミーツ5サクソフォン」の「Don't be That Way」ではシンバルとトランペットの張り出しが非常に力強く、音像がスピーカーの前に展開するのを飛び越え、目を閉じると楽器が鼻の頭の少し先にあるのではないかと思えるほど。ウーファも中高音のハイスピードなサウンドに追いついており、奔放で楽しくなる音ながら、まとまりの良さも感じさせた。「JAZZのJBL」のハイエンドらしい音質だ。

 クラシックではキャラクターが一変。展開する音場にオーケストラがキチンとした配置で描かれ、現代的な音場型創生型スピーカーの一面も見せる。ソースに応じた表現ができるモニターゆずりの再生能力を感じさせる。デモで座った席が中央よりだいぶ右よりだったため音像の具合などは正確に聴き取れなかったが、フォーカスはクッキリとしている印象だった。

デモシステムはマークレビンソンのプリ「No32L」(336万円)、モノラルパワーアンプが「No433」(220万5,000円)、CDプレーヤーが「No390SL」(141万7,500円) 音響的に条件が良いとは言えない環境だが、DD66000は高いパフォーマンスを発揮した


■ 「全てをやり遂げた、夢と志のあるモデル」

 国内で販売を行なうハーマン インターナショナルの安田耕太郎社長は「ハーツフィールド」や「パラゴン」など、JBLの初期の名機から、現在のハイエンドである「Project K2」までを振り返り「オーディオでは5年や10年ごとに、そのメーカーが持てる全てをやりつくした、血を吐くような思いで作り上げたというモデルがハイエンドとして登場する。普及価格帯のものとは異なり、メーカーやエンジニアの夢とか、志が込められた製品だ」と説明。

 「オーディオを取り巻く状況は決して明るいとは言えない。そんな時だからこそ、このDD66000を届けられることが嬉しい。輸入代理店の夢は、販売した製品でユーザーもメーカーも報道も、皆が喜んでくれること。そしてオーディオ業界が活性化すること。そのための千載一遇のチャンスを今日、与えられたと考えている」と、DD66000の販売にかける意気込みを語った。

ハーマン インターナショナルの安田耕太郎社長 会場入り口ではパラゴンやK2など、JBLの歴史を彩るモデルが紹介されていた

□ハーマンのホームページ
(9月8日現在、この製品に関する情報は掲載されていない)
http://www.harman-japan.co.jp/
□60周年記念サイト
http://www.jbl60th.jp/

(2006年9月8日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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